最終話(九話)「エンドロールは流れない」
窓から吹かれた風によってめくれたカーテンの隙間から布団の上で寝ている私の顔を太陽が照らしていたのだった。
電波時計の日付を見ると、あの事件から二ヶ月を経とうとしていた。私はご飯を食べた後に黒いスーツを身に付けて外に出た。
隣の家に挨拶に行く。そこで線香を差し込む。また家を出る。
駅に行く途中で天馬くんの親友だったアポロニアちゃんの家にも寄って線香を与える。
駅のホームは相変わらずいつも通り何もなかったかのように使われていた。駅のホームの奥に花束などあったが、もうここには何もない。
私はそのまま駅のホームを出て外に出る。家の方向とは反対側の坂道をずっと歩いていくと、お寺があった。その入口にためらいもなく入り、一つの墓に辿り着こうとしていた。しかしそこにはまるで花咲さんが墓参りしているかのような格好をしていた。彼女は私に近寄って歩いて来る。
「あなたが吉田健三さんですか?お母さんがよく会いに来てくれてるって。お姉ちゃんが亡くなった時も側にいて何度も何度も謝ってくれて『大丈夫だよ』と言ったら『墓の場所を教えて下さい。私はそれが彼女へ与えられる最後の償いです』って。それで今日もまた来たのですよね」
「ごめんなさい。助けてあげられなくて」
「安心してください。悪いのはあいつですから」
私は彼女にこれ以上何も言えなかった。彼女は花咲楓の妹、桜と名乗っていた。母親である椛さんのように何か優しく包まれてしまう感じが良かった。私は彼女と共にお参りをして家に帰ることにした。
家に帰った私は昨日買ったであろう『アナザーワールド』というゲームをやる為にセットして初めて見る。
「主人公の名前か……アルファベットにしようか、カタカナにしようか……ん?こうしよう」
そして私はそこに『アルファ』と入力した。しばらく歩いていると、いきなりステータスが上がるのが分かった。数字の隣に『+』と書かれて数字が書かれている。
私はこの現象を知っている。
「チートゴースト……か」
「本当にまた会えましたね。画面を境にしてですけど」
どこからか女の子の声が聞こえたが、何も感じないようにゲームを進めるのだった。
私の人生にエンドロールは流れない。それでも私は終わりを知っている。死という名の終わりを。
〜完〜
ついに完結しました。今までお読みいただいた方等、ありがとうございます。




