↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
59/75

第59話 ねんがんの、まほうすきるを、てにいれた!


「スミレ。魔法教えてくれない?」


「わ、わわわわ私がですかぁ!?」


 ユキナとの訓練を終えた翌日、朝食を食べ終えて手持ち無沙汰になった隙を突いて、以前頼みかけた件をスミレへと振りなおす。


「いや、他に誰がいるんだよ……嫌なら無理にとは──」


「い、いえ!……その、それはもちろん、嬉しいんですけどぉ……私なんかで、いいんでしょうか……」


 なんだこいつ。魔神でダメなら誰でもダメだろ。根本的なところは相変わらずなんだな。仕方ない、クランメンバーの肯定感を上げるのもマスターの仕事だ。


「スミレ」


「は、はい……」


「お前じゃないとダメなんだ」


「ふぎゅ」


「お前しか考えられないんだよ」


「ひゅ」


「だから、教えてくれないか?」


「ひゃ、ひゃいぃぃ……」


 やったぜ。


「なにやってんのあんた」


 後藤さん何見てんだよ。見てたなら手伝えよ。


 ◇◇◇


 気を取り直してバルコニーへと出てきた。室内でもいいらしいけど、後藤さんの視線がウザかったからな。若い男と女がいたら、すぐに惚れた腫れただ言いやがる!かぁー!べらんめぇ!


「何やってるんですかぁ?」


「いや、ちょっと江戸っ子の血がね?」


「はぁ……?」


 いまいち理解が及んでいない(当たり前)スミレは置いといて、さっさと本題に入ろう。


「じゃあ、お願いします」


 俺?俺は生徒なので、先生からの指示待ちです。オナシャス!


「え、えっとぉ……私は初めから魔法スキル持ってたんですよねぇ……うーん……これでいいのか、ちょっと自信ないんですけどぉ、恭平くん?」


「はい!」


「お手手をお借りしてもいいですかぁ?」


 手のひらを上に向けてこちらへと差し出してくるスミレ。


 それに応えて、彼女の手に自分の手を重ねる。


「…………ふぅ、落ち着け落ち着け」


「……スミレ?こっからどーす──うおおおっ!?」


 体の中の魔力が、手のひらへと強制的に集まっていく。


 ス、スミレに、操られて……!?


「わかりますかぁ?恭平くん……?」


「お、おお……魔力が、手のひらに、集まってる、よな?」


「はぁい、説明が難しいので、直接やりますね?」


 スミレが目を閉じる。


 手のひらに集まった魔力が、熱を帯びていく。魔力──いや、魔力だったものが、俺の体から飛び出して、その姿を変えて世界へと顕現する。


「あっちぃ!!」


 炎が、俺の手のひらから吹き上がった。


 ──基礎魔法スキルを獲得しました。


「……お、おお」


 ──わかる。感じる。


「覚えられましたかぁ?」


 体に巡っている魔力──今までは、それだけだった。


「おお、おおおおおっ!」


 それを外に出す。形を変えて、創る。想い、願い、結実させるのだ。


「これがっ、魔法!」


 手のひらから上がり続ける炎を見つめる。


 頭の中では、さっきから基礎魔法基礎魔法とレベルアップを告げる声が鳴り響いているけど、そんなことどうでもよかった。


「す、すげ──へぇ?」


 スミレの魔力操作によって、無理やりひねられた蛇口は、普段無意識に使わないようにしていた、体の中の魔力を根こそぎ吐き出してしまった。


 人生初の魔力枯渇による気絶である。黙祷。


 ◇◇◇


「す、すみませんでした……」


 ソファで寝っ転がってる俺に頭を下げるスミレ。この前のダンジョンのときとは反対で、ちょっとだけ笑える。


「あー……大丈夫。おえっぷ……俺が、お願いしたんだし……」


 それにしても、体の中の魔力空っぽになると、こうなるんだなぁ……知らなかったよ……。


「スミレちゃん、いつまでも謝らなくていいわよ。佐藤くんだってスキル取れたんでしょ?」


 後藤さんの言うとおりである。まぁ、魔神である自分と同じ基準を他人に当てはめないようには折を見て言っておこう。自己評価低そうだから大変だけど。


「取れたと思うよー。ちょっと見てみるわ……」


 ポケットからマイナンバーカードを取り出す。最近あんまり見てなかったからなぁ。


『冒険者適性アリ』

『職業:  』

『スキル:早熟・遅咲・剣術(28)・遠見(20)・気配感知(21)・マップ(20)・危機感知(23)・気配遮断(20)・超回復(21)・鎚術(20)・挑発(20)・空間把握(20)・槍術(20)・斧術(20)・短剣術(20)・盾術(20)・弓術(20)・拳術(20)・杖術(20)・魔力操作(21)・魔力回復(29)・疾走(20)・跳躍(20)・魔剣術(21)・暗殺術(20)・収納(20)・魔力感知(20)・剛力(21)・不壊(20)・縮地(21)・健啖(22)・基礎魔法(20)』


 あー見にくい。行政のひとー!スキル整理する機能つけてくれー!


「基礎魔法覚えてるよ。ほら」


「どれどれ……相変わらず見にくいわね。もうちょい減らしたら?」


「うえぇぇ……?なんですかこれ……新手の詐欺ですぅ?」


「俺だって整理したいよ。でもできないんだからしゃーないじゃん」


「まぁ……あんたみたいな奴いないからねぇ」


 後藤さんが苦笑いしてら。


「普通はどれくらいなんですかぁ?わ、私少ないかもぉ……」


「スミレちゃんは変なところ弱気ね……。うーん、普通は武器スキル一つと他のスキルが三個とか……ぐらいかな?私も詳しいわけじゃないけど」


「えーっとぉ、恭平くんのスキルは……三十、二個?」


 普通は片手で足りるくらいか。そりゃ見にくいわ。


 あれ?じゃあ俺のスキルって、多すぎ……!?


「後藤さーん?」


「なんで嬉しそうなの、あんた……」


「こんだけスキルあるならさ、補正もかなりあるよね?」


「……そうね。かなりあるんじゃない?」


「じゃあ、もしかして、アキラ──死神ともいい勝負できるかな?」


「それは無理ね」


 辛辣ぅ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。