六話「この世の住人のために」
私は地面に黒い刃を突き刺す。まるで英雄が絶望の中で神に対し、剣を突き刺すどこかの絵のような姿を他の人たちに見せているのだろう。
「あぁ、思い出したよ。俺は誰も救ってねぇ。花咲さんを救ったとか言ったただの偽善者だ。なぁ、そこに縛り上げられている神よ。この世界は俺が作り上げたんだよなぁ。なら、俺がこの手で全てを変えても文句ねぇよなぁ。俺がやることは何も変わんねぇよ。お前ら全員助ける。そうだろ、クソ神!!」
「何を戯けが……んなっ!!」
紐で縛り上げられていた神がその紐をちぎったかと思えばそれは黒くなり、灰となってしまった。そしてその神は仮面を飛びながら捨てた。
「やっぱりあんたかい、花咲さんよ。若い私が死んだら今の私も消えてしまう。だからといって私はさっきまで出れなかったからのぅ。神は神同士やり合うからお前らはお前らなりにケジメを付けろ……いいな?」
「あぁ……」
そう言うと神である白色が目立つ年老いた私は空へ飛んで行った。新神である彼女もまた売られた喧嘩を買うかのように付いていく。
「……んで、そろそろ構えを解いてもらえないかな?」
私は剣の構えをやめない花咲さんに言う。
「私は許さない。許せない。赤の他人である私を救うなんて」
「赤の他人……か。親族や友達、関係性なんて必要なのか?目の前で困っていたら助けてあげる以上に理由なんて必要ですか?」
「だから偽善者なのよ」
「そうかもな……そしてこの世界を作ったのもお前ら全員を成仏させたりするためなのかもな」
その言葉に反応してやっと後ろから声がかかる。
「私も死んだの?」
「そうだよ、ユキさん。有川さんと花咲さんのクラスメイト。そして花咲さんとケンカした翌日に僕の目の前で彼女は死んだ」
「おい、やめろ!!それ以上話すな!!」
花咲さんは私に向かってその言葉を言い放つ。しかし無視して話を進める。
「そして有川さんは犯人に無理矢理連れられて近くの公衆トイレ内で殺害。その話を聞いた君は学校の屋上から飛び降り自殺。その時、ちょうど犯人と刑事だったユリさんが刺し違いで致命傷を追い、ゆくゆく重症化してどちらもお亡くなりになったわけだ」
「やめろー!!」
これでいいんだ、と私は心の中でそう呟いた。みんな怯えたような表情で私に敵対している。私はここで死んでもいい。だってそれが償いだから。しかしここにいる者がこの世界が消えるまで私は私のそれを絶対に許すことはしないのだった。




