52.勇者の剣
このダンジョンが存在する世の中には「聖剣」というものが存在する。
光属性魔力を持っている者が扱える剣で、光属性付きの剣はこの世界に数振りあると言われる。
乱斬丸を使い出してから日本刀の扱いに慣れてきたので、日本刀タイプの武器が良いなとは思っている。
刃の立て方とか、突く事もでき、ダンジョン学園で習った剣道の技術との相性も良い。
◇◇◇
聖剣に拘らないが、何かいい武器はないものか。
俺は光属性の使える勇者なのだから、聖剣を使えるはずだけど……。
「儂が、勇者の称号を以前に与えた者が使っていた剣ならあるかもしれん」
待望の田植えの準備をしながらユキちゃんに聞いてみたところ、おあつらえ向きの勇者の剣があるらしい。
ユキちゃんが祀られている近所の神社がある。以前ダンジョン化していたので攻略した場所だけどね。
神社の裏にある物置を、ユキちゃんと開ける。
「鍵とかかかってないの不用心だね」
「いや、ここはの、儂としか入れんから心配はいらん」
「へぇ~。便利なものだね」
一本の刀を取り出して、ユキちゃんは言った。
「おぉ、コレじゃったかな」
刀を受け取り、抜いてみる。
……。
「かなり錆びてるね」
「うむ。錆びとるの」
刀身は全体的に錆びてしまっていて、腐食が進んでしまっている。
研いでもダメな気がするなぁ。
「コレ、どうしよう?」
「一旦、お主の魔力を通してみるとが良い」
言われた通りに刀へ魔力を注いでみると、刀がうっすらと光りだした。サビは取れてないが、そこそこ斬れる気がする。
【勇聖牙】
種別: 聖剣(刀)
効果: 攻撃力[小]
「あまり強くないかもだね」
「うむ。後はサビ落としじゃが、この刀は特別でのう、普通の鍛冶には扱えんのじゃ」
取り扱い注意なのは、聖剣たるゆえんか。
「なら、どうすれば?」
「この刀も言わば儂の眷属なのじゃから、畑のダンジョンで採れたもので多少は治せると思うぞ。お主らのレベルが上がるようにの」
「畑で採れたやつ、切ったりしたら良いのかなぁ」
剣で土を耕したりすれば良いのか?
◇◇◇
こういう時はネットに頼ってみよう。
なになに、サビってのはアルカリ性だから酸性の物質で磨くと良いのか……。
柑橘類……。そう言えば、裏にミカンみたいなのがなっていたな。
「八朔じゃな。儂は酸っぱくてあまり好かんが……」
この際、ユキちゃんの好みはどうでもいいかな。
あ、あと「なにに使うんだ」って思ってたヘチマがあるな。これで磨いてみるか……。
◇◇◇
とにかくやってみよう。
「器用さS」のステータスが役に立つときが来た。
あ、「器用さS」は捨てステータスでも何でも無く、ビニールハウスを作ったり、生け垣を作ったり、ちょっとした道具を改良したりと、農作業には滅茶苦茶役に立つステータスだったんだよ。
「器用さS」は伊達じゃないってね。
ジャガイモのクエン酸なんかもサビ落としには良いらしく、色々試してみたところ、かなりサビが落ちてきた。
【勇将牙】
種別: 聖剣(刀)
効果: 攻撃力[中]/1体への攻撃時、攻撃力上昇
「おぉ、結構強くなってきたね。でも、これ以上は擦っても取れないや」
「もう一息じゃが、ここからは実戦で鍛え直しじゃな」
とりあえずは、ボス戦に有効な武器が手に入った。
ユキちゃんによると、ダンジョンでドロップするという「聖なる石」なんかで研ぎ直さないとダメらしい。
砥ぐの試したんだが普通の砥石だと、砥石がすぐボロボロになってしまう。実戦で馴染ませて、聖なる石で研ぎ直せば最強クラスの武器になるのだろう。
◇◇◇
言っていなかったが、俺は「厨二病」という不治の病を患っている。えっと、うすうす気づいていたとは思うけど。
「うすうすってなんじゃ?」
「エイガさんが厨二病じゃなかったら、誰が厨二病なんですか?」
2人の貴重なご意見だけど⋯
……解せんな。
とにかくそんな俺の前に、2本の剣。しかも刀タイプ。
二刀流やるしかないでしょ!
乱斬丸は振り回せるように少し短い。
勇将牙は一撃に込めるので少し長い。
左手に乱斬丸。右手に勇将牙。
あと、咥える剣が必要だね。
2刀流は漢の夢ですっ!




