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第14話 千客万来、先客バンザイ


「お買い上げありがとうございまーす♪」


「鬼!悪魔!商売上手!」


「褒め言葉ねぇ」


 なんだこの武器!一個で五十万円だと!?これなら素振りしたやつ全部買うほうがマシだったじゃねぇか!


「佐藤君が全部持てないって言うから……ね?」


「わかってますよ!」


「それで、これからどうするの?」


「……ダンジョン行きますよ。お金稼がないといけないんで!」


「じゃあ、また何か欲しくなったら来てね?安くしてあげるし、なんならオススメも教えちゃうから」


「…………行けたら行きます」


「それ来ないやつじゃない?まぁ、何か相談したいことができたら、気軽に来てね」


「……ありがとうございます。そのときはお願いします」


 後藤さんに別れを告げて、販売所を出る。左手にキラリと輝くバングルが、新しい相棒だ。


「しかし、これが五十万円か……それだけの性能はあるんだろうけど、試しもさせてくれなかったからなぁ……」


 なんかスキル取りそうって言われた。否定できないのが辛いところだ。


 ◇◇◇


「あー、テステス。聞こえてますかー?」


 販売所から歩いていける範囲にあるダンジョンのうちの一つ、その中で配信を開始したところ、昨日と同じく速攻で反応が返ってくる。


『聞こえてるぅ!』

『待ってた』

『遅いぞ!』

『なにしてたん?』


「あはは、すみません。ちょっと買い物に行ってたもんで」


 そう言いながらこれ見よがしに左手を見せつける。


『おお!?』

『アクセサリー、じゃないよな?』

『つまり新武器か!!』

『剣、鎚、次はなんだ?』


 よしよし、いい感じに注目させられてるな。


「えーっとね、店員さんの話によると、ここのボタンを……ポチッとな」


 ──ッヴン


 手のひら側に設けられたボタンを押すと、半透明の青白い盾が手首を中心に五十センチほどの大きさで展開される。


『おお』

『魔力製の盾?』

『多分周囲の魔素と本人の魔力で動くタイプかな?』


 確かに視聴者さんの言うとおり、なんか、体からじわじわと吸い取られてる感じがするな……。今は平気だけど、ずっとはちょっとキツイかも。


 ──魔力操作スキルを獲得しました。

 ──魔力回復スキルを獲得しました。


 …………前言撤回。楽だわ。


『今日はどこだ?』

『草原だな』

『草原だと虫系か?』

『虫って稼ぎ良かったっけ?』

『数で稼ぐ感じだな』


 カメラに映る景色を見て、場所を当ててくる視聴者さんたち。まぁ当てるも何もないくらいにわかりやすく草原だ。澄み渡る青空に、浮かぶ雲。足首を隠す程度の長さの草が、風に煽られてカサカサと音を立てている。あの太陽って本物、じゃねーよなぁ……。そんな草原のちょっと小高い丘の上に俺は立っている。

 あたりの見晴らしはいいし、何より──


「目的のものが、よく見えるってね」


『目的?』

『あ、あれじゃね?遠くにある』

『あれってもしかして』

『集落じゃん!』


 そう。集落である。もちろん、魔物の。


「ということで、今日はオークの集落を潰してみたいと思います!」


 家族の味方、食卓のお供、オーク肉である。俺もよく食べてる。安価で栄養価も高く、何より美味い。昔は豚肉っていうオーク肉に似たのがあったらしいけど。


『あれ?』

『もういるんじゃね』

『先客ぅ!』


「へ?うそぉ!?」


 コメントに煽られて、遠見スキルを使いながら集落へと目をやると……いるわ。えーっと、八人かな?前衛っぽい人が五人に、弓使いが二人と多分ヒーラー一人が、集落の中で戦っている。


 遠見のレベルアップと共にドンドン見えやすくなる視界と裏腹に、先客の状況は良くなさそうだ。今も前衛の一人がオークの持つ棍棒で吹き飛ばされていった。


「ジリ貧か?でも横取りはダメだよな?」


『マジで言ってる?』

『ダンジョン内では助け合いだぞ!』

『見殺しは後で罪に問われるケースもある』


「え?そうなの?あー、でも確かに、アキラに襲われたときも月城さん来てくれたし、これも同じか」


『さりげに死神を魔物扱いしてない?』

『てか名前呼びしてるやん』

『剣神のことも名字で呼んでんぞ』

『どういうことだ』


「あーっ!!そんなことより早く助けに行かないと!いそげー!!」


 あっぶねぇ!死神と知り合いでした!とか勘違いされたらマッチポンプと思われちまう!あれは事故!俺たちは他人!


 騒ぐコメントを無視して草原を駆け抜ける。風を切りながら素早く。昨日どころか、今朝とも違う速度感に負けないように体を前へと倒していく。


 ──疾走スキルを獲得しました。


「──っ!おおっ!!」


 魔力を操作──というか意識できるようになったからか、体に流れている魔力が足へと集まるのを感じる。ただ足が速いっていうのとは違う……一歩で進む距離が伸びてる?


 周囲の景色が、矢のように後ろへと流れていく。走り出したときよりも、ドンドン速くなってる!


「へ──へへっ、はっはっはっ!!今助けてやるからな!!」


『あ』

『バーサーカーだ』

『なんか足速くなってない?』

『wktk』


 待ってろよオーク共!食肉にしてやっからなあああ!


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