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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
161/164

その、もう一人は…

新年おめでとうございます。

今年も【漆黒のヴァルキュリア】、そして可愛いケットシー達を、どうぞよろしくお願い致します。




「――伝説の古竜(エンシェントドラゴン)シグヴァルトか…」



 ギルドマスターの表情が疑念から確信へと変わり、そして何故か次には眉間にシワが寄りまくった苦悩の表情に変わっていた。




「…喋るドラゴンの話は創られたおとぎ話だろ?!」

「伝説って本当だったのか!? ドラゴンが建国の英雄を育てたって言う話は…」

「てか、そのドラゴンって古竜(エンシェントドラゴン)だったのか?…」


 いつの間にかギルドマスターの圧から解き放たれていたギルド内から聞こえてきたのは、いつぞやの私達のやらかし(クリス達がケットシーだとバレた)時に話題にあがった〝ドラゴンのおとぎ話〟である。

 驚愕の面持ちで話す冒険者の彼らはいつぞやの彼らなのか。




「……あー、兎に角だ。君達からは()()()()()()()()を聞きたいが…いいな?」


 ギルドマスターの視線には圧は感じられないが、その声色と言葉からは他の選択肢を一切合切認めないぞと雄弁に語っている。



「今ですか?」

「今だ」


 このいつぞやと似たやり取りもほぼ同じである。


 やっぱり逃げられないかぁと肩を落としてギルドマスターに着いていこうとすると、その落とした肩に乗るシグ様が酒場の方を見やり『我が主よ、その前にちとすまぬが…』と私に声をかけた。


 シグ様の視線の先を辿ると…酒場の奥の床に何かが(うずくま)っている。


 酒場の奥、いつも私達がお邪魔している【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】が皆がいる場所で…。



「えっ!? ちょ、ちょっと…ウォルターさん!? どうしたんですか?!」



 いつも席の前で蹲っていたのは相変わらずフードを深く被ったウォルターさんで、蹲ると言うよりも(ひざまず)いている様に見える。


「………」


「あの…ウォルターさん?」


「それが先程からこの調子でね」


 無言で頭を下げるウォルターさんに声をかけるも、答えてくれたのは肩を竦めるマクシミリアンさん。


「うーん、ギルマスの威圧と同時にこんなんなっちゃってさ」

「同時というよりも何なら若干ウォルターの方がギルマスより速かったな」


 グロウ君もヨアヒムさんもウォルターさんの様子にあまり心配する気配はない。


「ウォルターさん大丈夫ですか? 具合が良くないんですか? …お腹とか…」


 私の発言にヨアヒムさんが「お腹って…」と肩を揺らしながらの呟きを耳に、体調が悪いならこっそり何処かで治せるかもと考えていた時だった。




『…どうやら息災の様じゃの』

「はっ……」

『うむ、(こうべ)を上げよ。今のわしは従魔じゃて。お主ら冒険者と何ら変わらん』

「――御意に…」




 いきなりの事に周りが唖然とするが、当のウォルターさん本人は既に自らの席にしれっと座っていた。


『さて、我が主よ。あの男と話があるのじゃろ?』


「え?」

『さぁさぁ。早く行くのじゃ』

「ええぇ…」



 未だギルド全体がぽかんする中、シグ様に急かされ、ウォルターさんとシグ様がどういう関係なのか考える暇もなくギルドの二階へと上がる私達であった。










チャッチャ『読んでくれてありがとな』


チッチャ『あけおめなのにゃっ』

チャッチャ『あけおめー』


チッチャ『にゃにゃっ どういうことにゃ! シグたまと魔術師のおにぃたんは知り合いなのかにゃ?』

チャッチャ『そりゃ魔術師のにぃちゃんは………だからな』


チッチャ『そうだったにゃ! 魔術師のおにぃたんは』

チャッチャ『あー』

チッチャ『大丈夫にゃ、お口チャックなのにゃっ』


チャッチャ『いつまでそのチャックが持つんだか…』


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