51.ハーレムルートへの道。(但し童貞)
ユキちゃんとシーナちゃんが何やら話している。
笑顔で談笑って感じで、仲良さそうで、微笑ましい。
レベル15のユキちゃんは順調に成長している。……どことは言わないが、いい感じだ。
19歳のシーナちゃんは見た目中学生くらいなので、ユキちゃんと並ぶと同世代の女の子同士って感じになる。
女子学生のキャピキャピした感じ……尊いです。
何話してんだろ?
スイーツは何がいいとか、オシャレどうしようとかかな?
◇◇◇
「椎名よ。最近どうなのだ?」
「どうって……ユキさん、心読めるじゃないですか?」
……レベル14くらいから、シーナちゃんはユキちゃんに敬語になっている。
ただ余所余所しくなったわけじゃなくて、より打ち解けた結果らしい。
そりゃあ、何百年もの先輩なわけだし、見た目も大人になってくると、話し方も自然と変わるものらしい。
*(何もないです……)*と心で思うと、
「うむ。まああの唐変木のことじゃからなぁ」
「はい……」
「椎名としては、どうなのじゃ? 儂がアヤツの筆おろしをすることには」
「え?」
「まあ言わずともわかるのじゃが……アヤツも経験しておいたほうが良いと思うしの」
「はい……。えっと、私も経験無いので……リードして欲しいと言いますか……」
「もう十分やってやれる身体になったのじゃが、アヤツ……怖気付いたのか18まで待つらしい」
「そ、そうなんですか……ホッとしたというか、残念と言いますか……」
「椎名がそういう考えであるなら、まあ、儂としては経験させてあげたいものだしの」
「はい。私はユキさんと2人でエイガさんを支えて行くのもアリだと思ってます」
「まあ、儂は人ではないからのぅ。嫁になるなら椎名ということになるかの」
「…。ヨメ⋯」
そんな話題とはつゆ知らず、笑い合ったり、頬を染めながら話している2人をニマニマとやや気持ちの悪い笑顔で見守るエイガさんでした。
◇◇◇
この動物園のダンジョンの第1層は小動物、2層目は草食動物エリア、3層目は虫エリアになっていた。
シーナちゃんのマッピング能力はかなり優秀で、始めは丸2日かかっていた3層ボスまでの道のりが、半日でたどり着くくらいに最適化してきた。
ただ近道になるだけじゃなく、敵や罠の少ない道を選んで、最小労力で周回できる。
3層目のボスは巨大なサソリ。
装甲が硬く、俺一人では傷一つつけられない。
でも……
「ほれっ、破装甲!」
ユキちゃんの闇魔法でデバフがかかり、攻撃が通るようになる。
後は尻尾に付いている毒針にさえ気をつけておけば、問題なく倒すことができる。
(―エイガさん。尻尾は絡め取れました)
シーナちゃんが、このフロアの蜘蛛のモンスターからドロップした糸を器用に使って、巨大サソリの尻尾の動きを制限する。
尻尾だけでなく大サソリ全体の動きも鈍い。コレなら、タメが作れる。
サソリの頭側にいる俺と、尻尾側にいるシーナちゃん。
声だと意思の疎通は難しかったかもしれないけど、俺たちにはお揃いの「絆の指輪」がある。
(―よくやった。もう少し抑えられるか。数秒で良い)
(―大丈夫です。1時間でも抑えられます)
よし!
剣に力を込める。
バスターショットだ。
タメが必要だから、仲間がいないと撃つことすらできない。今の俺には、シーナちゃん、ユキちゃんという信頼できる仲間がいる。
クソ雑魚勇者と言われ、パーティのお荷物だった俺はもういない。
(―シーナちゃん。もう大丈夫だ。離れて!)
(―はい。お願いします!)
シーナちゃんの拘束が解けて、大サソリが突進してくる。
「喰らえ! スコーピオンバスター!」
ユキちゃんのデバフがかかり紙装甲となった大サソリの頭に、上段からバッサリと斬撃が入った。
後に残ったのは、真っ二つになった大サソリの残骸……。
乱斬丸の使い方じゃないけどな……。
乱斬丸は細かい斬撃を沢山飛ばす事が特性の武器。
1対多数に対応できる素晴らしい剣だけど、一撃で決めるのは若干苦手な武器だ。
ユキちゃんのデバフが無かったら、こんな風には倒せなかったかもしれない。
そうだな。一対一用の武器が俺には必要な時期がきたのかもしれないな。
そんな事、中級ダンジョンでオークキングを倒した時には、考えもしなかった。それだけ成長できてると感じて、少し嬉しかった。
【乱斬丸】
振り回せるように、やや短めの刀。銘柄のある名刀ではあるが、攻撃力は控えめ。
斬撃を飛ばせるスキルがあれば、一振りで複数の斬撃が飛ばせる全体攻撃になる。




