22.夏野菜
作物から採れる経験値は、どうやら「種」が多いものほど高いみたいだ。
「まあ、それだけ『命』を多く頂いているということじゃな」
なんてユキちゃんは言うのだが――。
(なら、スイカも種ごと食うべ!)
と意気込んで挑んだものの、自家製の小玉スイカは種が無数にあって、経験値的にはかなり美味しかったが、種ごと丸呑みするのはやはり相当辛かった……。
やっぱり果物を種ごと食うのはシンドいなぁ……。
とは言え、果物の種類によっては「ドライフルーツ」に加工すれば、ダンジョンへ持っていく携帯食糧としてちょうど良さそうだ。
イチジクなんかは特に良いかもしれない。
ユキちゃんのレベルが上がったことで、我が家のダンジョンエリアが少し広がった。
そのおかげで、昔じいちゃんが植えていた果物の木々がダンジョンの敷地内に入ってきたのだ。
あの隅にある柿が収穫できたら、干し柿を作ろう。栗の木なんかもある。今のうちに雑草を刈ったりしてしっかり手入れをしておこう。
「本当に草を刈るだけで、どんどんレベルが上がるんですね……!」
シーナちゃんはレベルが上がるのがよほど嬉しいのか、率先してよく働いてくれる。
イチジクも無事にいくつか収穫できた。そして俺のレベルも上がった!
うーん、今から秋の収穫が楽しみだ。
◇◇◇
そんな風に「農業」という名のレベル上げに重きを置きつつ、週1ペースでダンジョン攻略に挑戦すること約1ヶ月。
季節は真夏まっしぐらとなった頃、俺たちはついに初級ダンジョンを5つクリアすることに成功したのだった。
【三雲 瑛雅】
レベル: 25(3UP!)
戦闘力: 55(+3)
持久力: 50(+2)
魔法力: 55(+3)
魔力量: 50(+2)
器用さ: S
運: S
成長型: 超晩成
【椎名 薫】
レベル: 21(5UP!)
戦闘力: 30(+3)
持久力: 43(+3)
魔法力: 24(+2)
魔力量: 24(+2)
器用さ: S
運: B
成長型: 超晩成
基本ステータスは、やはり純粋な戦闘職である『勇者』の俺の方がだいぶ高い。
だが『くノ一』には、それを補って余りあるスピードと特殊スキルがある。一度模擬戦をしてみても面白いかもしれないが……負けそうだから嫌だな。
「では、ダンジョンコアは頂くとするかのう」
と言って、ユキちゃんが5つ目のダンジョンコアを吸収する。
【ユキ】
レベル: 8(2UP!)
称号: ダンジョンマスター
戦闘力: 8(+1)
持久力: 13(+1)
魔法力: 105(+5)
魔力量: 35(+5)
レベル8。8歳といえば小学校低学年か……。
もう「幼女」とは呼べないかもしれないが、ユキちゃんは可愛いらしさを保ったまま順調に成長しておられる。
まだレベル15(高校生くらい?)になったユキちゃんは想像できないけれど……おじさん、頑張るよ。
◇◇◇
「中級ダンジョンに行くには、一度ダンジョン協会に行かないとですね」
「あ、そっか……そうだったね」
「しかも中級ダンジョンって……多分、前のパーティーが今まさに挑戦していると思うんですよね。あまり鉢合わせしたくないなぁ……」
そっか、元パーティーのリーダーがストーカーみたいにしつこく言い寄ってきているんだったな。
「あ、でも……多分今の俺なら、あのリーダーより強いし、絶対に守ってあげられるよ」
というか、正直くノ一になった今のシーナちゃん単体でも対人戦(PvP)で勝てる気がするけれど。
「守っ……て……くれるの……?」
途端に顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに俯くシーナちゃん。
「あはは! でもシーナちゃん自身もすごく強いし、多分アイツに勝てるから、俺なんていらないか……ははは!」
「もうっ!! エイガさんなんか知らない!!」
「えっ!? あ、あれ……怒っちゃった!?」
うーん、女の子の気持ちって本当に分からないや……。
「エイちゃん……いい加減にした方が良いと思うがのう」
呆れ顔で冷たくツッコむユキちゃん。
「ゴメンゴメン! いざって時は絶対にちゃんと守るからね!」
と、俺はとびきりの笑顔でサムズアップしてみせた。
「もうっ!……お願いしちゃいますからね!」
シーナちゃんがふっと笑ってくれた。ふぅ、良かった。
お気に入りのコには、笑ってもらえるだけで、おじさんは幸せになっちゃうんですけどね。
⋯エイガさん。羨ましいです。




