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第13話 この道の行き先


「しゅ、しゅごい……こんなの初めてぇ……」


 思わずダブルピースしながら、ふざけたことを言ってしまう。


 だって、槍以外の武器もあらかた試していったら、面白いようにスキルを覚えてはレベルが上がっていったんだぞ?補正による強化のおかげか、最後の方は早くなりすぎてテンションおかしくなっちまったぜ。


「信じられない……あり得ない……こんなの……!」


 俺がピースしてるのが腹に据えかねたのか、後藤さんが頭を抱えてブツブツなんか言ってる。


「見間違い?ううん、どう見ても初めは素人みたいな動きだった、それがひと振りごとに洗練されて、上級……いえ、中級冒険者レベルに上がってた?たった数分で?こんなの……ちょっとあなた!」


「はいっ!」


「あなた早熟持ってるわね!?」


 あ、これ誤魔化してもムダだな。


「はい。持ってます」


「しょ、職業は!?ここまでたくさんの武器スキルを覚えられる職業なんて──」


「ないです」


「──は?……ない?ないって、何が?」


 あー、この人真面目そうだし、約束すれば大丈夫か?まぁ配信で何万人にバレるわけじゃないし、いいか。


「職業が、です。俺の職業欄、空白なんですよ。そのせいでクランに応募しても落ちちゃって、仕方なくソロでやってるんです」


「職業欄が、ない?そんなはず……いや、でもそれなら……」


「えっと、そんなに変なんですか?武器スキル色々覚えられるの」


「変?変ってあなた、自分が何してるか──そうか、クランに入ってないのね。誰からも、教えられてないのか……」


「つまり、変なんですね?」


 後藤さんが俺の言葉にハッとしたようにこちらを見てから、頭を下げる。


「……ごめんなさい。あなたの事情も理解せず、勝手にまくし立てて、それに受付でのことも」


 本当に真面目な人みたいだ。わざわざ受付のことまで、誰かに言われたわけでもないのに……。


「……大丈夫です。女性の謝罪は受け入れるのが漢なので」


「ふふっ……意外と男らしいのね?」


「あー、それで?」


「っと、そうね。武器スキルは、自身の職業と近しいものしか、覚えられないはずなのよ。剣士なら、剣術と斧術、盾術だったかしら?」


「ほうほう。ん?つまり俺は……」


「明らかに異常ね。どう見ても規格外って感じ。職業なしってのが関係してそうだけど……」


「あのぉ、これ所長さんに報告したりとか……」


「しないわよ。……本当はしないとダメだけど、多分言っても信じてくれないわ。それに、あなたが困りそうだし」


「ありがとうございますっ!」


「……別に私は何もしてないわ。それより、他に何かわからないことはない?」


 どうしよう、遅咲について聞いてもいいだろうか?後藤さん、なんとなくだけど口は堅そうだし、変に裏切ったりはしなさそう……だと思うけど。いいか?いいな?よし!


「それじゃあ……遅咲、っていうスキルは知ってますか?」


「遅咲き?遅咲きって、咲くのが遅いって意味の、あの遅咲き?うーん……そんなスキルあったかしら?スキル大全で調べたりはした?多分あそこが一番情報多いけど」


「一応調べたんですけど、載ってなくて」


「それなら、存在してないか、まだ見つかってないか、誰も申請してないかね。……ん?もしかして?」


「あはは……遅咲、持ってます」


「……ホント、規格外ね」


「あっ、あと、上位スキル、剣聖とかってどうやって取るかわかりますか?」


「剣聖?聖スキル、まぁ神スキルもだけど、生まれつきの素質って言われてるわよ?職業が目覚めたときに、一緒に覚えるって聞いてるけど。もしかして、聖スキルも?」


「……いえ、聖スキルは持ってないです」


「さすがに、そこまで規格外じゃないのね。まぁ聖スキルまで全部持ってたら、いくらなんでも手に負えないし、そんなものかしら?」


 聖スキルは生まれつきか。じゃあやっぱり普通のスキルを大量に取っていく方針は変わらないな。スキル大全を総ざらいして、取れそうなスキルをメモって、ダンジョンで試して……それでアキラに勝てるかわからんけど、積めるもんは、積まないとな。


「……ねぇ」


「はい?どうかしました?」


「なんでそこまで強くなろうとしてるの?」


 なんで?なんでって……なんでだ?


「普通、冒険者は自分に合った階層で、それなりに暮らすわよ?クラン……はあれだけど、パーティーを組んで潜れば、余程のことがない限り死なないし、ダンジョン討伐は上位クランの仕事だから、自分たちは老後の資金を貯めながら細々と仕事としてやるって人ばかり。あなたのその意欲は、なんていうか、危なっかしいわ」


「……なんででしょうね?」


「……わからないの?」


「初めは生きていくためでした。でもそれが問題なさそうってわかって……色んなスキルを覚えて強くなるのが実感できて……死神に狙われて、必死で?」


 なんで、か。なんでだろ。


「もしかしたら、見返したかったのかもしれないです。クランなんか入らなくても、俺はやれるぞって」


「へぇ、クランを自分で創るってこと?」


「自分で?そんなこと、できるんですか?」


「最近はあんまり聞かないけど、それこそダンジョン黎明期はクランなんてなかった訳だしね。でも、個人でクランって作れたかなぁ……?」


 クラン……クランか。入れないなら、作ればいい?そんな部活みたいなノリで作っていいのか?でも会社とかと同じなら、起業するようなもん……なのかな?


「……決めた!俺、自分でクラン創ります!でもって、そのクランを最強にする!」


 夢ならそれくらいデカくないとな!!


「それはいいけど、結局どれ買うの?」


「へ?」


「武器。まさか素振りだけして終わり、なんて言わないわよね?」


「へ?いやー、そのぉ……」


「言わないわよね?」


「はい……」


「毎度ありー♪」


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