第52話 その名は……
「ギフト?」
「はい!! ギフトです!!」
ここは、神様がいる世界――つまり、天界と言ってよいだろう。
これは、僕が転生する前に女神セリカからステータスのレクチャーを受けていた時の話である。
「えっと……ギフトとは?」
「つまりですね、簡単に説明すると特殊スキルです」
「特殊スキル?」
「このスキルは、カケルさんが成長したと認められた時にしか発現しない特別なスキルなんです!!」
「成長……ですか?」
「はい!!」
返事だけはしっかりしている。
そこが……少し不安ではあるが。
「それで……この【ギフト】の能力とは……?」
「フフフ!! それは、発現してからのお楽しみということで♪」
しかも、説明がザックリすぎて、いまいち頭に入ってこない。
だけど、他のスキルとは明らかに異なる能力なのだということだけは、薄々理解できた。
――そして……現在に至る。
確かに【ギフト】は発現した。
だけど……。
「セリカ様から具体的な内容は教えてもらえなかったんだよな……」
ステータスパネルを眺めること数分、未だに確認が怖くて躊躇していた。
「うーん……このまま眺めていても埒が明かないし……よし!!」
僕は覚悟を決め恐る恐る、ステータスパネルに表示された【ギフト】の項目へ指を当ててみた。
ピッ!!
ババババババッ!!
「うわっ!?」
その直後、もの凄い勢いで、画面が動き始めた。
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Auto
Load
Index
Custom
Elliot
起動中…………
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「な、なんだ!?」
英語の文字が縦一列に並び、最後【起動中……】の表示で止まった。
「ん? ……これで終わり?」
しばらく待ってみる。
「……もしかして、バグかフリーズ?」
〈これって……壊れた?〉
などと考えていると――。
〈いえ、バグでもフリーズでも故障でもありません!!〉
「わっ!!!」
突然、頭の中から女性の声が響いた。
いや……女性は女性なのだが、この声は幼さのある、可愛い少女の声だ。
〈初めまして!!〉
「なっ……何処から声が!?」
頭の中で響いている声の主を探すように、僕は周囲を振り返った。
しかし、当然ながら誰もいない。
すると――。
〈お初にお目にかかります、マイマスター〉
「マイマスター?」
〈私は、オート・ロード・インデックス・カスタム・エリオットです〉
「え? オート……?」
急に自己紹介が始まった。
しかも……名前が長い!!
〈私は、マスターをサポートするために誕生した特化型スキルです〉
「特化型スキル?」
〈日常生活から戦闘まで、マスターを危険から守ること。そして、様々なサポートに対応いたします〉
なるほど……。
いろいろ説明してくれてはいるが……。
「えっと……つまり、カーナビやAIの類ということかな?」
僕がそう答えると――。
〈私をそこら辺のカーナビやAIと一緒にしないでください!! 私は、オート――〉
「ご、ごめん!!わ、分かったから落ち着いて!!」
……随分と感情的なシステムなのだろうか?
まさか反論してくるなんて、想定外だ。
しかも、この長い名前。
毎回フルネームで呼ばれるのは、いろいろと面倒そうだ。
「とりあえず、その名前は覚えづらいから……なんとかならないかな……?」
すると――。
〈では、初期設定にてネームの申請をお願いいたします〉
「初期設定?」
その瞬間、ステータスパネルが別の画面へと変化した。
そこに現れたのは、まるでパソコンを初めて起動した時のような入力画面だった。
〈まずは、ネームの設定からお願いいたします〉
「名前……か……」
突然「名前を決めろ」と言われても、正直なところ悩んでしまう。
しかし――。
「そうだ!!」
ふと、僕の頭に閃きが走った。
「よく漫画やアニメでも、システムの頭文字を組み合わせて名前を作るシーンがあったよな!!」
急に僕のオタク脳がフル回転し始める。
「えっと……確か……オートがAで……ロードがL……」
先程表示されていた文字を、一文字ずつ思い出していく。
そして――。
《A・L・I・C・E》
「ALICE……アリス……」
口に出してみる。
「悪くないかも!!」
我ながら、なかなか上手くいったと思う。
だが、問題は――。
この特殊スキル自身が、その名前を気に入るかどうかだ。
とりあえず、表示された入力欄にカーソルを合わせ、名前を入力する。
そして――。
〈ネーム入力が受理されました〉
「あっさり解決した……」
どうやら、問題なく受け入れてもらえたらしい。
「とりあえず、気に入ってもらえたようで良かった……」
〈以後、アリスとお呼びください、マスター!!〉
「よろしく、アリス!!」
〈よろしくお願いします、マスター。それでは、初期設定の続きを行ってください〉
「え?」
僕は思わず聞き返した。
「……続き?」
〈はい。初期設定の入力項目は――〉
一瞬の間。
〈あと50あります〉
「ご、50!?」
名前の入力が無事に終わったことで、すっかり安心していた僕。
この後に待ち受けている大量の入力項目を知り、僕の顔は少し……いや……
かなり顔が引きつったのだった。




