表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/31

24.決闘


「良いだろう! じゃあ俺が勝ったらカオルをパーティーから外せ!」

「えっ? そんなんでいいの……?」


それなら外させた後、もう一度組み直せばノーリスクじゃん……。


「うるさい! 今『俺が勝ったらカオルをよこせ』なんて言ったら、今お前のものだって認めた事になるだろ!」


……ずいぶんと拗らせてるね、キミ。


「いや、シーナちゃんは誰のものでもないよ」

「私はエイガさんのものですっ……!」


ほぼ同時に言ったので声が重なって聞こえなかったのだが――


「良かったのう。椎名はエイちゃんのものらしいぞよ」

「えっ、何て……?」


ユキちゃんの声が聞こえるはずもないリーダーが、一人で勝手に逆上している。


「もう許さん! 表に出ろ!!」

「ああ、わかったよ」


◇◇◇


ダンジョン協会の裏手に広がる広大な敷地には、特殊な結界のようなものが張り巡らされていた。


ここには俺も卒業した『ダンジョン学園』や付属施設の『トレーニングダンジョン』、そして決闘や演習で使う『闘技場』などが備わっている。


「ここって……」

肌を刺す感覚が、ユキちゃんの菜園ダンジョンで感じる違和感にどこか近い。以前は全く分からなかったけれど……ここはダンジョンなのか?


「恐らくそうじゃな」

「じゃあ、あの校長兼協会長が……」

見た目はジジイ、中身は最強アタッカー!


「そんな奴がおるなら、そいつがダンジョンマスターじゃろ」

「そっか、そういう事だったんだ……」


かつてこの学校に通っていた頃に抱いていた数々の疑問が、今になってようやく腑に落ちた。


・学校の空気がダンジョンに似ていたこと。

・演習用ダンジョンがどうやって作られていたのかということ。

・ドロップアイテムもあれば、課題となるクエストも存在していたこと。

・そして――この区画内では、致命傷を受けてもなぜか死なないということ。


これって、あの校長の何らかのスキルだったのだろう。


ここって、ダンジョンマスターが存在する正真正銘のダンジョンだったんだな。

普通のダンジョンは、普通に死んじゃうけどね。まぁ、不思議な事は大概ダンジョンだからって言えば解決する。


ユキちゃんのダンジョンは、畑でユキちゃんの認めた人間を育てるダンジョン。俺のように特殊な称号を与えて超晩成にする代わりに、無限の経験値を供給してくれる。


対して校長のダンジョンは、もっと広く浅く、様々な人間を育てるためのダンジョンなんだろう。俺みたいな尖りすぎた特性だと、全然育たなかったわけだけれど……。


こうしてみると、ダンジョンにも「人間を害する側」と「それを駆逐する人間を育てる側」に分かれているのかもしれないな。


いつか、上級のさらに上である『超級ダンジョン』を攻略して、魔王と呼ばれるダンジョンマスターを討伐すれば、何か真相が分かるのだろうか……。


◇◇◇


などと深い考え事をしながら歩いていたら、あっという間に闘技場へ着いてしまった。


「フン! 怖くて声も出なくなったか!」

いや、ただの考え事をしてただけなんだけど……。

「怖くて? そうだな……確かに、この手が弱い者を叩き潰してしまうかもしれないのが、ちょっと怖いよ」

お、今の厨二病っぽい?恥ずかしい!


「舐めやがって……! 死んだ方がマシだと思うくらい叩きのめしてやるよ!」



「では、私が見届人を務めますね。お二人とも準備は良いですか?」


シーナちゃんが見届人をやってくれるみたいだ。

周囲にも野次馬や見物人が騒ぎを聞きつけて集まってきたし、そろそろ頃合いだろう。


俺は静かに剣を構える。


初級ダンジョンを5つ攻略する中で様々なドロップアイテムが集まったけれど、「剣」のドロップはあまり恵まれなかった。


手元にあるのは『無銘の刀』。中級ダンジョンクラスの戦いでは明らかに役不足な武器だ。


対してリーダーが構えるのは『バスタードソード』。

昔、俺の『運S』の恩恵でドロップした高級アイテムだ。両手剣で、中級ダンジョンなら問題なく通用する逸品。丈夫で上級探索者でも愛用している人がいるくらい強力な武器である。


「ラアァァッ!」

両手剣を豪快に構えたリーダーが迫ってくる。


俺は【光魔法】を自分に掛け、身体強化のバフを施す。これでステータスの差は1.5倍以上に広がるはずだ。


――遅い。遅すぎるよ、リーダー。


大振りな剣を振り下ろしてくるので、手にした刀で受け止めると――


バリィンッ!!


(あ、刀が折れた……)

ぶ、武器が違います……ってやつだよ、これ!


「ハハハハッ! もらったぞ、クソ雑魚がぁッ!」

歓喜の叫びとともにリーダーの剣撃が迫るが、俺はそれを紙一重で軽く躱す。


勢い余って体勢を崩したリーダーの無防備な顔面が、目の前へと滑り込んできた。


(あ、これ……顔から殴れるな)


そう思った瞬間には勝手に手が動いており、俺の拳がリーダーの顔面を捉えて豪快に吹っ飛ばしていた。


サッと瞬身して吹っ飛んでいく先へと回り込み、空中で無防備に飛んでくるリーダーをさらに蹴り飛ばす――!


「汚物は消毒だぁ~!」と言わんばかりに、浮き上がったリーダーに向けて追撃の【火魔法】を叩き込んで黒こげに焼いてみた。


ドスン……。


後に残されたのは、見るも無残な残骸(黒焦げのリーダー)だった。

……や、やりすぎたかな?


でもまあ……ここなら死なないから大丈夫だよね!

このダンジョン世界の説明が難しいので、北斗の拳ネタ、汚物は消毒だぁ~!で誤魔化してしまった⋯。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ