43.超級パーティ【瑛沙の東翼】
数ターンは、今までどおり戦ってみた。
オークキングへは確実にダメージが蓄積しており、こちらはサオリの聖魔法でほとんどノーダメージ状態。
ジリ貧ではあるが、繰り返せばいつか倒せるだろう。
しかし……。
「東悟なら、どうやってる?」
東悟とは、同級生パーティのメインアタッカーである。
「今のトーゴなら、……一撃ね」
「そっか、まだそんなに差が有るのか……」
俺も強くなったつもりだけど、同級生たちはまだまだずっと先を歩いていたみたいだ。
ギリッ。歯を食いしばるが、仕方ない。まだまだだけど、俺にもできることをするだけだ。
「皆、ちょっとタメを作る。協力して欲しい」
今度はタメが必要な、これまたソロでは使えないスキル……。
ステータス的にソロ特化称号の勇者だけど、スキルは硬直時間があったりタメが必要だったりと、ソロでは使いにくいものが多い。
シーナちゃんがくノ一として戦えるし、ユキちゃんも実体化モードだとある程度戦える。
俺には仲間がいる。
だから、このスキルも使える……!
◇◇◇
「パーティは皆の名前を一文字ずつ入れて【瑛沙の東翼】にしよう」
ダンジョン学園の最終学年。パーティを組んで実習がスタート。特殊な称号を持つ俺たちだけど、気も合うのでグループになる時はいつも一緒だった。
勇者の三雲瑛雅……俺だよ!
聖女の東藤沙織……今、一緒に戦ってくれてる。
侍の高橋東悟。
聖騎士の蔦谷翼。
勇者と聖女が10年に1人、侍と聖騎士も滅多にいない特殊な称号持ちで、俺たちはいつも一緒だった。
この4人に斥候の岩沙歩と、魔法使いの東希美が加わってパーティ【瑛沙の東翼】を結成した。
この2人は称号は普通だったけど、6人パーティを組むのに斥候と魔法使いを探していて、2人がちょうど余っていたんだった。
「そっか。これなら歩や希美も入ってるし……2人にもずっといて欲しいもんね!」
沙織も賛成してくれた。それまで厨二的ネーミングばかりを提案していたので、皆ちょっと食傷気味だったみたい。【漆黒の聖者】とか【轟く聖光】良いと思うんだけどな。
男3人女3人のパーティだったけど、東悟と翼はデキてたし、歩と希美には他に恋人がいて、特に色恋沙汰で揉めることはなく、上手くやってた。
俺は沙織と上手くやりたいな、なんて思っていたんだけど……。それは良いよな。
半年もすると、初級ダンジョンを問題なく探索できた。俺のレベルは上がらなかったが、皆がフォローしてくれて、いよいよボスに挑戦ということになった。
そこで予想外の強敵に遭遇して……それでも俺を庇わなければ⋯。翼が俺を庇わずに戦えていたら、東悟も心置きなく攻撃できて、沙織の回復も他のメンバーに行き渡って、歩と希美はしっかりと役割をこなしていたし……。
足手まといは、俺だったんだよ。
俺がいなかったら倒せていたかも知れない。いや、間違いなく倒せていた。
這々(ほうほう)の体でダンジョンから逃げた後、俺はかけがえの無い仲間たちからも逃げたんだ。
その後も【瑛沙の東翼】は名前も変えず5人パーティで、上級ダンジョンを攻略したという。
初級ダンジョンの雑魚敵ですら手こずる俺には、もうあいつらに追いつくことはできない。俺がいる限り、アイツらはパーティの空席を埋めないだろう。俺が引退して、アイツらにも新しいスタートを切らせてあげないと⋯
俺の心が折れて引退を決意したのは、そんな事情もあったんだ。
◇◇◇
あの時、初級ダンジョンのボスに使えなかったスキルがある。タメが必要なスキルで、あの時メインアタッカーでもなかった俺には使えなかった。
【バスターショット】
タメを作ることで特効が付き、クリティカルヒットになる勇者特有のスキル。
例えば魔王にだって特攻になり、クリティカルが出る。
シーナちゃんがヘイトを集めて回避盾の役割をして、ユキちゃんが闇属性の魔法で目眩まししたりして、上手くやっている。
「よし。十分だ。皆、引いてくれ!」
「はい!」
「うむ」
オークキングと相対する。デカい、怖えぇなぁ。
正直、いけるのかわからないけど。力を込める。
「喰らえ! 『獣滅破斬』!!」
正しくはビーストバスタードショットだけど、俺が今持ってるのは刀だし、和風にいこうね。
オークキングは乱斬丸によって真っ二つになって、崩れ落ちた。
討伐依頼、達成である!
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