四話「二階の女」
私たちが二階に上がると、そこには細長い足を伸ばした普通の女性が立っていた。そんな彼女の手にもまた剣を持っていた。その剣の色は緑で鮮やかだった。いわゆるエメラルドだろう。そんな彼女の服装もまたエメラルド色のドレスだった。
「ふっ、あの子。負けたのね。まっ、いいわ。七光聖剣王の一人、メルルリードがお相手を致す。そして私の剣は伸びる」
私の腹あたりに強い衝撃が起きる。それと同時に口から吐血が出た。これが生理という奴なのか?
「吉田さん!!」
大声で私の名前を叫ぶランバースさんと花咲さんの二人の様子からしてそれは違うようだ。なにせ、首を下に向けた私の目には赤い血で塗られた腹の傷が出来ているのだから。
「て……めぇ……ゆる……さね……ぇ……」
「吉田さん、話さないで!!死んじゃうから。吉田さんはいいけど、ユキさんの体が死んじゃうから」
俺はいいのかよ、と心の中で思いながらも私はそう呟く。しかし次第に気を失っていく。
「誰か来てよ!!ねぇ!!」
花咲さんの嘆く声。
「このままあの世へ行け!!」
メルルリードとかいう奴の声。
「花咲さん、ここはまず彼女を倒しましょう?」
ランバースさんの声。
これらの声が心臓の鼓動の音と隙間から聞こえてくる。
(俺、このまま死ぬのかな?)
心の中でそう思った時、一つの映像が映る。
(まただ。しかも今回は明確に……!?)
その映像は前に見たことのある映像そのものであった。しかし今回は墓の前にいるのは花咲さんだった。そして彼女はひざまついて泣き崩れいる。何か言っているようだが、分からない。その墓の名前は『吉田健三』。つまり私だ。
「……っと目覚めなさいよ、最低男!!」
強い衝撃と共に私は目を覚ます。そこにいたのは自分だった。
「あぁ、ここがあの世なんだ。俺がいるなんて。変な走馬灯か何か分からないもの見るし」
「そうね。私の体をあんなふうに見てさぞかし興奮したのでしょうね。さっきから股間に生えている大きな虫が邪魔くさいのよ。そのまま寝ぼけて斬り裂いてくれる?」
あぁ、あの世の方がよかったと私は目の前にいる彼を見て思った。彼の足元にはビデオカメラがあった。そしてそこには私の……いや、ユキさんの体の下着をめくって中を覗いたその行為が映ったまま電気を散りばせながら粉々ににりつつも静止していた。
「それ、激痛だと思うよ。ユキさん……」
「そうね。私の腹をえぐってるよりも何倍も痛いでしょうね?ねぇ?」
「あのぅ……怒ってますよね?」
「もちろんです。花咲さんが撮ったのを見て激おこです。ですが、あなたを叱るのは後。今は花咲さんたちを助けてあげて」
周りを見ると、そこには彼女たちの姿が見えなかった。代わりにメルルリードの気絶した姿だけが壁に大きな穴を開けて飾られていた。大きな衝撃音が上から聞こえてくる。
「あいつら、戦っているのか?」
「えぇ、アルファさんたちと同じにね。彼らもまた実の体を取り戻し、墓から出てここに私と共に来たわ。それでもね……なんて最後まで言わなくていいか。だからお願い!!」
「治療ありがとう。そして一緒に行くぞ。奴らがへばってたらすぐに回復させたいからな」
「……うん」
こうして私とユキさんは三階へと向かうのだった。この地の最終決戦が一刻一刻と進んでいるのだった。




