63/73
八話「操り人形」
首をめいいっぱい後に回すと、そこには剣を私に刺したバルトロイドさんがいた。
「おい……どういうことだ……これ……」
「……(ごめん。自由が効かない)」
「へっ。そいつに何を言っても無駄だよ。だってそいつは弟であり人形だ。だって喋んないからなぁ」
「そうか。お前、知らないんだな。彼の言葉を。とりあえず彼に剣を抜かせろ」
ベルトロイドは少し私を見た後、私の言葉を呑んだかのように頷いた。するとバルトロイドさんから私に刺さった剣が抜けた。そこから激痛と一筋にして激しく流れる血が私を苦しめた。
「苦しそうだな?もう楽にしてあげるからな。やれ」
「……(やめて、兄さん。このまま真っ直ぐ刺したら……)」
「こうすれば刺さらない」
私は体を素早く右に回してバルトロイドの突き刺した剣を避けた。ベルトロイドの驚く顔が私の目を焼き付けるのだった。
「催眠術が効かないならお前は用済み。同じ顔してて邪魔だから早くそこから落ちて消えろ、カス」
バルトロイドさんは処刑台から下に向けて剣先を自分の腹に向けたまま落ちるのだった。そんな彼に私は手を伸ばすことしか出来なかった。またしても私は仲間を救えなかったと思ったのだった。しかし……。




