五話「幽勝すべきモノ」
暗い空の下で剣を構えながらお互い刃を構える二人。そして幽霊がもう一人。
「お前を相手する前にそこにいる女を倒さなくてはな?花咲だっけか?剣も持たずに俺の前に立つとは愚かな」
「花咲さん、後に下がって」
彼女は私の言葉を無視するなり、両手を広げて空間に突っ込んだ。そこから出てきたのは片手ずつの二本の剣だった。
「吉田さん、私が何もしないで待っていたとでも?私は守られてるだけの生き方よりもお互いに守り合える生き方を選ぶ。ただそれだけのことを願ってあなたの横に立つ。それだけよ」
「お互いに頑張ろう」
「話は終わったか?」
返事なども聞かずに地面に向けて銀色の刃を出してくるアキレス。その刃は私たちの一歩手前で止まっていた。
「終わったよ……お前の人生もな?」
私は手に持っていた国境を片手に強く握り締めながら彼の足から上ろうとするが、銀色の体は滑って上にも上がらない。そんな時、花咲さんは私の方を見て両手の剣を交差したり振り回しては私にアイコンタクトを取る。それが何を示しているのか悟って、私は彼の股を潜り抜けて後ろに回る。
「行かせるかぁ!!」
「あなた、後ろ向くと私に刺されるわよ?」
「くっ!!」
「もらった!!この暗雲の雲さえ切って明るくなれ!!国境国境」
私の持っている剣の刃の先から光り出すかのように白い閃光が空にまで上がり、アキレスの体に向けて真っ二つに斬っていく。真っ二つに斬り落とされた彼の体は光と共に空へと散っていった。静かに鳴り響く銀色の剣の金属音。私はそれに誓ってアキレスが最後にたっていたであろう所に銀色の剣を地面に刺す。
「俺たちの優勝……いや、幽霊であるお前に勝ったから幽勝だ。だがな、この剣はお前がここにいたいから残ったんだろう?そんな剣を持っていく気はねぇ。アキレス、お前の償いはここからこの剣を通してみんなを見ていろ。俺の仲間だったアルセイドが空から見てたようにな。この町はお前が支配していたよりも住みやすくなるぜ。なぜなら、俺が……俺たちがここに足を踏み入れたからよ。もしまた暴れたくなったらその時は空から俺の居場所へ落ちてこい。相手してやる。だってお前も俺も剣を交えた仲だからよ」
私がそう言うと冷たい風が私の体を靡く。まるで誰かが泣いてるのを私に訴えかけているかのようだった。だが、私もまた限界だったのだろう。ついに目の前が暗くなった。




