八話「この世界にサヨナラを」
私の横に寄り添うかのように武器を構えるユキさんと有川さん。私たちの前に花咲さんは心を決めたかのように立ち尽くす。正直言ってこんなことはしたくなかった。だからなのだろう。私が神となって自分だけ責任を取ってこの世から消えるつもりだったのだろう。だからこそ私がやらなければならないこの役目を今ここで果たすのだった。
「花咲さん。この剣がなぜ私の手に渡ったのか分かったよ。それも二度も。国境なんて一つの見えない線が分けているんだもんね。自分たちが作り上げた世界のように」
「うるさい。私はあんたを許さない。絶対に」
その時、有川さんは彼女に向けて羽を広げて体当たりをする。しかしその羽は花咲さんの二つの刃により意図も簡単に切り落とされてしまう。
「痛いよ……花咲さん。これでよかったの?」
「うるさいよ、天使なんかじゃない。あんたは私を黙って死を見送った悪魔よ」
「天使でも悪魔でもいいわ。それでも私はあなたのことが愛しかったから」
有川さんは光の粒となって空に上がって言ったかと思えば彼女の姿は消えてしまった。これが成仏ということなのだろう。
「あなたたちに会えて嬉しかったわ。だってあんな宿の外がこんなにも面白かったんだもの。最低男さん、ごめんね。アポロニアもテンマももう行ったみたいだわ。あなたならできる。だって私たち、ダークホースのリーダーなのですから」
ユキさんはそう言い残すと、花咲さんに向き直って告げる。
「花咲さん。あなたに会えた前は幽霊なんて共に過ごすどころか話すことさえできないと思ってたわ。今考えると、私たちも幽霊だったのかしら。でもステータスとかは普通だったわね。細かいことはいいわ。ありがとう……そしてさよなら」
ユキさんは雲を使い、花咲さんを包もうとするが二つの刃がそれを阻止して彼女に向けた大きな大砲により、彼女もまた光のチリとなって消えてしまった。
「花咲さん、ごめんね」
「なんで謝る?私はこうして笑ってるじゃない」
たとえ笑ってるとしても……。
私は国境国境を地面に突き刺して彼女に近寄って行く。
「何よ、あんた。死にたいの?」
そんな脅しでも私は彼女に近寄って行く。そして彼女に強くハグをする。その拍子に彼女の手に握られた二つの刃は彼女から離れて地面に突き刺さった。
「だって君の瞳から雫が流れてるから」
「……そんなこと言わないでよ。何も出来なくなるじゃん……いいや、何もしたくなかった。あなたと初めて会った頃に戻れればなぁ……」
「戻れるよ。きっと……またいつか会えるよ。だから今は安らかに眠りなよ」
「何か眠りたくなっちゃった……炊飯ジャー。そしておやすみ……」
目をつぶった彼女もまた光のチリとなって消えてしまった。そして血だらけになった私の神が空から降りてくる。
「こっちも終わった。この世界もそろそろ終わりだ」
「おい、神。もう一度、リスタートできないか?」
「残念ながら無理だ。だが、お前には希望がある。だってお前はまだ死んじゃいないからな。元の世界に帰れ……」
その時、私を包むかのように眩しい白い光に照らされるのだった。
ついに次回、最終話!!お楽しみに。




