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16.いざダンジョンへ

「スキルは、一通りの近接攻撃系と4元素魔法、それと光魔法かな」

「儂は、闇魔法じゃな」

「私は、斥候のスキルは大体あります。あとストレージはレベル4です」


ひと通りのスキルが揃ったバランスの取れたメンバーだな。3人しかいないけど⋯。


ストレージ(収納)の容量はスキルレベルに依存していて、レベル4と言うと軽トラックの荷台いっぱい分くらいの容量がある。


「シーナちゃん。流石は万能荷役、凄いな」

「エイガさんこそ……! 全属性魔法が使える前衛なんて、凄いなんてもんじゃないですよ!」


そう言って、頬を少し赤く染めるシーナちゃん。

まあ、こんなオジサンを面と向かって褒めるのは照れくさいだろうけれど、おじさんとしてはめちゃくちゃ嬉しくなっちゃうから、多少照れても頑張って褒めてね。


しかし、本当に可愛いなぁ。

前パーティーのあのイケメン(笑)リーダーが惚れるのも頷ける。


「まあ、以前はステータスが低すぎてカスだったんだけどね」

光魔法のバフだけは魔法力に依存しなのでそれなりに役に立っていたはずなのだが……。

「よし、気を取り直して行こうか」


結界をくぐり抜け、ダンジョンの領域へと踏み込む。

肌を刺すようなピリッとした空気。久しぶりに足を踏み入れたダンジョンだが、どこか我が家の庭の畑で日常的に感じている空気と似ていた。


似ているってだけで、ちょっと違うけどね。


「じゃあ、私が先行しますね!」

斥候役でもあるシーナちゃんがスッと前に出る。

「お願いするよ。でも、絶対に無理はしちゃダメだよ」

「はい! 初級ダンジョンとは言え『ダンジョンでは絶対に油断するな』と師匠から教えてもらっていますので!」


師匠? 誰だろう……?

シーナちゃんの誇らしげな笑顔を見るに……俺のことかな。

いつも俺が言ってることだし。




【川辺のダンジョン(初級)】

と探索者端末の画面には表示されている。


少し進んだところシーナちゃんから報告。


「エイガさん、モンスターです! グリーンスライム3匹、前方10メートル!」

流石はシーナちゃん。精確にモンスターの種類、数、そして距離まで正確に教えてくれる。

「わかった。このステータスで戦うのは初めてだから、1人でやってみたい。2人とも下がっていて……」


「はい!」

「うむ」


グリーンスライムの弱点は、確か火属性だったはず。

俺は火属性魔法【ファイヤーボール】を手に展開して放った。

昔はピンポン玉くらいの大きさしか作れなかったファイヤーボールが――


(えっ……ドッジボールくらい大きくないか……?)

瞬く間に飛んでいった巨大な火の玉は、3匹のグリーンスライムをあっという間に灰燼へと変えた。


後ろでユキちゃんがパチパチと拍手してくれている。なんだか楽しそうだ。


――凄い威力だな。ステータス40超えとはこれほどなのか。


「エイガさん! 凄い威力ですよ! 今まで見たどのファイヤーボールより大きいです!」

「そんなわけないじゃん。誇張しすぎだって」

「エイガさんこそ、謙遜しすぎですよ! ……あ、流石は運S、ドロップアイテムがあります!」


【スナック・ドロップ】

スライムゼリー × 3(効果:体力回復・小)


まあ、回復用にはソラマメスナックを山ほど持ってきているので要らないけれど、売れば1個1000円くらいにはなるだろう。


「あ、今度はゴブリンです! 1匹!」

「オッケー。【アースバレット】!」


土魔法と風魔法の組み合わせだ。土魔法で作った圧縮弾丸を、風魔法の推進力で放つ。

ズドン、と黄土色の弾丸がゴブリンの腹に大きな穴を開けた。


ドロップアイテムは――

「【ショートソード】です!」

刃渡り40センチほどの短い剣だ。今の俺にはこれでも十分すぎる武器になる。


「よし、武器ゲットだな」

「次は、レッドワームです!」

ミミズの化け物か……焼き尽くせ!


「マジカルフロッグです!」

魔法が効きにくいカエルか……よし、拾ったショートソードで!

ザシュッ!



――この調子でドンドンいこう。

シーナちゃんが手際よくマッピングをしながらモンスターを見つけ、俺がそれを倒し、落ちたドロップアイテムをシーナちゃんが素早く回収する。


……ユキちゃんはというと…。今のところ何もしていないけれど、実に楽しそう後ろをついてきていた。可愛い幼女がいるだけで、何かほっこりするよね。

って油断しちゃダメだよ。


◇◇◇


4時間ほど、適度に休憩を挟みながらモンスターを狩り続けて進んだところで、シーナちゃんがピタリと足を止めた。


「この先……ボスですね。行きますか?」

「当然! シーナちゃんは大丈夫?」

「はい! エイガさんが凄すぎるので、全然平気です!」


俺が凄いと平気……というのはよく意味が分からないけれど。


まあ、戦闘面で彼女に全く負担をかけていないし、ソラマメスナックで体力回復もバッチリだ。


よし、ボス討伐もサクサクっといこう!


普通は、こんなにドロップアイテム出ないです。

流石はエイガさんです。



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