六話「墓に眠る仲間」
体を浮かした彼女の後ろを歩いてると、胸がブラに触れているからだろうか密着していてやや熱い。男のパンツと違って女のパンツはやたら密着していてそれもまたやや熱い。その熱さを和らぐかのように透き通る霧と風が私の股間を撫でる。
「……んが!!」
「……変態」
私はいきなり止まった花咲さんの背中にぶつかってしまった。そしてぶつかるなり変態と言われる始末である。だが、この『変態』という言葉が後で重々しく呪いの言葉と化すのはまだこの時の私には分かるはずもなかった。だってこの時の彼女はまだ私にアレを見せていなかったのだから。
「今は女の子同士なんだから変態言わなくても」
「そうですね、分かりました。変態」
「あー、もう。分かりましたよ。ごめんなさいね、色々と」
「謝罪は後の後悔に辛し……」
「なんですか?それ?」
「ぷふっ。いえ、何でも。それよりもこれを見てください」
不思議に思ったが、彼女の言われた通りに私は墓のところを見る。そこには昨日目で見た岩の墓はない。そこにあったのはガラスケースのような箱に眠らされている人々。そして目の前には自分の本体を含めて仲間たちが心地の良さそうに眠っていた。
「何なんだよ、これ」
「アキレスの幽霊たちの仕業よ」
「何、それ?」
「そこに歩き回っている幽霊たち……あっ、ダメよ!!バカ!!」
「バカではない、アホだ。やばっ、上がらない」
私はそのガラスケースに近くにある名前の書かれた岩をぶつけようとするが、今のユキさんの力でなくても持ち上がらないほど埋まってあった。
「どっちでもいいわ。それよりも岩でガラスケースを割るとかしたらダメよ。アキレスの幽霊たちが気が付いちゃうわ。それに岩で割って破片があなた達に付いたらそれこそ危険だわ。岩でぺっちゃんこにもなりかねないし」
「確かに……でもどうすれば?」
「だから倒すのよ。アキレスの幽霊たちを。そのためにあなた達が来るのを待っていたわ。有川さんのことも待っていたんだけど?」
私は今の彼女の発言に首を傾げて私とユキさんの今までの出来事を思い出して目の前にいる彼女に黄金の剣を向ける。
「何の真似よ?」
「お前がアキレスだろ?」
「ふっ、よく分かったな……なんてそんな甘いシナリオがありますか?吉田さん」
「違うか。まっ、花咲さんは敵に回すと厄介だからね。何せ、チートゴーストだから」
「私は正真正銘の元ダークホースのメンバー花咲楓よ。なぜかここに飛ばされて変に記憶を改ざんされそうになったけど、私幽霊だしそんなもん効かないから。だから……その……」
「もう分かったし、最初から信じて気が付いてるよ。そんなことよりも言いたかった言葉あるでしょ?言ってごらん」
「……ただいま」
「おかえり、花咲さん」
私は花咲さんに笑顔でそう言う。彼女もまた笑顔を返した。仲間たちが眠る墓の前ではあったが。それでも再開して言えたのだ、この言葉を。




