17.初級ボス ジャイアント・クラブ
川辺のダンジョン(初級)
ボスは、人の背丈ほどもあり、凶悪なハサミをもった「ジャイアント・クラブ」だった。
「不味いな⋯」
魔法が効きにくく、防御力も高い。弱点は雷⋯。
「エイガさん。雷魔法は使えますか?」
シーナちゃんに聞かれるが、
「すまん。持ってない⋯」
雷、光、闇、毒、木などの特殊な魔法は、火風水土の基本的な属性魔法とは別にある。
俺は、希少な光魔法を使えるが、流石に雷までは持ってない。
武器が強ければ、光魔法のバフで物理でゴリ押しできるが、このショートソードでは⋯
ハサミでの攻撃を振り切り、剣撃を加えると
カーン。とショートソードが折れてしまった。
ドロップ品はまだあるが⋯。同じだろう。
「みんな。ここまでかな。逃げよう」
ダンジョンで死なない最大のコツは、絶対に無理しない事。幸いモンスターはテリトリー外までは追ってこないことが多い。
「はい。仕方ないですね」
「じゃあ、目眩ましに魔法撃ちまくるから、逃げるべ」
「ちょっと待ち」
ユキちゃんが、ダンジョンに入って初めて発言した。
「ユキちゃん?」
「儂の闇魔法を忘れておらんか?」
「戦ってくれるの?」
「当たり前じゃろう。今まで出番がなかっただけで、ほれっ、闇拘束!」
うぉ、ユキちゃん。魔法も日本語だった。そりゃ、そうか、昔は英語なんて入ってきてなかっただろうし⋯
迫ってきたジャイアント・クラブは、黒いリボンのようなモノで、羽交い締めにされて動けなくなっている。
「闇破装甲⋯。よし、エイちゃん今じゃ。その剣でも切れるぞい」
「ヨシ。エイ!」
ホントだ。鉄板間違えるほど硬かった装甲に、豆腐を切るような手応えで剣が入っていく。カニを真っ二つにすることに成功した。
「やった!」
今まで、初級ダンジョンのザコモンスターでさえ手こずって、駆け出しのパーティに寄生してようやく探索者として生計を立てられていた俺が⋯
初級モンスターとは言え、ボスモンスターを真っ二つにするなんて⋯
頬に生暖かい感触が伝わってくるよ。
ホント泣けてくるな。
初級ダンジョンボス。ジャイアント・クラブを討伐しました。
ドロップ品
大蟹ハサミ
大蟹の胸当て
ダンジョンコア小
おぉ、ダンジョンコアゲット!
ドロップ品を集めながらシーナちゃんが言う
「この胸当てカッコ悪いですけど、防御力高くて丈夫なので高く売れます!やりましたね」
⋯防御力高そうなんで使おうかと思ったけど、シーナちゃんにカッコ悪いとか思われたくないから売っちゃおう。
「はい。これダンジョンコアです」
シーナちゃんが宝石の欠片のような物を拾って渡してくれた。
「ありがとう。ユキちゃん、コレでいいのかな?」
「うむ。紛れもないダンジョンコアじゃ」
ユキちゃんの手の上で、ダンジョンコアは眩しいばかりの光を放ち、そして霧散した。
現れたのは、少しだけ成長したユキちゃんだった。
ずっと幼女のままでいて欲しい気持ち。
いやいやいや、成長してもらってエイガさんのお相手をしてあげてという気持ち。
作者的には、ずっと幼女でいてほしいのだが⋯
エイガさんは、ずっとチェリーで良し。
エイガ「おぃっ!」
ブックマークとか評価とかしていただけますと、ありがたいなという気持ち⋯




