王都行きは回避したい
「国王陛下に直々……」
「俺達は王都に行く予定はない」
蒼兄さんの言う通り。
私達は後少しでダンジョン探索に入るので王都に行くは出来ない。
「グレン。あれを」
「はい」
ギルドマスターがグレンさんに声をかけると、グレンさんがギルドマスターの机の引き出しから何かの紙を取り出して持ってきた。
「これは前に見た…えーと、伝…書…魔法紙…」
「その通り。伝書魔法紙だ」
うろ覚えの私の回答に即座にギルドマスターが答える。
「但し、特別製の王宮仕様の中でも更に上の、直接国王陛下に届く最上級の物だ」
ぴらりと私達の前に、王家の紋章と複雑な模様の刻まれた伝書魔法紙を掲げ「まさか私の在任中にコレを使う事になるとは…」と嘆いている。
「それがあれば私達が王都に行かなくてもいいんですね」
「………」
私の言葉に対して、物言いたげな目のギルドマスターがちらりとグレンさんを見やる。
「駄目です。代筆は出来ませんよ。最上級はギルドの長であるギルドマスターの貴方だけにしか扱えないのですからね」
グレンさんは短い溜め息をつくと「全く。いいですか―――」と、ちょっとしたお説教のような小言をギルドマスターに喰らわせた後、グレンさんが私達に聞かせてくれた話によると通常の伝書魔法紙はギルドマスター、副ギルドマスターのグレンさんや何人かの職員さんの使用が可能で、王宮へ届く特別製は基本ギルドマスターと副ギルドマスターだけが使用できて最上級はギルドマスターしか使用出来ない。
そして特別製と最上級は緊急時のみ代筆が可能だけど、特に最上級はギルドマスターの身に何か無い限りは代筆は許されないらしい。
そのギルドマスターは先程のグレンさんのお説教(小言)のせいで、だいぶ体力が削られているけどペンを握れない程ではなさそうなので、まぁそこは何とか頑張ってほしい。
『我が主よ心配は要らぬぞ。誰が何を言おうとこのわしが相手になってくれよう…。うむ、どうじゃギルドマスターとやらよ、わしがそれに一言添えようか?』
「いや、それはご遠慮させていただく」
私の心を読んだのかシグ様が物騒な言葉で気づかってくれながら、ギルドマスターには不穏な提案をするも速攻でお断りされていた。
『なんじゃ、つまらんのぉ』
後ろでチッチャの二回目の欠伸が部屋に響いた。
チャッチャ『読んでくれてありがとな』
チッチャ『にゃんだかよくわからなかったにゃ。王さまに会わなくていいのかにゃ』
チャッチャ『それは何とか回避したな。これからダンジョンに行くんだから行く暇ねぇし』
チッチャ『そうだにゃ! ダンジョンにゃっ おヒゲくるりんなんかに会うひまないにゃっ!!』
チャッチャ『おヒゲくるりん? なんだそりゃ』
チッチャ『前に麗ねぇちゃたちが遊んでたやつにゃ』
チャッチャ『あー、トランプのキングか』
チッチャ『それにゃ、王さまはおヒゲくるりんなのにゃ』
チャッチャ『いや、王様みんなにヒゲがあるとは限らないぜ』
チッチャ『にゃっ きっとおヒゲはあるにゃ!』
チャッチャ『まぁ、あったとしても俺達のヒゲには敵わないけどな!!』




