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三話「すれ違い」
私が周りをキョロキョロしていると、バルトロイドは私の裾を引っ張ってある一点を指差す。その先にいた者たちが私たちを見るなり、声をかけてくる。
「吉田さん!!」
「アニキ、よくぞご無事で」
声をかけてきたのはアポロニアとテンマだった。他の連中はいないようだ。
「……(気を付けろよ)」
私は軽く首を振るなり、剣を取り出す。
「アニキ、何の真似?」と言ってテンマは剣を構える。
「それはこっちのセリフだ!!」
アポロニアの怯えた顔が私の目に映っている。これは彼女の演技だと思っても前に襲いかかれないのが辛い。だから私は一番いいと思った手段を取る。それは剣を鞘に戻してバルトロイドと共に立ち去ることである。
「私、嫌われちゃったのかなぁ!!ねぇ、テンマさん!!うわーん!!」
大声で私の後ろで泣いたって私は何もしない。彼女が何を考えているのか分からないから。だとしてもテンマが私の背を斬りかかって来ないことに疑問を感じる。
「……ただのいい子ぶりか……」
「?」
「いや、何でもない。有川さんを探さないとな」
私は心の中のモヤモヤを抱きながらも目的を果たすために町の中をまた駆けているのだった。




