49.指輪を買おう
キャンプ用品も揃い、用も済んだかな。
「いっぱい買っちゃったね」
「はい。でもレベルも上がって、ストレージにも余裕あるので大丈夫です」
「なんか面白い店員さんだったね」
「あ、すみません。なんか乗せられて買っちゃいました」
「いーよいーよ。必要なものだし、ちょっと高かったけど、あそこのモノは良いからね」
フードコートで飲み物を飲みながら話していたんだけど、プレゼントを買っていないことに気付いた。
「シーナちゃん。クリスマスプレゼントなんだけど、色気が無くてスマないが、指輪を買っておこうと思うんだ」
「ぶっーー! っ、て、指輪……!? あ、ごめなさい」
盛大に吹き出している。どうしたんだ、シーナちゃん。
【絆の指輪】
目の届く範囲内であれば、意思の疎通ができる指輪。
連携がスムーズになり、「沈黙」のデバフがかかっても意思疎通ができるため、上級以上のパーティでは必需品となっている。
(様々なデザインがある指輪ではあるが、ペアで付ける場合はトクベツな意味があるとか……)
「ユキちゃんとは意思疎通できるから、俺とシーナちゃんの分だね」
ユキちゃんは、この指輪以上の精度で心が読めるし、伝える事もできる。
「え、あ、指輪って、あれですよね……【絆の指輪】のことですよね?」
「あ、そうだよ。それ以外ないでしょ」
「でも、2人分ですよね?」
「うん。あ、そうだ。同じになるようにデザインは厳選しような」
なんか同じデザインだと絆が深まる感じだし、同じデザインが良いよね。在庫があればだけどね。
「それってペア……? 良いんですか……? あ、でも、あの約束しちゃっているし良いのか……」
約束……? なんだろう、指輪に関係あるのかな。
◇◇◇
アクセサリー屋に入って、指輪を探す。店員さんに聞いてみようか。
「あの、絆の指輪なんですが……」
「あるよ。ちょっと待っててな」
店員に案内されてガラスケースの前に来た。
龍の彫り物がしてあったり、ドクロが付いていたり、宝石が付いていたりと色々ある。もちろんシンプルな輪っかだけのもある。
「2つで良いんだけど、同じデザインのってあるかな? シンプルなので良いんだけど……」
「……あ、そういう事。お兄さんやるねぇ」
笑顔でサムズアップしてくる店員。ちょっと意味がわからないけど。
「シーナちゃんはどんなのが良い? 俺はシンプルなので良いと思うんだけど」
「はい。私も……あの、その、け……ん指輪みたいでシンプルなのが良いです」
け……ん指輪とは?
よくわからないけど、……まあ、シーナちゃんが良いなら良いや。
ちょうど良い指輪があって、2人で指にはめて見てみる。
シーナちゃん、当然のように左手の薬指にはめてるし、俺も店員さんに任せてたら左手の薬指にはめてた。
まあ、指輪の効果が一番高いのが左手の薬指らしいし、深い意味は無いはずだ。
――深い意味しかないわい!
ユキちゃんの声が聞こえた気がしたが、そんな訳ないよね。
(―聞こえる? シーナちゃん)
魔力を消費して呼びかける。
(―はい。聞こえます)
「リンクもバッチリですね。店員さん、ありがとう」
「いえ、お買い上げありがとうございます。末永くお幸せに!」
……変な挨拶だけど、お客さんの幸せを祈るなんて悪くない店だね。
◇◇◇
絆の指輪は意思の疎通に魔力を消費するため、日常的には使わない。
結婚指輪にする人もいるらしいけど、心が読めまくったら浮気もできなければ、隠し事もできないよね。
最初は良いかもしれないけど、もしそんな仕様なら絶対長続きしないと思うよ。
指輪をつけても、心は読めないし、こちらの考えてる事もわからない。それくらいで丁度良いのだろう。
えっ? け……ん指輪ってもしかして……結婚指輪!?
いつの間にか、シーナちゃんとは自然に手を繋いで歩いている。こんなに可愛いコと結婚出来たら、幸せで死んでもいいよな。
あ、死んだら新婚生活が送れん。俺はどうすれば良いのだ?
シーナちゃんの事は大好きだけど、妹みたいで、めっちゃ可愛くて……。
結婚……ま、まさかね。き、気のせいだろう。
◇◇◇
あ、クリスマスディナーと思ったけど、流石に今日はどこも空いてないか……。
「ゴメン、シーナちゃん。晩御飯どこも空いてなさそうだから……」
ラーメンとかになっちゃうかな。
「良いですよ。帰って食べましょう。ユキちゃんもお腹空いてるでしょうし」
「そうだな。クリスマスは元々家族で祝うもんだ」
家族のいない俺たちだけど、今はシーナちゃん、ユキちゃんと「家族」って言っても良いよな。
ホントに深い意味なんて無いんだからね。
ってか、クリスマスにおウチでご飯作ってくれるシーナちゃん。良いコすぎるよね。




