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第27話 収納の検証、急増する代償……代償?


「で、どう?収納スキル……使えそう?」


 興味津々な様子で、俺の左手を覗き込んでくる後藤さん。


「多分、予想通りなら……って感じですかね。ぶっちゃけ今の性能だと微妙です」


「あら、敬語に戻ったの?」


「あー、ちょっとテンション上がっちゃって、すみませんでした」


「別に気にしないでいいわよ……弟みたいで可愛かったし──で、微妙ってのは、どのへんが?」


「これ以上は入れられそうにないです。バングル一個でいっぱいですね」


「手のひらサイズのバングルでいっぱい?えっと、言葉に困るけど……」


「クソスキルでしょ?俺もそう思いますよ」


 確かアイテムボックスは、数メートル四方の箱みたいなのに繋がってるはず。それと比べたら、バングル一個しか入らないなんて、ハズレどころじゃないだろう。


 このままならね。


 収納を占領しているバングルを意識しながら、出てこいと念じると同時に手のひらに確かな重さを感じる。


 ──収納スキルのレベルが上がりました。


 きた。


 後はこれで、もう一回……。


 手のひらのバングルを、再び収納する。


 頭の中には空間に鎮座するバングルと、もう一つの空間。


「……うん。そういうことだな」


「ちょっと、一人で納得してないで、説明してよ」


「後藤さん、俺使ったことないんで教えてほしいんですけど、アイテムボックスってデッカい見えない箱みたいなやつですよね?」


「え?ええ……そうよ。だいたい六畳一間ぐらいかしら?大きくなれば高くなるし、小さくなれば安くなるけど、それくらいのスペースと繋がってるアイテムのことをそう呼ぶわね」


「俺の収納スキル、さっきの出し入れで広がりました。広がったっていうか、増えた……かな?」


「増えた……?何が違うの?」


「えーっと、入れられる場所が増えたって感じ?今なら多分もう一つ入れられそう」


「へぇ……じゃあこれ、入れてみてよ」


 後藤さんがそう言いながら胸ポケットに入れていたボールペンを取り出して渡してくれる。こりゃ同じ結論に達してるな。話が早くてありがたい。


 ボールペンを握って、収納スキルを意識──消えるボールペンと、同時に頭に浮かぶボールペン。うんうん。ボールペンボールペン。


 で、これを取り出して──


 ──収納スキルのレベルが上がりました。


「うん、後藤さん。ガンガン入れちゃおう」


「ちょっと適当なの集めてくるわ」


 後藤さんの動きが早い。あれは楽しんでるな。


 ◇◇◇


 ──収納スキルのレベルが上がりました。


 俺の頭にある空間が晴れて二十個になった。とりあえずはこれで終了かな。


「ふぅ、ありがとうございます。後藤さんのおかげで、すごいスキルを覚えられました」


 俺が黙々と収納スキルのレベル上げをしている間、茶々を入れずに協力してくれていた後藤さんへとお礼を言う。


「ううん、佐藤君の役に立てて嬉しいわ」


 今も恩を着せることなく、ニコニコと笑いながら受け答えをしてくれている。ありがたいんだけど、なんでここまでしてくれるんだろ?


「後藤さん、ここまでしてもらって言うのもあれなんですけど……どうしてここまでしてくれるんですか?」


 弟みたい、って言ってくれてたし、嫌われてるわけじゃないと思うけど、それにしたってやり過ぎのような気がする。


「だって、佐藤君はソロでダンジョンに潜るんでしょう?多分、これからもずっと」


「…………そう、ですね。今のところは、その予定です」


「死んでほしくないから、って理由はダメかしら?ソロはね、あなたが思っている以上に危険なのよ。何があっても自分で対処しないといけないし」


 そう言って、何かを思い出すように伏し目がちになる後藤さん──が、パッとこちらを見つめ返す。


「それに、収納スキルがあれば、武器買えるでしょ?」


「──はは、売上目的ですか?」


 ほんと、この人は真面目なんだか、不器用なんだか……。


「とりあえず魔鋼製の武器は一式揃えてもらって──ゆくゆくは、ミスリル、オリハルコン……この辺は取り寄せしないといけないから、早めに言ってね?」


「ん?」


 マジのやつ?


「ん?ってなによ。とりあえず何か買っていきなさいよ。槍とかどう?」


「……参考までに、おいくらで?」


「二百五十万」


「買えるかぁ!!ほぼ全財産じゃねぇか!!」


「スキル増えたんだからいいでしょ!?買いなさいよ!」


「ふざけんなよっ!片手剣の二倍以上じゃねぇか!ぼったくりかよ!」


「石突から穂先まで魔鋼製なのよ?片手剣なんかと比べてんじゃないわよ。っていうか買えるのね、持ってくる?」


 その場で駆け足をしながら、そう聞いてくる後藤さん。お願いって言ったら秒で消えそう。


「購入前提で話を進めるのやめません?とりあえず初心者用でお願いします。あと大きい袋を……三つほど」


「袋……?まぁ、とりあえずは初心者用でいっか。じゃあ、取ってくるわ。買えるだけ買ってね?」


「前向きに検討いたしますっ!」


 俺の抵抗?意味なかったよ。それはそれとして、明日はダンジョンで実戦練習だな。配信にバレないように収納を使う方法、考えとかないと。


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