31.ユキちゃん解放
しかし、この時ほど勇者のスキルが戦闘職として特化している事に、もどかしい思いをした事はなかったな。
隠蔽スキルを使用された敵と戦うためにも必要だと思うんですが……。
「エイちゃんよ。隠蔽スキル使用中は攻撃できないはずじゃ。それにな、その為に仲間がいるのじゃよ」
ユキちゃんには、心を読まれてしまう。
勇者ってソロでも戦える万能戦闘職の称号だけど、仲間は必要って事だね。
シーナちゃんは巣立っていってしまうかもだけど、ユキちゃんとはずっと一緒だからね。
ずっと一緒かぁ。シーナちゃんも一緒が良いなぁ。
「それを椎名に言ってやると、あやつも喜ぶとは思うがの」
「ん。なんの話?……あ、そんな事より解放って?」
クエスト達成報酬の「ダンジョンマスターの解放」ってやつ……。
「あぁ、それか……」
ユキちゃんはイマイチな反応。あれ、でもかなり大きくなっている気もする?
身長も140cmくらいあるんじゃないか?レベル上がったからか⋯。少し女性らしい柔らかさもついてきてるよね。
「何かあるのか?」
「儂が実体化したのじゃよ。それこそ、あの協会本部のマスターのようにな」
「……実体化?」
「うむ。今まではエイちゃんと椎名にだけ姿が見えておったが、これからは隠蔽スキルを使わない限り、皆から認識される」
「へぇ~」
「あと極端な能力が補正されるかの。レベルも上がったし見てみい」
【ユキ(実体モード:年齢=レベル)】
レベル: 11(2UP!)
称号: ダンジョンマスター
戦闘力: 33
持久力: 48
魔法力: 90
魔力量: 80
おぉ、流石は中級ダンジョン。レベルが2個も上がった。
魔法力が110→90に落ちてるけど、戦闘力、持久力は3倍、魔力量は2倍になっている。
強力な切り札は無くなったけど、より実戦的になっているな。
「……。悪くないんじゃないかな」
幼女から少女っぽくなったユキちゃんを見て思う。
幼女のユキちゃんともう会えなくなるのも、少し寂しい。
「なら、まあ元に戻れる事は戻れるがの。ほれっ」
ちょ、心読みすぎだって、恥ずかし……。
【ユキ(幽体モード:年齢=固定)】
レベル: 11
称号: ダンジョンマスター
戦闘力: 11
持久力: 16
魔法力: 120
魔力量: 40
あ、初めて会った頃の幼女のユキちゃんになってる。ステータスは、レベル分上がっているけど。
それはそうとユキちゃんって幽体だったんだ。ラーメン食ったり、プールで遊んだりするけど……。
まぁ、深くは考えまい。
「この姿なら今まで通りじゃ」
「なら、デメリット無いか……」
「探索はおそらく実体があった方が役に立つ気がするが、普段はどっちでも良いかの。エイちゃんの特殊な性癖の為、幼子でいようか?」
……と。
「どこで覚えたんだそんな言葉……! それに俺、ロリコンじゃねえし!」
「ぬ? そうなのか? 儂がレベル上がる毎に、なんだかガッカリしているのは気のせいかのう?」
うぅ、なんだか刺すような視線を感じる。
「エイガさん……」
シーナちゃんからの呆れたような物言い……。
「あ、違うからね! ユキちゃんには、さっきのボスみたいな感じになって欲しいんだからね!」
ん? なんかフォローになってない。
「なんだ……。ロリコンさんなら私にもチャンスかなって思ったけど、あんな女性にはなれそうもない……」
胸に手を当てて、シーナちゃんが呟く。
中学生と言っても通用しそうな、可愛い童顔、どことは言わないが、無いことも無いけど、シーナちゃんの小さい手に収まる⋯。
ロリコンさんには堪らないだろう。あのリーダーもそうだったね。ただ可愛いと言うのは、100%同意できるな。
「いや、違うって。俺はシーナちゃんみたいなのも好きで……っと、あ、いや、そうじゃなくて……」
「エイちゃん。お主は何が言いたいんじゃ!」
……。
俺にもわからんよ。
ただ――
「好きって言ったよね……」
小声で何やら呟くシーナちゃんがご機嫌良さそうで、これはこれで良かった気がする。
幼女は永久に不滅ですっ!
神体にするか幽体にするか迷いました。
神社で祀られていたり神様に近い存在ではあるんだけど、実体モードのユキちゃんも神様に違いないので、モードとしては幽体としました。




