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第18話 常習犯だなコレ


『花束を【冒険者カップル報告スレ52】君に』


 名無しのキューピッド

 剣神、男いるってよ


 名無しのキューピッド

 ウソぉ!?


 名無しのキューピッド

 なんか死神と二股してるやついるんだって

 本人の配信でゲロったらしい


 名無しのキューピッド

 ええ……

 俺ユキナたんグッズ予約したんだけど……


 名無しのキューピッド

 アイドル売りしてるけど冒険者だし


 名無しのキューピッド

 なお剣神本人は無自覚な模様


 名無しのキューピッド

 で、そいつ誰だよ

 純真無垢なユキナたん誑かしたクソヤローはよぉ!!


 名無しのキューピッド

 佐藤恭平っていう新人

 死神に気に入られてるからな?

 下手に手を出したら死ぬぞ


 名無しのキューピッド

 佐藤恭平……

 新雪のように真っ白なユキナたんを汚した男……


 名無しのキューピッド

 聞いてる?

 俺は言ったからな?

 知らねーぞマジで


 ◇◇◇


 ピコン


 ピコンピコン

 ピコンピコンピコンピコンピコン


「うるせええええ!!」


 朝っぱらからピコピコピコピコよぉ!スマホの分際でぇ!!


 激しい通知音に安眠を妨げられた俺は、枕の横に置いてあるスマホを握り内容を確かめる。


『着きました』

『体調は、どうですか』

『起きていますか』

『朝ごはんはしっかり食べましょう』

『私は朝はパン派です』

『まだ起きていませんか』

『朝は弱いのですか』

『起こしに行きましょうか』


 全部月城さんからである。

 怖いって……。つーかまだ朝の六時だよ。良い子も悪い子もまだ寝てる時間だよ。


「ん……いや、まさかな」


 ピンポーン


「やだあああ!!」


『っ!?大丈夫ですか!!』


 家の外から響く、月城さんの焦るような声。


「あ、待っ──」


 バギィ!


 我が家のドアノブが、嫌な音を立てるのとほぼ同時。

 ドアを蹴破って月城さんが部屋へと押し入ってくる。銀髪を揺らしながら、腰に下げた刀に手を伸ばし、臨戦態勢で。


 そして鋭い目つきで視線を巡らせて、開口一番大声で叫ぶ。


「賊はどこにっ!?」


「お前だよぉ!!」


「…………?」


 伝わらないかな!?そんなに難しいこと言ってないと思うけどっ!?


「何にせよ、佐藤さんが無事なのであれば良かったです。では、行きますか?」


「戸締まりできないのはさすがにね?泥棒バンザイすぎるからさ……」


「なるほど……確かにそうですね。しばしお待ちを」


 そう言ってスマホを取り出し、どこかへと連絡をしだす月城さん。

 いやもう今日は中止だよ。俺の心もドアもブロークンだよ。


「──月城です。今……はい。よろしくお願いします」


「……月城さん?どこに電話してんの?」


「神の祝福(ゴッド・ブレス)です。では行きましょう」


 説明は終わりとばかりに、俺の腕を掴んで外へと引っ張っていく月城さんへ、足をもつれさせながら、必死で付いていく。なんかいい匂いするなぁ!もう!!


「いや、さすがにこの状態で外出は──」


「大丈夫です。ほら」


 ピピー、ピピー


「オーライ、オーライ、はい!オッケー!」


 知らんオッサンが知らんトラックを停めてる……。


「私のクラン専属のなんでも屋です」


「なんでも屋」


 こちらに気付いたオッサンが、笑顔で木造ボロアパートの錆びた鉄階段を駆け上がってくる。あ、俺の部屋は二階だよ。


「お疲れ様です。月城様、こちらの部屋ですか?……今回はドアだけですね?」


「はい。よろしくお願いします」


 いや、早すぎないか?電話して一分とかじゃない?もしかして……。


「近くで待機してた?」


「はい。よくわかりましたね」


「なんで?」


「連れて行けとクランマスターが」


「なるほど……」


 つまりお前、常習犯だな?少なくともクラマスからトラブルメイカー認定受けてる。まぁ俺は助かるからいいや。


「失礼、こちらのお部屋の方ですよね?」


 ドアをごそごそしてたオッサンが、俺に話しかけてくる。


「あ、はい。そうです」


「ドアの取り替えの方はこちらでやっておきますので、ご安心を。では──」


 話は終わりとばかりに、どこかへと行ってしまう。一応見張りの人っぽいのは立ってるし、大丈夫、なんだよな……?


「では、行きましょう」


 グイ、と腕を引っ張ってくる月城さん。これは、もうやらないと終わらないやつだなぁ。


「……わかったよ。服だけ着替えさせてくれる?」


 俺の返事に満足したのか、腕を離して解放してくれた。でもこれすぐ動かないとまた引っ張られそうだな……。めっちゃ、こっち見てる。


「あの、着替えたいんだけど」


「はい、どうぞ」


「俺の負けだよ」


 もう気にするの止めよ。ジーパンと、シャツでいいか。あとは武器だな。剣神に教わるんだし、剣だけでいいか。


 昨日購入したばかりの魔鋼製の片手剣をベルトに引っ掛けて、準備万端だ。


「オッケー。終わったよ、月城さん」


「では、今度こそ向かいましょうか」


 そう言ってさっさと階段を降り始める月城さんを追いかける。


「ところでどこに行くんだ?まだ細かい話聞いてないけど」


「ああ、お伝えしてませんでしたか。私のクランです」


「クラン」


「はい。神の祝福の訓練場を押さえてますので、そこでやりましょう」


「あ、はい。……え?ここからすぐ……じゃないよね?」


「車があるので、すぐですよ。朝食がまだでしたら車内でどうぞ」


 そう言いながら、お手製だろうかサンドイッチが入った紙袋を俺に渡して、黒塗りのどう見ても高級だろう車へと乗り込んでいく。


……お手製?


「どうしたんですか?早く行きますよ」


 パンくず落としたら殺されたりしないよね?


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