三話「銀色の化け物」
目の前にいたのは銀色をしたアキレスが私たちを遥かに超えるほど大きな体をしていた。私たちの怯えたであろう顔が彼の体から映し出されて分かってしまう。
「く……」
「アルファ!!」
近くにいたであろうアルファや私の姿をしたユキさん、それにユリさんはアキレスの振りかざした右手に飛ばされて壁の側で血を流してぐったりしていた。
「くそっ。速い」
「私があなたたちを守ります」
そう言って桃姫さんが私たちの前に立つ。彼女の足は小刻みに震えていた。
「無理……」
無理しないで、と言うつもりだった私のその言葉よりも彼の左手が彼女を赤い血に塗らせて壁に飛ばした。
「回復の二人も防御の彼女もやられた今、できることは私たちでこいつを始末することでしょ?」
目の前にいるランバースさんは私の前に立っては振り向かないまま言う。
「あぁ、でも……」
「まよ……」
彼女もまた言葉を言い切る前にアルファたち同様に赤い血の海を体から床へと染みさせているのだった。おそらく言いかけた言葉は「迷うな」とかそんな感じだろう。その言葉など心や頭の中では分かっていた。しかし体が動かない。そういえばこの場所に来る前にこんな感じのでかい奴を倒したような。あの時はどうやって倒したんだっけ?いや、殺されたんだっけな。何でもいいや、もう仲間はいない……。
「現実逃避しないでよ。あなたならまだやれるでしょ?」
その女の子の声と同時に右手が来る。私はそれに向けて黄金の剣で対抗した。直で持たずに飛ばしてではあったが。黄金の剣はここで来てやっと真っ二つ以上に折れた。
仲間ならまだ一人いた。彼女とは誰よりも長く居て、誰よりも深い何かに結ばれている。そして彼女と共に倒したことがある。目の前にいるでかい化け物を。
「それって……」
「そうだよ、花咲さん。これ、ミストリアが落としてあの野郎を倒した国境だ!!」
「あの鳥野郎が落としていったそれが何だよ」
「アルセイド……ふふ……ふはははははは!!」
私は死んでしまったアルセイドが落としたそれが今の私たちの命を救うことになることに物足りない物を求めるかのように笑う。
「吉田が壊れた」
「壊れてねぇよ。壊れるのはてめぇだ!!銀歯みたいな色をしやがって!!輝いて邪魔になるんだよ、色々不都合だし」
「あん?」
彼は私を睨みつけるかのように私を見る。私はそんな彼を同じように睨みつけるのだった。




