35.攻略は安全第一、仲間第一!
ここは中級ダンジョン。
山の中にできたダンジョンには、獣型のモンスターがたくさん出る。
イノシシや鹿のモンスターからはお肉がドロップする。剥ぎ取った肉は臭くて食えない場合が多いが、ドロップ肉は美味い。ダンジョン不思議の一つである。
川で採れた蟹は、普通に美味かったけどね。
「シーナちゃんナイス!」
くノ一となったシーナちゃんは、戦闘力は俺より落ちるけど、様々なスキルがある。何より巫女服姿がカワイイ。
今回は、蜘蛛の糸のようなモノを使って敵の動きを鈍くする。
「はい。エイガさん!」
「よし!」
乱斬丸で滅多斬りにして、狼型のモンスターを屠る。
「シーナちゃん。よくやった」
頭をポンポンしてみる。
「な、……ありがとうございます」
照れながらも嬉しそう。
……。ふ、普通だよな。褒められたら嬉しいってだけだよね。
お祭りの時、ほっぺにチュウしてくれたけど……。
それ以来、何もない。
前よりボディタッチが少し多くなったな、とかはあるけど……。
まあ、シーナちゃんは大切なパーティメンバーで、可愛い妹分に違いないからね。
妹って居ないから知らないけど、お兄ちゃんのほっぺにチュウくらいは普通のことなんだろう。きっと。
「そんなわけあるかい!」
ユキちゃんが何やら突っ込んでくるけど、まあ、良い、気にしないでおこう。
ユキちゃんは、探索には実体化モードでついてくる。
実体化することでダンジョン産の装備なんかも使えるので、実質的にかなり戦力アップである。
中級ダンジョンでなら近接戦闘もこなせるし、魔力量が高くてシンプルに強い。
それに、11歳の身体つきは、おじさん何か新しい扉を開いてしまいそうで怖くなる。
ただでさえ見た目中学生のシーナちゃんに対して邪な感情を抱いてしまいそうなのに。
おい、エイガ。しっかりしろ。
童貞を卒業するのは悲願だけど、シーナちゃんに手を出すのはダメだし、ユキちゃんはちゃんと大人になってからだよ!
「まあ、今はそれで良いじゃろ」
ユキちゃん。また心読んだ?
「椎名は覚悟できてるようじゃし、儂もこの姿でなんとかできるかもしれんがな……」
小声でボソボソとユキちゃんが呟く。
「ん? ユキちゃん何か言った?」
「なんも。……今はな」
◇◇◇
中級ダンジョンは、初級ダンジョンとは違い一筋縄ではいかない。
ボス部屋の前に来る頃には、何度も戦闘があり、かなり消耗してしまっている。
「みんな、行けるか?」
「うむ」
「いけます!」
二人を見る。シーナちゃんは、ちょっと疲れてるか……。
無理もない。斥候として先行しながらマッピングもこなし、ストレージも解放しての荷物持ちだって魔力を消費する。更に戦闘までやってくれている。
「ゴメン、シーナちゃん。君に無理をさせすぎてた」
「そうじゃな。儂も気づいてやれんかった」
「そんな事ないです。ちょっとだけ消耗してますけど……」
「俺たちは、前のパーティと違って安全第一、仲間第一で行きたいからね」
「前のパーティと違う……」
シーナちゃんはハッとしたような感じ。前のクソリーダーは酷かったからね。
俺、何度見捨てられかけたか……。
通常のパーティなら、中級以上のダンジョンを攻略するのに数日から数週間かける。
レベリング、素材集めなんかも並行して行うからだ。
俺たちはレベリングは畑でやるし、運Sのドロップで素材集めも効率が良い。
だから急ぎすぎたのかもしれないな。
このパーティのリーダーは俺なんだから、もう少し冷静に客観的にならないとダメってことだ。
ハジメテのリーダー業、難しいです。
エイガさん!シーナちゃん大切にね。




