↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/30

第28話 見慣れたダンジョン、見慣れぬ先へ


「えー、皆さんこんにちは。それでは配信始めまーす」


 後藤さんと収納スキルの検証をした翌日。ガッツリお金を搾り取られた俺は、再びダンジョンへとやってきていた。


『おー』

『毎日精が出るな』

『昨日結構稼げたー?』


「まぁ、そこそこって感じです。詳細は秘密で」


『えー』

『まぁあんま突くなよ』

『答えてもらえなくなるぞ』

『ここどこー?』


「えー、場所は秘密!予想も禁止しますっ!危ないからねっ!」


『わらう』

『死神来るからね、仕方ないね』

『ビビってて草』


 相変わらず配信は盛況みたいだ。何が面白いんだか俺には全然わからないんだけど。


 ぶっちゃけてしまうと、ここは家から近いダンジョンこと足立第三百八ダンジョンだ。アキラに襲われたダンジョンとも言う。


 今更ゴブリンと戦っても得られるのは僅かなお金だけなんだけど、武器の切り替えを収納スキルとバレないようにやれるか、その練習をしたいからな。


 水はペットボトルを箱で持ってきてるし、食料は保存食を三日分、袋に入れて収納してる。狙い通り、袋に纏めたら一枠で済んだ。残りの袋はまとめてリュックに突っ込んでいる。枠は二十しかないから節約してかないとね。今のところはまだ余裕あるから、そこまで神経質になる必要ないんだけど。


「じゃ、今日はこれの使い心地を確かめていこうと思いまーす」


 そう言って、ドローンに付いているカメラへと見せびらかすように腰に着けたチョークバッグを映す。販売所で追加で購入したやつ。黒くてシンプル。ちなみに、中身は空っぽだ。


『なに?ポシェット?』

『チョークバッグだろ』

『ししし知ってるし』

『嘘ヘタやん』

『昔一瞬流行ったよな』

『いやいや、そんなことより』

『もしかして:アイテムボックス』


「えー、これは昨日色々ありまして……これ以上は秘密ですっ!」


『うっそぉ!!』

『マジで?パトロンついた?』

『ありえん話じゃない……か?若手注目度ナンバーワンだし』

『さすがに青田買いじゃないか……?そうでもないの?』


 よしよし、いい感じで勘違いしてくれてるな。俺は何も言ってないからね?俺は。


 まだ色々とコメント欄が騒がしいけど、相手するのはこのへんでいいだろう。


 マップスキルと気配感知を同時に使用しながら、土でできたダンジョンの奥へと進んでいく。ヒンヤリとした空気の中を一人。ゴブリンの姿は、まだない。


 あとは武器を収納から出すタイミングだな……チョークバッグはただのカモフラージュだから、武器を出す瞬間はカメラに直接映らないようにしないとな。


 右手をチョークバッグの中へと入れて、腰を捻りながら──取り出すっ!


『おおっ、槍か』

『おー、鉄製か?』

『槍術あんの?初出?』

『そのはずだ』


 バトンのように肘や手首を使いながら槍をクルクルと回す。うん、俺の背丈くらいあるけど、問題なさそうだな。手持ちの武器で一番長い槍でバレなきゃ、他もイケるだろ。


「お、いたいた。第一ゴブリン、はっけーん!」


 振り回した勢いそのままに、曲がり角でこちらを指差すゴブリンへと疾走スキルを駆使して迫る。


「ギギャア!!」


「はい、さよーならっ、とぉ!」


 風を切りながら一瞬で近付き、腰と腕を支点にしながら、石突でゴブリンの頭を砕く。


 断末魔すら上げずに魔石へと変わっていくゴブリンを見送りながら、曲がり角の向こうにある十字路へと目をやると……。


『お』

『団体だ』


 十字路には、五匹のゴブリン。先ほど倒したゴブリンの叫び声が聞こえたのだろう、こちらをジッと睨んでいる。


「よしよし、ガンガン行きましょうかね」


 そして再びの疾走。十数メートルはあった距離が、グングン縮んでいく。


「ギィ!」

「ギギッ!」


「一拍遅いんだよなー」


 その騒ぐ時間、無駄じゃない?いいの?いくよ?


「そぉーれぃ!」


 一番右にいるゴブリンの胸を、手首を捻りながら握りしめた槍で突く。


 胸に穴を空けながらゴブリンの瞳から生気が消えていくのを見ながら、左手をチョークバッグへと突っ込む。


「グギャアアア!」


 左側から迫る四匹のゴブリン、一番近くにいるゴブリンの頭目掛けて、メイスを振り抜く。


「ギ──」


 頭の上半分が弾け飛び、その勢いに周りのゴブリンの足がたたらを踏む。


「来ねぇなら、的にしちゃうぞっ!」


 槍とメイスをチョークバッグに押し付けながら素早く収納、代わりに短弓と木の矢を収納から取り出し──矢を番え、放つ。


「ギャ!」


 放つ。


「ギィ!」


 は──っと、間に合わないか。


「アギャアアアア!」


 自分一人になって半狂乱と化したゴブリンが、叫びながら飛びかかってくる。矢を番えるのを諦めて、弓矢を手放す。


「──シッ!」


 左ジャブ。


「シッ!オラァ!」


 左ジャブ──からの右ストレート。


 顔の形を歪ませながら、力なく倒れていくゴブリン。歪んでたのは元からだっけ?


 討伐完了。うん、もうちょいスムーズにできそうだけど、とりあえずは及第点かな?視聴者の反応は──


『すげええええ!なにいまの!!』

『いやいや、持ち替え早すぎぃ!』

『えぇ、槍と鎚と、弓と……拳?』

『拳術はどうだろ』

『ゴブリンくらいなら拳術なしでも殴り殺せるしな』

『弓もまぁ、この距離ならなしでもイケる、か?』

『いやいや、番えるの速すぎじゃね?どんな達人だよ』

『アイテムボックスあるだけで、かなり戦略の幅広がるなー。なんで上位勢これしてないの?』

『ここまで色んな武器使うメリットないからじゃん?』

『あ、そういえばそうか』

『剣聖なら剣だけでいいしな』


 ……うん、バレてはなさそうだな。後はこのまま行けるところまで。


 ゴブリン種ばかりだし、意外とダンジョン討伐できたりして。そうなったら、報酬とかもガッポリだな。楽しみになってきたぜ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。