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六話「夢の世界」
私は辺りを見渡す。
「ここはどこだ?」
気が付けばユキさんだった姿もなく、吉田健三そのものの体となっていた。だが、周りにいたであろう仲間がいない。代わりにあるのは無数の元の世界の縦に長い箱型の墓だけであった。私以外誰もいない。私は一つの墓の前で手を揃えたまま膝を折って拝むかのように座っていた。そして私の下にある黒いズボンに浸る水を感じるのが分かった。雨かなと思って上を見てみるが、雨は降っていないようだ。目がもどかしい私はそこに右手で靡く。その手のひらを見てみると、小さな雫が付いていた。私は泣いていたのだ。目の前にある墓の名前を見てみる。そこには『花咲』さんの名前があった。
「ねぇ……ねぇってば!!起きてよ、吉田健三!!」
私の体が急に上に上がったかと思ったが、強い衝撃に目の前の光景ががらっと変わった。そこには花咲さんがおでこを撫でながら涙を流していた。
「ん?ここは?」
「あら、やだ。きつく締め付けすぎたかしら?」
ユキさんの荒々しい声が私に降り掛かる。首を回して右を見ると、ユキさんの目が鋭く私を睨みつけていた。彼女も私もどうやら元通りの体を取り戻していたようだ。私の体にはゴム紐がきつく縛り上げていたが。




