32.待望の稲作
家に帰り、俺、ユキちゃん、シーナちゃんで食卓を囲む。
今日は夏も終わりに近づき、旬となった茄子がメインである。
焼き茄子に天ぷら、浅漬けもあります。
あと、放っておいたらバカでかくなったオクラとか……。
オクラとかキュウリって、放おっておくと滅茶苦茶デカくなるよな。どことは言わんが、俺のよりデカい⋯。って、そんな事はどうでも良い。
「ウマいのはウマいが、少し筋が残るか……」
オクラはたっぷりめに茹でてみたが、イマイチだった。
「経験値が大きいのは種ですから」
と言って、シーナちゃんはオクラの種をボリボリ食べている。
オクラよりそのバカでかいキュウリを丸かじりしてみて欲しい⋯いや、違っ
その甲斐あってか、シーナちゃんが、
「やった。レベル上がりました!」
「う……」
俺はまだだ。悔しいなと、山盛りあった茄子の天ぷらをむさぼり食う。
ピッ――!
お、やっとレベル上がったよ。ゲプッ。
しばらく茄子は食べたくないが、レベルは上げたい。
いくら食べても飽きない米……ご飯を作ってみたいものだな。
【三雲 瑛雅】
レベル: 29(1UP!)
戦闘力: 67(+3)
持久力: 58(+2)
魔法力: 67(+3)
魔力量: 58(+2)
器用さ: S
運: S
成長型: 超晩成
【椎名 薫】
レベル: 27(1UP!)
戦闘力: 48(+3)
持久力: 61(+3)
魔法力: 36(+2)
魔力量: 36(+2)
器用さ: S
運: B
おぉ、上級ダンジョンに居てもおかしくないステータスになってきたな。
この調子だよ。
神社のダンジョンは中級とは言え、少し特殊だった。
普通の中級ダンジョンも攻略しないとだな。
「エイちゃん。儂のレベルも11になったからの。前に言った通り、家の前にある田んぼもダンジョンに入ったぞよ」
「あれ空き地じゃなかったの……いや、確かに田んぼだったかも」
小さい頃はユキちゃんと前の田んぼでオタマジャクシを取ったりして遊んだよな。そんな事を思い出すと、ユキちゃんが頷いた。
「まあ、草刈りして耕してみてだな。それでできるかどうか考えてみてはどうじゃ?」
「うん、そうしよう。どーせ米がなるのって来年の秋だもんね。次の春に田植えするまでに、なんとかすれば良いかな」
「まあ、そういう事じゃな」
「エイガさんの作ったお米、楽しみです!」
シーナちゃんも賛成してくれている。
野菜だけだと、この先レベルも頭打ちになるかもしれない。上級の上、超級ダンジョンへ挑むためには、どうしてもダンジョンの「経験値ご飯」が必要になってくると思うんだよ。
◇◇◇
次の日。
田んぼがあったという空き地に来ると、確かにそこはダンジョンの空気。
風魔法で雑草を切り刻み、シーナちゃんの火遁の術でさっと燃やす。土魔法を駆使して、土をグリグリっとかき回して整えていく。
経験値がごっそり入ってくる感覚はある。
本当にダンジョンの区域に入っているみたいだ。
ひと通り作業を終えると、そこには平らな土地が現れて、確かに水田ができそうな畦があり、そばには水路があった。
ふと呼びかけられた。
「おーい、三雲さーん!」
畑を作る時に世話になった近所のおじさんだ。
「あ、こんにちは!」
「神社をもとに戻してくれてありがとうな!」
お、感謝されてる。
「いえ、曲がりなりにも探索者やってますので」
「おかげで祭ができるぞ。是非来てくれな!」
祭か……。
シーナちゃんを見ると、笑顔で頷いた。
「お祭り、行ってみたいです!」
稲刈り前に豊穣を願うお祭りらしく、今度の土日に開催されるらしい。
おじさんはその後、水路の補修とかもやってくれて、
「あとは水なんだが、今の水利組合長って俺なんだよ。そのへんは上手くやっとくよ」
おぉ、水利とかのややこしそうな話も思いのほかクリアできたらしい。やったね。
田植えできる春まで放置するのも勿体ないからと、玉ねぎとかじゃがいもとか作れることをアドバイスしてくれた。ええ人や
これで米が採れて、あと肉があれば……「経験値1万倍カレー」が作れるな!
ご飯一膳(お茶碗1杯・約150g)に含まれるお米の粒数は、およそ3,200粒〜4,000粒です。
とのことです。
カレー一杯で経験値五千。上級ダンジョンボス並みの経験値⋯。
それでも、上がらないエイガとシーナのレベル⋯




