第45話 覚醒。
『神の戯れ【死神報告スレ374】悪魔の気まぐれ』
名無しの殉教者
最近死神見たやつおる?
名無しの殉教者
あれは?新人の粘着してたの
名無しの殉教者
どうも最近あっちには出没してないらしい
名無しの殉教者
飽きたの?
アキラ諦めた?
名無しの殉教者
アキラだけに!
名無しの殉教者
やめーやwww
まあわかんねーけどな
名無しの殉教者
あれ、いつだっけ
半年?
名無しの殉教者
新人のやつ?
十二月だな
あと二ヶ月
名無しの殉教者
その新人はどうなん
名無しの殉教者
新人としては超有望
死神と比べたら……
名無しの殉教者
さすがにそれは無茶だわな
◇◇◇
「と、言うわけで後藤さん。申請よろしく!」
「いやいや、なんで私がやんのよ。あんたがやりなさいよ」
「えぇ……俺そういうの苦手なんだよ」
「苦手でもやるの。あんたのクランでしょ」
「えー……手伝って?」
「手伝うのはいいけど、ちゃんとやりなさい。はい、申請用紙」
「はーい」
なんだかんだ言いながら、さっと紙を差し出してくれる後藤さん。俺の扱いが堂に入ってるね。
でもほんと、感謝しないとな。俺のために嫌われ役をやってくれたんだ。この人は裏切っちゃいけない。いや、予定はないけど。
「さとう、きょう、へい、と……えー、りん、どう、すみれ……ごとう、ご、後藤さーん?」
「なに?」
「後藤さん、下の名前なんていうの?」
「…………清子よ」
「きよこ」
「なによ」
「なんでもないでーす。き、よ、こ……よし」
「あとはクラン名と資本金だけど、お金はとりあえず一円でいいわ。名前考えたら用紙持ってきなさい。申請しといてあげるから」
「オッケー。申請したらすぐ設立?」
「そんなわけないでしょ。審査やら諸々含めて、二ヶ月くらいじゃない?混んでたらもうちょっとかかるけど」
二ヶ月後、か。その頃には、アキラとの因縁もケリが付いてんのかな。
それが終われば年末か。むしろ俺、年越せるのかなぁ……。
「なに遠い目してんの」
「んー、この先のこととか考えてたら、ちょっとね……ねぇ、後藤さん。もし俺が──」
「竜胆さんのことは面倒見てあげるから、下らないこと考えんのやめなさい」
「……うん。ありがとう」
ほんと、敵わねーな。
「まぁ私、大金持ちだからね。ミスリル富豪」
ほんとひでーなコイツ。
◇◇◇
「ってわけでさ、クラン名をどうするかを決めたいんだよね。いい案ある?」
「わ、私ですかぁ?うーん……恭平くんと下僕たち、とかどうですかねぇ?」
「どうですかねぇ、じゃねぇよ。却下だバカヤロウ」
「え〜!?」
「えーじゃない。俺は暴君か。勘違いを誘発するのでダメでーす」
「うーん……佐藤家?」
「さっきから俺にフィーチャーしすぎだなぁ。もうちょいこう、俺たちらしさを追求しよう?」
「私たちらしさですかぁ?需要ゼロとか?」
「今度は自虐が強すぎるよ。その看板は背負いきれない。俺には荷が重い」
「ワガママさんですねぇ……」
むぅ、と言いながら腕を組むスミレ。おうおう、お前のセンスの問題だろぉ!?
とはいえ俺はまだ案ゼロである。うーむ。
俺が知ってるのは、アキラのいるトップクラン『トリックスター』、それを追いかけるユキナ擁するクラン『神の祝福』、あとスミレのいた──俺が落ちたクラン『アットホームパーティー』……くらい?
「えー、フリーダム……とか」
「フリーダム、ですかぁ?え、えっと、恭平くんがそれがいいなら……」
「いや、やっぱなし!」
自由、自由に……周りの声を気にせずに、俺らしく……。
俺らしく?
俺がクラン創りたいって言ったの、なんでだっけ。
……そう、そうだ。あの日、初めて北千住の販売所に行った日。後藤さんに宣言したんだった。
『もしかしたら、見返したかったのかもしれないです。クランなんか入らなくても、俺はやれるぞって』
『へぇ、クランを自分で創るってこと?』
『自分で?そんなこと、できるんですか?』
『……決めた!俺、自分でクラン創ります!でもって、そのクランを最強にする!』
そうだ。
俺はこのクランを、他のクランに負けない、最強のクランにする。
「決めたぜ、スミレ」
「恭平くん……」
「クラン名は、『個人企業勢』だ!!」
「こじん、きぎょう、ぜい?え、っと……」
「そう!個人で、企業に匹敵する影響力を持つ人間の集まり!最強のクラン!それが『個人企業勢』だ!」
「えーっと、一騎当千、ってことですかねぇ?名前負けな、ような……」
「構うもんか!俺は最強にする!スミレも、信じて付いてきてくれ!」
「おっふ」
おっと、思わず興奮してスミレの両手を握ってしまった。昨日あんなことがあったんだ。いきなり異性に握られるなんて、嫌だよな。
「あ……大丈夫ですよぉ?恭平くんなら」
……どうやら、怖がられずに済んだ。よかった。
「よ〜し!やる気出てきたぞ!やってやるぜ!」
「はい、がんばりましょー!」
「んじゃ、俺はクラン名の申請に行ってくるよ!またなー!」
◇◇◇
恭平くんが出ていって、一人になった。
両手を、顔の前に、持っていく。
恭平くんの、香り。
「すーーーーー!!はーーーーーー!!ああああああ!!恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡恭平くん♡好き好き好き好き好き!大好き!私幸せですぅううううううう!!」
──基礎魔法スキルが覚醒しました。
──魔神スキルを獲得しました。
「ほえ?」




