48.クリスマスデートというか⋯
「じゃあ、シーナちゃん。行こうか」
「はい! 今行きます」
シーナちゃんは普段全然お化粧とかしないんだけど、今日はお出かけだから少しおめかししているのか、準備にいつもより時間がかかっていた。
リースで借りていたワゴン車を返却して4WDの車を受け取ってから、探索者御用達のショップでテントとかを買う予定だ。
ユキちゃんはお留守番。晩御飯は久々のカップラーメンで満足そう。なんでも、西洋の神様のイベントには興味ないらしい。
でも、たまに食べるカップラーメンってめっちゃ美味いよね!
◇◇◇
2人で車に乗り込んで出発する。
4WDの車は中古だけどいいモノが手に入った。シーナちゃんがどこからか見つけてきてくれたのだ。斥候だけあって情報収集も優秀らしい。
「なんかさ、家からデートって、恋人っていうか夫婦みたいだね」
と冗談を言ってみる。
「ぶっ! 何言い出すんですか!?」
「はははっ、冗談だって。シーナちゃんからしたら、こんなオッサンじゃあ嫌だろうけどね」
「まだそんな事言ってるんですか? 乙女のキスを貰っておいて……」
……ほっぺにチュウしてくれた事かな……。
「あれは、嬉しかったなぁ。また頼むね」
真っ赤になるシーナちゃん。カワイイなぁ。
「もう、エイガさんのバカっ!」
◇◇◇
車を乗り換えて、探索者ショップへ向かう。
ダンジョン協会に隣接したショッピングセンターは、ダンジョン産のアイテムや有用な道具なんかもあり、ダンジョンで必要な物は何でも揃う。
「4WDの車の乗り心地、意外と良いね」とか「これならどこでも行けるね」とか、話題は尽きない。
あっという間に着いてしまった。
「シーナちゃんと話してると楽しくて、移動時間もあっという間だね」
「私も楽しいです」
……なんか今日のシーナちゃん、いつもカワイイんだけど。そうだな、5割増しくらいでめっちゃカワイイなぁ。
◇◇◇
「このテントとかどうかなぁ」
3〜4人用のテント。普通パーティは6人だけど、男女に分かれたり、全滅を避けるため2〜3個のテントを準備する。そのため、売れ筋で種類が豊富なのがこのサイズのテントだ。
普通なら見張りを立てたりしないとダメなんで、3人パーティの俺たちだと2人用でも良いんだけど……。
ユキちゃんの闇魔法で結界を張れば、見張り無くてもまず大丈夫らしい。破るにはユキちゃん以上の魔力が必要らしいので、そんなヤツに襲われたら見張り立てていたところでアウトだしね。
「探索者の方ですか?」
店員に声をかけられた。
「はい。ダンジョンで使いたいんですが……」
「そうなんですね。3人で使用されるなら、確かにコレがお勧めですね」
「そうだね〜。どうしようかな。シーナちゃん、どう思う?」
「私は……コレも良いと思いますけど……」
なんかその後、小声でゴニョゴニョ言ってる。俺は聞き取れなかったけど、店員さんは聞き取れたらしい。流石は接客のプロ。
「あー、そうなんですね。でも、大は小を兼ねると言いますか、ストレージがあるなら大きめがお勧めですね」
「そうなんですね」
「彼氏さんと、って気持ちはわかりますけどね」
ん? 彼氏さん?
誰だそれは?【雪の使徒】は恋愛禁止ですよ。
って、男は俺だけか……。恋愛禁止だと、あれ? 悲願達成できない?
あ、今の無し。【雪の使徒】は恋愛自由で。
シーナちゃんに素敵な彼氏ができても、……歯を食いしばって耐えるよ。
「もぅ、店員さん。……彼氏じゃないですよ……まだ」
「そうなんですか。すみません。お似合いだったので」
……30過ぎたオッサンと、可愛すぎる見た目中学生のシーナちゃんがお似合いな訳ないんだが……。
こんな可愛いコとお似合いって事は、俺もある程度イケメンって事だよな!
悪い気はしないな。店員さん、うますぎるぜ。
うん、このテント買おう。ついでに寝袋とか、コップとか、キャンプ用コンロとか、いっぱい買っちゃおうかな……。
なんて、そんな手には乗らんよ……。
「もぅ、店員さん! やっぱそう見えますよね。……エイガさん、私たちお似合いだそうですよ!」
シーナちゃん、普段はしっかりしているクセに、どうしたんだ?
クソっ。俺もシーナちゃんと買い物したいよ。
見てろエイガさん、歯を食いしばらせてやんよ!




