13.椎名薫
【椎名薫】
「私じゃ、ダメですか?」と言ったあと。
目の前にいるイケオジ……私にとっての『イケオジ』であるエイガさんは、すごく嬉しそうな顔をしてくれた。
ふふ、良かった。
「って……シーナちゃん、あのパーティーはどうしたの?」
「私も抜けました」
エイガさんを追い出すような酷いパーティーに、1秒たりともいたくないもんね。
「えっ……。でもあのパーティー、結構将来有望だったと思うけど……」
でた。エイガさんって、人を見る目無くて、とことん良い人なの。以前はイライラさせられたけど、今となっては久しぶりで懐かしい⋯。
「エイガさんの代わりに、新しくアタッカーを入れようとしたんですよ」
「それは……悪手だなあ」
エイガさんの絶妙なバフ盛りがあってこそ戦えていたのだから、補充するなら絶対にバッファーを入れるべきなのだけど。
でも、あの脳筋リーダーは「おっさんのバフなんて必要無かった」なんて断言してから、私に近づいてきて――
『邪魔なおっさんがいなくなったんだから、俺と付き合ってくれるよな?』
『は? 無理。なら私も抜けます』
って感じで、あっさり抜けてやったのだ。
でもあのリーダー、本当にめちゃくちゃ気持ち悪かったね。
『期待のイケメンアタッカー』とか持ち上げられて調子に乗っていたけれど……あんなの、全部エイガさんのおかげだったのに。
案の定、エイガさんと私が抜けたあのパーティーは今やボロボロらしい。
無謀にも中級ダンジョンに挑戦してあっさり全滅、命からがら逃げ帰ってきたって噂を聞いた。
ザマァ⋯。って、思っちゃうよね。
「……ダメですか?」
不安になって、もう一度聞いてみる。
「ダメじゃない! むしろ大歓迎だよ!」
エイガさんは飛びっきりの笑顔で応えてくれた。
うう、笑顔が眩しすぎる……! やっぱ好き!!
「ユキちゃん。シーナちゃんとパーティーを組んでも良いよね?」
エイガさんが、隣に座っている女の子に尋ねる。
なんでいちいち許可を取るのよ!と一瞬思ったけれど――
「良いんじゃないかの。えっと、椎名とか言ったかの……。お主は良い人そうじゃし、エイちゃんに対しての好意も好ましいぞよ」
ユキちゃんが言う。好意だなんて⋯なのにエイガさん
「コーイ? あぁ、好意ね。まあ、俺からすれば妹か娘みたいなもんだしな。お兄ちゃんって思ってくれていると⋯あれっ、叔父さんだったか?」
なんて言うのよ。
……ッく!
お兄ちゃんってところ、違うって顔したら、叔父さん?
全然、違うって⋯。
確かに、今まで妹か娘扱いしかされてこなかったけれど……!
さっき私の胸を凝視してくれていたから、ちょっとは脈アリかもなんて期待したんだけどなぁ……。
ほらっ、無いわけじゃないでしょ!
Bカップだもん。大きくないけど、あるもん!
……って、でも、可能性がゼロってわけでもないよね!?
「まあ、儂がレベルアップして美女になってから、エイちゃんの童貞を卒業させてやっても良いと思っておったんじゃが……まあ、椎名が相手でも良いのではないかの?」
「ぶっっ!!?? な、何言ってんだよユキちゃん! その話は今はダメ!!」
……えっ? えっ……!?
(ユキちゃんが成長して、エイガさんの……童貞を卒業させる……!?)
どういう話なの、それ!?
って言うか……エイガさん、まだ女の人とそういう事をした事が無いんだ……!
ふーん……。
なんだか、ものすごく嬉しくなっちゃうな。
あ、でも……初めて同士って色々大変って聞くし、本当はエイガさんに優しくリードしてほしいんだけどな……。
(なら、一度『美女になったユキちゃん』にお任せして、リードできるようになってもらってから……)
――って、ダメダメダメ!!
ユキちゃん、絶対に将来すごい綺麗な美女になるよね!?
そんな人が相手になっちゃったら、私なんて一気に見向きもされなくなっちゃうじゃん!?
……よし、覚悟を決めたぞ。
ライバル(?)に負けないように、私、全力で頑張っちゃおうかな……!
シーナちゃん回です。
ていうかエイガさん、はよう探検しろよな!




