↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
48/65

第48話 誤報な朝刊、剛毅な後藤


『新たな女神、竜胆スミレ』

『三人の神スキル持ちの裏に怪しい影』

『個人企業勢のすべて』

『三女神を拐かした男、佐藤恭平』

『死神のヒモは、剣神のオトコ!?』


「何か言い分は?」


「俺のせいじゃなくない?」


「あんたのせいで本部に呼び出しくらったんだけど?」


「俺のせいじゃなくない?」


「ボーナス減らされたらどうすんのよ」


「早くFIREしたらいいじゃん」


「コロス!」


「ニゲル!」


 三女神(笑)の集いの翌日、後藤さんの怒りのお気持ち表明電話を受けた俺は、事情説明のために北千住まで来たんだが……こりゃ罠だったな!


「はっはっはっー!」


「何笑ってんだコラ!」


 あんまり逃げ回っても可哀想だし、一回くらい殴られてあげるか。


 そう思って足を止め、後ろを振り返る。


「──え?」


「死ねコラ!」


 その手に持ってるの、メイス──


 あぶねぇ!不壊!


 全身に魔力を漲らせて、自分の体を硬くする。


「ぬうう!」


 ──ゴイン!


「いったああああ!コラァ!」


「殺意高すぎない?おちついて?」


「ふぅー、仕方ないわね。冗談はこれくらいにしましょうか」


「冗談じゃなかったよね?」


「とりあえず私、仕事辞めるわ。迷惑かけるのも嫌だしね」


「冗談じゃなかったよね?ねぇ」


「あとは……クランハウスか。三人だし、都内の一軒家か……いや、防犯考えたらタワマンの方がいいかしら?お金ならあるし、そうしましょう。新宿、三部屋リビング付で……十億か。ポチッとな」


「冗談じゃ……なにやってんの!?」


「だって、最上階よ?ワンフロアぶち抜きよ?やるしかないじゃない?」


「……俺より後藤さんのほうが、よっぽど冒険者だよ」


「じゃー、私は契約してくるから。あんたとスミレちゃんは家具なり用意しときなさい。しょーもないの買うんじゃないわよ」


 ジャケットを肩に掛けながら、颯爽と歩いていく後藤さん。かっけー。


「……っと、ぼーっとしてる場合じゃないな。とりあえずスミレに連絡して、ちゃんとしたやつ揃えるか」


 ◇◇◇


「じゃあ、これとぉ、これとぉ、これでどうですかぁ?」


「じゃあそれで」


「はい、ありがとうございます。お会計は?」


「び──」


「Bペイでお願いしますぅ」


 スミレに言葉を奪われた。


 ピッ


 というか支払いも──あれ金持ってたの?


 俺の疑問に勘付いたスミレがとびきりの笑顔で残酷な真実を告げる。


「神スキル持ちはぁ、Bペイ協会持ちみたいですよぉ♪欲しいものあれば、なんでも言ってくださいねぇ♪」


「な、なな、なにそれぇ……」


 ズルすぎねぇ?いや、ズルいだろ!もはやお金を稼ぐ意味すらないじゃん!!


「あ、でもでもぉ、神スキル持ちは、ダンジョン討伐の義務があるのでぇ、今度手伝ってくださいねぇ?」


 あ、そうでもなかったわ。ギブアンドテイクだこれ。むしろ神に貢物捧げて願いを聞いてもらう的なやつだな。納得。


 そもそもアキラとか、金無かったら盗みそうだしな。それなら協会が払うのが合理的か。合理とは……。


「うーん、世知辛い」


「んふっ♡心配してくれてるんですぅ?」


「あー、まぁ、そう……かな?」


「わーい♪」


 つまり俺のクランも、自動的にダンジョン討伐の義務を負うと……。また後藤さんと相談だなこりゃ。


「はぁ……悩みが次から次へと生えてきやがる」


「雨後の筍ですねぇ。全部燃やしますぅ?」


「…………いらない、かな」


 それだとスミレも燃えちゃうよ……言わないけど。


「んー?どうしたんですかぁ?」


「いや、あと要るのはなにがあるっけ」


「全員分のベッド、ダイニングテーブル、ソファは買いましたし、とりあえずこれでいいんじゃないですかぁ?というか、間取りも見ずに買って良かったですぅ?」


「タワマン最上階ぶち抜きワンフロアだからいいんじゃない?後藤さんが買ったから、俺は知らないけど」


「後藤さん、剛毅な方ですねぇ……」


 ◇◇◇


 練る。


 気を練る。


 丹田で練る。


「ふぅーーーー」


 巡らせる。


 気を巡らせる。


 体の細胞、その一つ一つまで、余すことなく。


「はぁ!!」


 解き放つ。


 闘気を解き放つ。


 目の前のモブをぶち殺す、圧倒的な質量と化した闘気を解き放つ。


「グギィィィィィィ!」


 腹に穴を開けたドラゴンの断末魔が辺りに響く。と言ってもダンジョンでそんなもんを気にする奴なんざ、いねぇけどな。


「六十点、ってところか。鈍ってんな……」


 久しく使っていなかったからな。残り二ヶ月……篭もるか?


「小紅、なんか気合入ってねえか?」


「おい、余計なこと言うな。巻き添え食らうぞ」


「聞こえてんぞカス共」


「ひっ」


「次のモブんとこ行くぞ」


「あ、ああ……助かった」


 腰に付けたポーチから、マイナンバーカードを取り出す。


『冒険者適性アリ』

『職業:死神』

『スキル:死神・気配感知(50)・空間把握(50)・闘気(50)・符術(50)・気功(50)・魔力操作(27)・魔力回復(17)』


 足りねぇ、足りねぇ。


 もっとだ。もっと研ぎ澄まさねぇと。


 なぁ、そうだろ?恭平ぇ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。