六話「復活者」
時計の針を見ていると、時間は早いもので残り約一時間を切っていた。私たちはあらゆる隠れ道を通って薄暗い塔のような建物に辿り着いた。
「避けろ!!」
「雷鳴雷鳴」
私たちに向かって雷が降り注ぐ。私が言わなければどうなっていたか分からないほどの大きな穴が開いていた。目の前には両方とも眼帯で包まれた大柄の狼の姿がいる。手には二つの黒い拳銃。
「久しぶりだな。吉田健三と言ったか?お前のおかげでさらに自由に行動でき強くなれた。お礼としてお前を殺すがな?」
「お前……誰だっけ?」
「けっ。まぁ、あの時の俺はあっさり殺されたがな。この黒服は覚えているだろ?お前達の知り合いの町をあんな目に合わせたんだからよ?」
やっと思い出した。アポロニアの町で戦った片目の眼帯の狼だ。こいつがなぜここに?
「お前はなぜここにいる?」
「そんなもん、簡単だ。お前らにやられた世界は崩壊した。だからこその自由だ。悔しいか?えぇ?」
確かあの時はユキさんの力で足止めをして倒せたはず。だが、ここに彼女はいない。ならば……。
「あぁ、悔しい。戦う気も失せた。諦めるか」
「えっ?あっ?ちょっと?」
「吉田さん?いいの?」とランバースさんが私の去る姿に後を付きながら聞いて来る。
「……(おい、どういうつもりだ?)」
さすがの無言のバルトロイドでも静かにしてねぇか。どういうつもり?そんなもん、こうすんだよ。
「これでいい……わけねぇだろ!!」
剣の感覚と狼野郎に触れた音が私の体を刺激する。そして目の前には彼の血が飛び散る。
「行くぞ、お前ら。これが本当の反撃戦だ!!」
血だらけになった狼一匹を地面に野放しにして私たちは塔の中へと歩く。




