42.攻略
中級ダンジョンの雑魚敵なぞ、はっきり言ってもはや俺たちの相手ではない。
シーナちゃんが敵を見つけて報告。
俺とユキちゃんが味方にバフ、敵にデバフ。
シーナちゃんが切り込み、俺が叩く。
討ち漏らしがあっても、ユキちゃんが闇魔法で葬る。
随所でサオリが回復を入れてくれて、ほとんど体力満タンのまま進めている。
ピーナッツや干し芋の出番もない。
ただ、俺は滅茶苦茶楽しかった。
だって、ユキちゃん、シーナちゃんだけでも満足なのに、今回は何がとは言わないが、揺れるんです。
「エイガさん。なんだか楽しそうですね。サオリさんのおかげですか?」
シーナちゃんに聞かれるが、
「うん。そうだね。久しぶりだからかな。サオリの前で、パーティの中心に俺がいたのって、探索者になって最初の1週間だけだったから」
1週間経って、みんなのレベルが4になった時、俺はまだレベル1。覆せないステータスの差がついてしまったんだ。
頬に生暖かい感触が……。
こ、これは汗。涙なんかじゃないよ。
泣いてばかりはいられない。サオリの前だし。
立派な存在を前に、小さくなってはいられないよ!
まぁ、部分的に大きくなっちゃマズイけどね。
◇◇◇
庁舎のダンジョンはそこそこ広かったが、攻略はサクサク進み、半日でボス部屋の前まで来た。
「サオリ。俺たちの方針だと、ボス部屋まで来たら、いったん引き返して休息、準備してから挑戦することにしているんだが」
「良い方針ね。ボスに無理に挑んで全滅するパーティは、嫌というほど見てきたわ。私たちも失敗しかけたことあったしね」
……。まだ学生だった頃、初めてのパーティで初級ダンジョンのボス。初めて到達したダンジョンボスを前にテンションが上がった俺たちは、そのまま突撃して返り討ちに遭った。
その時、明らかに足を引っ張っていた俺が、パーティ離脱を決めた出来事。そうなんだよ、追放ばかりされていた俺だけど、最初のパーティは、自分から離脱したんだ。このままじゃ皆と差が開くばかりだったからな。
サオリ達とは、対等でいたかったんだ。
その後は、追放とかばっかりだったけどね。
うぅ。これは汗……。
「でも、サオリの助っ人は今日だけだよな?」
「そうね。明日は休息に充てないと。明日なら別の人か、あなた達なら助っ人無しでも大丈夫でしょうけど」
今日はサオリのフォローのおかげで、ほとんど消費していない。パーティの要のシーナちゃんにも疲れが見えない。明日、サオリ無しだと、最短で来ても、コレより状態が良いことはないだろう。
「なら、今日このまま行こうと思う」
「私も、サオリさんがいる今日の方がいいと思います」
「うむ。儂も異論はない。むしろ、その娘がいる内に行くべきじゃ」
「娘ってトシでもないけれどね。ありがとうユキちゃん。⋯私もエイガともう少し戦いたかったから良いわよ」
「決まりだな。いくぞ!」
◇◇◇
中級ダンジョンのボスは、豚の化物オークキングだった。
中級にしては強い。このパーティにとっては、今までで最強の敵と言って良い。
「上級の中ボスクラスよ。中級ダンジョンのボスとしてはかなり強いけど、上級ダンジョンであなた達が通用するか良い物差しになるわ」
サオリは超級ダンジョンに挑戦中だ。このクラスは雑魚敵なのだろう。至って冷静だ。
「よし、じゃあセオリーどおり行こう」
「行きます!」
まずシーナちゃんが仕掛ける。
俺とユキちゃんが魔法を使って、バフとデバフを入れる。
オークキングの注意がシーナちゃんに逸れた瞬間、隙が生まれる。
ザシュッ!
俺の斬撃が決まる。そして俺の刀、乱斬丸の無数の刃がオークキングを傷つける。
「グモモモモォー!」
オークキングの咆哮とともに、衝撃波が来る。
俺は踏みとどまるが、シーナちゃんが飛ばされた。
「シーナちゃん!」
「大丈夫です!」
シーナちゃんは、器用に一回転して着地する。
凄い、流石はくノ一だね!
「回復するわね!」
サオリの聖魔法がパーティの皆を包む。
「流石に一筋縄ではいかないか」
少し距離を取り、仕切り直しだ。
さあ、2ターン目だよ。
揺れるのあると、楽しいよね!
シーナ「⋯」
あ、いや、そういう訳じゃないんだけど。
シーナ「じゃあどういう訳なんですか?」
まぁ、色々あってそれが良いって奴だよ。
シーナ「あんなの、貴方の匙加減でどうにでもなるんじゃないですか?」
えっと⋯。わかったよ。設定をボーイッシュで可愛い女のコから、セクシーなお姉さんに変更⋯と
あ、ダメダメ。それじゃあ僕の好きなシーナちゃんじゃ無くなっちゃうよ!




