21.くノ一の性能
シーナちゃんがこの家に住むということで、まずは家の中のひと通りの設備を案内した。
「へぇ~、お風呂って広いんですねぇ」
「まあ、田舎の家だからね」
「これなら、一緒に入れますね!」
「ブフォッ!? い、一緒って……」
「冗談ですよ。……まだ」
「大人をからかわないで欲しいなぁ」
って……今、小さく「まだ」って言わなかったか?
ゴクン……。
いやいやいや! 俺にとって彼女は娘とか妹みたいな存在だからね!
……とは言いつつも、お風呂はシーナちゃんに先に入ってもらった。
その日のお風呂場からは、いつもよりほんのり良い匂いが漂っている気がして、少しニヤけてしまったのは内緒だ。。
◇◇◇
次の日。俺たちは山にある「初級ダンジョン」の攻略に向かった。
難易度的には、昨日攻略した川のダンジョンとほぼ同じくらいだ。初級ダンジョンを5個攻略すれば、中級ダンジョンへの挑戦権が得られる。
とりあえずは中級ダンジョンに挑めるようになることを目指し、初級ダンジョンをサクサク攻略していこうということになったのだ。
シーナちゃんの新称号『くノ一』の性能も試してみたかったしね。
――見せてもらおうか、シーナちゃんの新しい称号の性能とやらを!
『くノ一』は、予想通り戦闘職としてはスピード特化の称号だった。レベル13の割に、レベル23の俺よりも速い動きを見せているかもしれない。
戦闘職としては、その素早さを活かしたクリティカルヒットを狙ってダメージを与えるタイプみたいだ。さらに【忍術】という魔法に似たスキルも使えるらしい。
クリティカルヒットを狙うための急所打ちスキルもあるようで、今後の成長が楽しみすぎる。
戦闘スキル以外にも【気配察知】や【罠感知】、【マッピング】といった斥候特有のスキルに加え、元々シーナちゃんが持っていた【ストレージ】も引き継がれているようだ。
「えへへ。ストレージのレベル、下がっちゃいました!」
なぜか嬉しそうなシーナちゃん。
「どうしたの?」
と尋ねてみると――
「これで、しばらく引っ越しできないです!」
と胸を張る。
「えっ? あ、でも引っ越し屋さんを呼べば良いじゃん」
「もぅっ! そういう事言ってるんじゃないです!」
……ならどういう事だろう?
「まあ、シーナちゃんなら、いつまでも居てもらっても良いんだけどね」
と俺が軽い気持ちで言うと、シーナちゃんは――
「そ、それって……っ」
顔を真っ赤にして俯いてしまった。
どうしたのかな……と思っていると、ユキちゃんが口を開く。
「椎名……誤解するでないぞ。エイちゃんに他意はないぞよ」
ん? 他意とは?
「わ、わかってます……けど」
するとユキちゃんに服の裾をクイッと掴まれ、かがまされて耳打ちされた。
「年頃のおなごに『いつまでも居ろ』とか……お前はバカか」
「ん……?」
……うーん、本当に良く分からん。
「えっと……シーナちゃんみたいに可愛くて明るい子だったら、一緒に居て楽しいし……あ、そっか。彼氏さんとか出来たら出て行かなきゃいけないのか……。でも、そんなの別に気にしなくても良いんだけどね!」
言った瞬間、なぜか二人からじとーっと冷たい視線で睨まれてしまった。
「もう! エイガさんのバカ!!」
「エイちゃん……お主は本当にバカなのか!?」
……解せぬ。俺はバカだったらしい。
◇◇◇
なんて会話をしながらも、初級ダンジョンのボス【ジャイアントクロウラー】を難なく撃破。
カニのモンスターと違って紙装甲なのでデバフをかけることもなく、攻撃が素直に通って楽勝だったのだが……巨大な青虫のお化けを切り刻むというのは、精神的にかなり来るものがあるな……。
体液とかもエグいし……。
しかし、体液とかまったく気にする様子もなく青虫の体内にあるコアを探しながら、シーナちゃんの感動はまったく別のところにあったみたいだ。
「本当にレベル上がらないんですね!」
そう、それが『超晩成』ってやつだよ。
ようこそ、「レベル上がらない沼」へ――!
……なんて思っていたのだが。
ダンジョンから帰り、一緒に畑仕事をやっていると――
「あ、レベル上がりましたー!」
晩御飯を食べ終わると――
「本当にレベル上がるんですねー!」
……だって。
おいおい、少しは苦労して欲しかったな!?
俺の十数年間の苦労を返してくれよ……!
(……ちなみに俺のレベルは流石に上がりにくくなっているようで、今回は現状維持でした。ユキちゃんも今回は現状維持)
【ステータス】
名前: 椎名 薫
レベル: 16(3UP!)
称号: くノ一
戦闘力: 19(+6)
持久力: 32(+6)
魔法力: 18(+3)
魔力量: 18(+3)
器用さ: S
運: B
成長型: 超晩成
ステータスの上がり幅も順調そのものだな……うらやましい!
昨日、更新できていなかったので、朝投稿します。
よろしくお願いします!




