報告、大事。
「………」
「………」
「「「………」」」
『『『………』』』
『うにゃーん』
私達はシグ様に急かされ慌ただしく二階に上がりギルドマスターの部屋へと入った。
兄達に挟まれソファーへ座り、クリス達は後ろでおとなしく待機中…チッチャだけゴロゴロと寛いでいて、一つを除けばいつも通りだ。
『して、何か問題でもあるのかのぉ』
ギルドマスターとグレンさん、そして私達が無言の中、いつもと違う事の原因でもあるシグ様がなに食わぬ顔でギルドマスターに質問している。
私の膝の上で。
「―――問題はない……と言いたいところだがそれでは嘘になるな。…よって、問題だらけだ」
(…ですよねー)
「先ずは貴殿にお聞きしたい。貴殿はあの古竜シグヴァルト殿で間違いないだろうか?」
もう確信は得たであろうギルドマスターだけど、シグ様に直接確認をした。
『うむ。お主が想像しているであろうシグヴァルトに相違はないの』
シグ様の返答を聞きギルドマスターは額に手をして悩んでいるのか、考え込んでいるのか、暫しの沈黙の後、私に視線を向けた。
直ぐに目を逸らす。
が、時すでに遅し。
一瞬、目が合ってしまう。
「変なモノは狩ってくるなとは言ったが……」
(いえ、狩ってはいません。家族にしただけです)
「狩ってはいない。…という顔だな」
思っていたことを見透かされ、目が泳ぎ挙動不審になってしまう。
「………まぁ、従魔になったものは仕方がない」
ギルドマスターのその言葉に、ほっとしたのはつかの間。
「―――だが、これからは従魔が増えたならギルドマスターの私には必ず報告するように」
ギルドマスターの〝必ず報告〟がやけに強調されていたのは気のせいではないみたいだ。
これって家にいるケルベロス達も報告しなくちゃいけない……いや、まぁそれは大丈夫かな。
家から連れてくる予定はないからね。
(でも、これから家族が増えてもお家待機かな、これは)
「おい。まだ話は終わっていないんだが……まったく、兄妹揃って同じ顔をするな」
――と、そんなことを思ったところで、一通り話も終わったと言わんばかりにソファーから腰を上げかけた私達にギルドマスターが放ったのがこの言葉だ。
どうやら私と蒼兄さんは同じ顔をしていたらしい。
念のため、万が一ということもあるので、剛兄さんをチラリと見るが当然というように表情は変わってはいなかった。
「えっと、まだ何か…」
「……王家への報告だ」
「っ王家…」
「「………」」
びくりする私。
嫌な顔する蒼兄さん。
変わらぬ剛兄さん。
イカ耳になるクリス、ジル、チャッチャ。
兄妹各々のフードで寝るシオン、アジサイ、カスミ。
そして、大きな欠伸をするチッチャとシグ様。
また王家かと思ったが、よくよく考えてみればシグ様は王家創立の根本に関わる訳で…。
「気付いたみたいだな。もしも、レイ、君が只のドラゴンを従魔にしたのだったら冒険者ギルド内だけの報告で問題はなかったのだが…」
ギルドマスターが私からシグ様に視線を移す。
「まぁ只のドラゴンでも我々から冒険者ギルド全体それから上層部、そして最終的には王家にと報告が行くが、それがあの〝伝説の古竜〟ともなればまた話は別だ」
思わず私は息を詰まらせた。
「――国王陛下へ直々に報告する事になる」
チッチャ『読んでくれてありがとなのにゃ』
チャッチャ『また面倒くせぇ話になったな』
チッチャ『にゃに言ってるかよく分からにゃいにゃ』
チャッチャ『あーつまりだな。この国の一番偉い人に直で報告するんだと』
チッチャ『いちばんエライ人……ままちゃにゃっ』
チャッチャ『…頑張れ、ぱぱちゃ』




