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12.パーティ結成


「そんな事より、エイガさん」

胸を凝視してしまった事を「そんな事」で済ましてくれた。


ホッ……助かった。


無いことも無いとか、可愛い感じで俺は好き!なんて言ったらドン引きだよね。


「どうしたの?」

「なんか……。凄くレベル上がってないですか?」


【鑑定】スキル持ちの彼女だけど、他人の正確なレベルやステータスを読むには最上位のスキルレベルが必要なはずだ。それに、鑑定かけられると、かけられた側もわかるものだから、許可なしに鑑定するのはルール違反なんだ。


ただ、鑑定スキル持ちなら敢えて鑑定しなくても、相手の纏う空気で大体の強さが分かったりする。俺も一応、鑑定スキル持ちだからその感覚は分かる。


一方、この端末で鑑定できるのは、モノとかに限られる。


「お、分かるかな。……実は、コレのおかげなんだよ」


そう言って、揚げたてのソラマメのスナックを出してあげる。親身になってくれたシーナちゃんなら、教えても良いだろう。


【エイガのソラマメスナック】

効果: 体力回復(中)、経験値獲得(小)


「え? 凄いですね、【ソラマメスナック】……! 体力回復が付いてるなんて凄いです……」


「あれ、経験値(小)ってのは?」

「えっ? 経験値……? そんな効果がある食べ物なんて、存在するわけないじゃないですか」


……ん?

不審に思って、すぐ隣に座っているユキちゃんに視線を向ける。


「レベルが上がるのは、エイちゃんだけだぞよ」

「えっ? どういう事!?」

「この畑で得られる経験値は、儂が認めたダンジョン探索者のみ。超晩成を与えし者への救済みたいなもんじゃ」


……レベルアップに必要な莫大な経験値。そして『超晩成』という初心者殺しの成長型。これらが組み合わさった結果、俺のレベルは10年以上も全然上がらなかったわけだが……。


「えっと……俺が今まで血反吐を吐くほど苦労してきたのは……」

「それはのう……エイちゃんに称号をあげた次の年から、エイちゃんが急にここへ来なくなったからじゃろ……」


……あ。

そういえば高校生になったら、段々と田舎のじいちゃんちから足が遠のくよな。あと、異性に性的な欲望を持つとユキちゃんが見えなくなる仕様。そんなの年頃の少年には、無理な注文だよ。


それに『勇者』の称号ってのがその頃の鑑定試験で判明して、調子に乗っていた時期でもあったのだ……。

うっ、自業自得か……!


「あのー……」

あ、シーナちゃんの存在をすっかり忘れていた。

「あ、ごめんごめん!」

「あの……今も、その女の子(?)と話してるんですよね?」

「うん。そっか、ユキちゃんの声も聞こえないのか……。ユキちゃん、姿を見せてあげてくれないかな」

「もうウルサイことは言わないので、お願いします!」

シーナちゃんが頭を下げると、ユキちゃんはニヤリと笑った。

「わかった。ほれっ!」

「あ……! あ、あの、エイガさんの元パーティーメンバーの椎名薫と言います!」

「儂は、ダンジョンマスターのユキじゃ」

「えっ……ダンジョンマスター……!?」


そこからシーナちゃんに、我が家の庭がダンジョン化している事。

クエストを達成したらユキちゃんが出てきた事。

幼い頃、ここでユキちゃんと一緒に遊んでいた事などを順を追って説明した。


「へぇ~……。そう言う『特定の想い』みたいなものがあると、ユキちゃんが見えなくなるんですね。じゃあ私にも、それがあるんだ……」

特定の想いとは、綺麗に言うね。ようは、性的欲求⋯。


「ん? お主は、エイちゃんのことが――」

「わぁーっ!! ダメですよ、本人が目の前にいるじゃないですかぁーっ!」


……よく分からないけれど、二人ともすっかり仲良くなっているようで良かった。


「あ、そうだシーナちゃん」

「なんですか?」

「俺さ、このダンジョンのおかげでかなり強くなれたんだよね」

「分かります! 本当は鑑定してみたいくらいです」


人への鑑定はマナー違反とされている。鑑定されると、頭の中を覗かれているような嫌な気分になるから解るし。


それに、多分まだシーナちゃんの方がステータスは高いだろうし、追放された元先輩としてはちょっと恥ずかしい……。


「でさ、これからどこか適当な初級ダンジョンに行こうと思っているんだけど……今、フリーのポーターとかに心当たりないかな?」


万能荷役を持つエリートポーターであるシーナちゃんの横の繋がりで、誰か紹介してもらえるとありがたいのだが。


「エイガさん、戦闘職だから斥候も必要ですよね?」

「あぁ、いれば助かるけど……」

「ちょうどパーティーを抜けて、完全にフリーな人が約1名いますけど」

「おぉ! 本当!? 良かった~……って……」


シーナちゃんが、急にどこかあざとく、上目遣いで甘い声を出してきた。

そして、すごく嬉しそうな笑顔を浮かべる。


「……私じゃ、ダメですか?」


――そう言われて、断れる男がこの世にいるだろうか?

いや、絶対にいない。


というか、シーナちゃんは優秀な【万能荷役】持ちで、何よりあの時俺を引き止めてくれた優しい子だ。

仲間になってくれるなら、ありがたいことこの上ない!


エイガさん!シーナちゃんの『特定な想い』気付いてあげようね。

私も、誰かにそんな想いを向けられて、気が付いてないに違いないのだけど。⋯って、誰だよ!

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