第10話 チートなし、職業なし、該当なし
『あいつは【佐藤恭平専用スレ1】バーサーカー』
佐藤のストーカー
立てたぞー
佐藤のストーカー
1乙
佐藤のストーカー
乙
佐藤のストーカー
で、あれなに?
佐藤のストーカー
あれとは?
佐藤のストーカー
いや、どう考えてもおかしいだろあいつ
チート?
佐藤のストーカー
ゲームじゃねぇんだぞ
チートとかねぇだろ
佐藤のストーカー
チートといえば神スキルだろ
死神に聞けばわかるんじゃね?
佐藤のストーカー
死ねってこと?
佐藤のストーカー
別スレいけよ
佐藤のスキルってなにがあるん?
めちゃ多いよな?
佐藤のストーカー
確定してるのは剣術20
他は推測だけど、
気配、危機の感知系はありそう
佐藤のストーカー
それだけでああはならんやろ
佐藤のストーカー
鎚術もありそうではある
佐藤のストーカー
あれって、戦い始めてから覚えてなかった?
佐藤のストーカー
レベル上がったようには見えたな
佐藤のストーカー
挑発もあるんじゃないか?
佐藤が叫んでからウルフめちゃくちゃ増えてたし
佐藤のストーカー
あれで配信三日目だっけ
イカれてるな(褒め言葉)
佐藤のストーカー
とりあえず検証班の報告待ちだな
初日から比べてけばだいたいわかるだろ
◇◇◇
「ピザうめぇ〜」
っぱ、これよ!宅配ピザとコーラは至高なんよ!普段は高いから敬遠してたけど、今ならおかわりだって頼めちゃう!
「あ、そういえばスキル確認してなかったな。もう剣術レベルマックスとかになってたりして」
さすがにそれはないかと思いつつ、ちょっぴり期待をしながら手を拭ってマイナンバーカードへと親指を置く。
浮かび上がってきた数字は──
『冒険者適性アリ』
『職業: 』
『スキル:早熟・遅咲・剣術(20)・遠見(8)・気配感知(20)・マップ(8)・危機感知(20)・気配遮断(20)・超回復(10)・鎚術(20)・挑発(10)・空間把握(20)』
「おおお……お?剣術……上がってない、のか……」
いや、剣術だけじゃない。
他のスキルも軒並み20で止まってる。なんでだ……?
「早熟……か?こいつのせい?」
そういえばこいつの効果、調べてなかったな……。
そう思い立って、丸テーブルの上のスマホでスキルについて調べてみる。確かそういうのをまとめてるサイトがあったはずだ。
「えっと……スキル、効果……これか」
スマホの画面に映る『スキル大全』なんて名前の大仰なサイト。一番上にある検索バーへと、文字を打ち込んでいく。
「出た……早熟、その他……」
『早熟』
分類:その他
効果:該当する職業のスキルを20まで上げやすくする
補正:なし
「該当する職業……該当する?俺、空白なんだけど?いやでも、20までか。補正ってなんだ?」
疑問に思うが、その説明は載ってなさそうだ。常識なのかもしれない。冒険者適性アリって言われるまで、興味がなかったのが悔やまれる。
「うーん……あ、そうだ。剣術、っと」
『剣術』
分類:武器
効果:剣に属する武器の扱いが上手くなる
補正:腕力中、敏捷中、器用小
上位スキル:剣聖・剣神
「おおおお!?腕力に、敏捷?それに器用……」
何となくイメージはできるけど、他のも調べてみるか?
「どれどれ、気配感知は……うおっ、精神大に器用中か」
他のスキルも見ていくが、だいたいイメージと近いな。鎚術なら腕力と体力、危機感知なら敏捷と精神と体力。ふむふむ。
「お、魔法もあるのね。炎に水、回復……俺も魔法使えるようになるのかなぁ」
ただ使い方は全然わからない。せめてアイテムボックス使えるようになれば、金稼ぎも捗るんだけど。
「うーん、せめてコツとかでもわかればなぁ。早熟のスキル説明見た感じ、すぐ覚えられそうなんだよな──あ」
待て待て待て、とりあえず覚えられるスキル全部覚えれば、めちゃくちゃ強くなれるんじゃねーの!?魔法とかは全然わからんけど、武器スキルなら簡単に覚えられるだろ!!
「これは今日稼いだ金使ってでも、武器買い占めた方がいいか?いいな!?」
そうと決まれば善は急げだ。明日の朝イチに協会の総合販売所で持てるだけ買っていくか。足立区のはどこにあったっけ……。
「えーっと、あ、北千住か。うーん……走るか?」
それはそれでスキル覚えそうだしな。多分八キロくらいだろ?昔ならダルすぎてパスだけど、今なら余裕な気がする。うん、電車賃もったいないしそうするか。
「よーっし、そんじゃピザの残り食ってさっさと寝るか。コーラは……プハー!うん、まだ炭酸残ってんね」
ちょっぴり弱くなったが、まだまだ十分に刺激的だ。喉を通るチクチクとした心地よい痛みを味わいながら、残ったコーラを一気に飲み干す。
「うん、ピザもちょっと冷えてるけど、全然イケるな。そういえば、あれ調べてなかったや」
チーズが固くなったピザをかじりながら、残る最後のスキル、遅咲をスキル大全で検索してみると──
「なん……?なんで?」
検索画面に表示されたのは、『該当なし』の四文字だった。




