15.初級ダンジョン
一夜明けて、探索用の服に着替える。
探索用の服は、丈夫な作業着という感じの作りで、動きやすさと最低限の防御力を兼ね備えている。
前衛なら鎧や胸当てといった、いわゆるファンタジー風の本格的な装備もあるのだが、アタッカーに特化できない俺は動きやすさを第一に重視して、この服を採用している。
……まあ、ここに引っ越してくるときに、ほとんどの装備を売り払ってしまったという現実的な理由もあるんだけど。
軽トラックに乗り込み、エンジンをかける。
「あれ、ユキちゃん。助手席に乗ったらシーナちゃんが乗れなくなっちゃうよ? って、付いてくるの?」
「当然じゃろ。ダンジョンコアをもらうのじゃからな」
「そっか。確かに……」
「それに、儂は闇魔法が使えるからの。エイちゃんができない事もできるぞよ」
闇魔法か……。強力なデバッファーだ。戦力としても普通にアリだな。
約束の駅に着くと、シーナちゃんが既に待っていた。
小柄だけど、すごく可愛いから遠くからでもすぐに分かる。
今日のシーナちゃんは、ハーフパンツにスニーカー。上はTシャツという、まるでそのまま高校の体育の授業に出られそうなスタイルだ。おじさん的には100点満点なのだが、露出している手足の部分の防御面とかは大丈夫かな……と少し心配になる。
とはいえ、これはダンジョン装備。露出した部分にも防御力が通っているはずだ。
その為、ビキニアーマーとかのファンタジーな装備もあると言う。
「シーナちゃん、お待たせ!」
「あ、エイガさん! おはようございます!」
手ぶらなのは『収納スキル』を使っているからだろう。
万能荷役として、荷役に必要なスキルを網羅している彼女なら、どこのパーティーからも引っ張りだこになるはずだ。探索者のイロハを教えてあげた恩を感じてくれているのかもしれないが、早めに代わりとなるパーティーを見つけて解放してあげないとな……。
こんなオジサンとじゃ、釣り合わないよね。
……とはいえ、俺がこのまま『高レベル勇者』になれたら、彼女の隣に立つ夢をほんの少しだけ見ても良いのだろうか。
なんて、ガラにもなく思ったりして。
「じゃあ、乗ってよ。高級車で優雅にドライブ……とはいかないけどさ」
なにせ、ボロい軽トラックだしね。
「いえ! 大丈夫です! あ……あの、ユキちゃんは?」
「そっか。じゃあ運転しにくいけど、俺のお膝――」
「あ、私のお膝に座ってください!」
「まあ、儂の姿は普通の人間には見えんから、荷台でも大丈夫じゃよ」
結局、運転席は俺、助手席にシーナちゃん、そしてシーナちゃんのお膝の上にユキちゃんという配置に落ち着いた。
ユキちゃんは、荷台に乗ってみたかったみたいだけど、シーナちゃんのお膝でも、ご満悦な様子。
目当てのダンジョンがある川辺までは、ここから車で20分程度だ。
「ゴメンね、乗り心地悪いでしょ?」
「いえ! 全然大丈夫です。エイガさんとドライブですね!」
「ははは。まあ、2シーターのスポーツカーとかだったら格好良かったんだけどね」
軽トラだって2人乗りではあるけれど⋯。
「いえ、エイガさんとならどんな車でも楽しいです!」
「そう言ってもらえると嬉しいな。俺もシーナちゃんとドライブできて楽しいよ」
「儂もいるのじゃが?」
「そうだね、ユキちゃん。3人で楽しく行こう」
楽しい時間はあっという間に過ぎると言うけれど、本当にあっという間にダンジョン近くの水辺に着いてしまった。
ダンジョン協会の手によって簡易的な結界が張られており、一般人が立ち入れないよう区画整理されている。
討伐依頼を受けた探索者の端末があれば、その結界を認識して通り抜けることができる仕組みだ。
ダンジョンの入り口の前で、最終準備をする。とはいえ、入ってみないと分からない部分も多いけれど……。
「じゃあ、最初にお互いのステータスを把握しておこうか」
昨日はちょっと恥ずかしいなと思ったけれど、やっぱりパーティーとしての連携を組む以上、お互いの能力を正しく共有しておくことは不可欠だ。
【ステータス】
名前: 三雲 瑛雅
レベル: 21
称号: 勇者
戦闘力: 43
持久力: 42
魔法力: 43
魔力量: 42
器用さ: S
運: S
【ステータス】
名前: 椎名 薫
レベル: 25
称号: 万能荷役
戦闘力: 25
持久力: 50
魔法力: 30
魔力量: 30
器用さ: A
運: B
【ステータス】
名前: ユキ
レベル: 5
称号: ダンジョンマスター
戦闘力: 5
持久力: 10
魔法力: 90
魔力量: 20
器用さ: C
運: A
……ユキちゃん、レベル5なのに魔法力「90」ってパネェな。
スキルまで書きたかったけど、いっぱいになるので。
そこは伏せておくのも物語としてはアリでしょうか?
明日からは1日1話以上の更新目指していきます。
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