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40.冬の準備


秋も深まってきた。


隣町の庁舎がダンジョン化したという。

正確には、元々あったダンジョンが中級に進化してしまったらしい。


初級ダンジョンのうちは実害もなかったので放置されていたらしい。庁舎と言うか、オフィスダンジョンってドロップ品が渋い場合も多く、探索者からも敬遠される場合が多い。


そこで、初級ダンジョン5個、中級ダンジョンを2個討伐している我がパーティに討伐依頼が来た。


「討伐依頼受けようと思うんだけど、どうだろう」

「良いと思いますよ」

「うむ。討伐依頼とはなんじゃ」

「まあ、ダンジョンが出来て困ってるから、協会の中でちょうど良いパーティに討伐をお願いするってやつだよ」

「ふむ。で、断ることはできるのか?」

「うん。まあ、報酬もあるし、滅多に断るやつはいないけどね。協会が助っ人をよこしてくれる時もあるし」


中級ダンジョンなら、相場は数百万円かな……。

あと格上の助っ人探索者がいれば、安全と成功率が爆上がりする。

協会としても、失敗できない事情があるのだろう。


「まあ、報酬もあるなら良いじゃろう」

「あと、多分今回達成したら、上級ダンジョンの情報が入ってくるようになると思う」

「ほう。上級とな。面白そうじゃ」

「よし。じゃあ決まりだね」


討伐は、1週間後に行くことにした。

しっかりと準備をしないとだな。


◇◇◇


ピーナッツを炒り、干し柿の準備をして軒下に干し、他にも干し芋なんてのも作ってみた。


畑には、春に向けて玉ねぎやニンニクを植えて、イチゴも植えてみた。


イチゴって、きっとあのツブツブ全部経験値になるよね。ちょっとビニールハウスっぽいのを作ってみた。

ダンジョンのドロップ品に、魔力を込めると数時間暖かくなる「ストーブ石」なんてのがあるから、冬場にもイチゴが採れるかもしれない。


楽しみすぎるな。

「これ、イチゴですよね」

「ん、どうした?」

「私、イチゴ好きなんです」

「おお、じゃあハウス増設させるか?」

「はい! 手伝いますね」


シーナちゃんが好物という事で、かなり大掛かりな施設を作ってしまった。

けど、このコの喜ぶ顔が見られるなら、どんな事でもできるな。


あとは、冬に向けて大根とか白菜とかネギとかを準備した。

ユキちゃん、シーナちゃんと3人で鍋を囲むなんて、楽しそうだよ。でも、囲むったらもう1人いるかな。

面子的に⋯


◇◇◇


準備は万端である。畑じゃなくて探索の準備。

干し柿は間に合わなかったが……。

リースのワゴン車にみんなで乗り込む。


「よし。出発だぁー!」

「おぉ~!」


ユキちゃんは後部座席でクールだけど、前の俺たちだけでもテンション上げていこうぜ。


協会の情報では、中級ダンジョンでも難易度がやや高いらしいが、問題ない。


客観的に見て、上級ダンジョンの中層くらいで周回して稼いでるパーティと同程度の戦力だし、中級では完全に役不足になりつつあるもんな。


隣町まで車で数十分で着いた。庁舎のうち「別館」と呼ばれる建物がダンジョン化してしまったとのこと。


役所機能は新館の方でほとんどが執り行われているので、実務は問題ないが、中級化した時に残っていた内勤の部署や資料室、イベントスペースなどがダンジョン化してしまい実害が出だした。


ダンジョンから魔物が溢れ出す「ダンジョンブレイク」が起こった際に、初級のモンスターなら一般人でも逃げられるし、ある程度戦えるが、中級モンスターなら死人が出る。


庁舎のダンジョンか……


山とか川と違って、駐車場にベタ付けできるのは助かるな。

そんな訳で、討伐開始です。

私もシーナちゃんが喜ぶ顔が見たいので、エイガさんには頑張ってイチゴを作ってもらおう。

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