第51話 神様からの贈り物(ギフト)
あれから、どのくらい時間が経っただろう……。
僕はミラージュとラックから離れ、自分の個室に戻っていた。
皆といた時は夕暮れだったはずだが、部屋に戻って窓を閉めようとした時には、すっかり太陽が沈み切っていた。
締め切った部屋は真っ暗で、ベッドの横に用意されていたランタンの光だけが、辛うじて室内を照らしている。
そんな中――。
「よし……部屋も閉め切ったし、誰も見てないよな?」
僕のステータスパネルは他人には見えない。とはいえ、独り言などが原因で良からぬトラブルに巻き込まれ、情報が漏洩する可能性もゼロではないのだ。
念には念を入れ、厳重に部屋を締め切った上で静かに事を進める必要がある。
目の前に浮かぶステータスパネルには、すでに「更新情報のお知らせ」が開かれていた。
「よし……ここからが本番だ!」
僕は途中まで閲覧していたパネルへ、恐る恐る人差し指を近づけた。
「最初に見るなら……絶対これだ!」
ピッ!
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■ EXスキル フルドライバー (Lv.2)
スーパーカブ……(リカバリー中)
オフロードバイク (✕2)
スポーツバイク (✕2)
RV (✕2)
・・・・・・・・・・・・
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「おおお……す、凄い……!」
正直、感動のあまり驚くことしかできなかった。
画面を見ると、スーパーカブ以外はすべて車種別に区分けされている。
さらに車種の横には【✕2】という記載。おそらくタップすれば、マシンの詳しい詳細が見られるのだろう。
僕はさっそく、【✕2】の中身のチェックを続けた。
「ほうほう……なるほど。これは面白い……!」
最初は驚きしかなかったが、中身を確認していくうちに、子供がおもちゃを貰ったようなワクワク感から、徐々に品定めをする大人の目つきへと変わっていく。
「なるほどね……今はスーパーカブも復元中だし、しばらくは他のマシンで試してみよう」
そして――。
「よし、次は……」
一通り『フルドライバー』の中身を閲覧した僕は、レベルアップした職業や魔法、パラメータなどのカテゴリーへと視線を移した。
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カケル・クルマダ(14)
職業:パラディン Lv.2 (UP↑)
生命力:390 (UP↑)
魔法力:330 (UP↑)
攻撃力:310 (UP↑)
防御力:290 (UP↑)
機動力:330 (UP↑)
■ 攻撃系魔法:(NEW)
ファイヤーランス(火)
フレア・ボム(火)(NEW)
ウォーターショット(水)
アクア・ブレイド(水)(NEW)
ウインドブーム(風)
ガードウォール(土)
ウォール・バレット(土)(NEW)
スパイラルボルト(光)
ライジング・ブレイカー(光)(NEW)
ライトニング・アロー(光)(NEW)
■ 回復系魔法:
ハイヒール(完全回復)
クリアポイズン(毒消し)
ラテラル(麻痺除去)
■ スキル:
トレース(読み込み)
マップ(地図)
フィールド(結界)
■ 生活系魔法 (NEW)
アクア・ウォッシュ(水)(NEW)
ウィンド・クリア(風)(NEW)
ライト(光)(NEW)
■ EXスキル:フルドライバー (NEW)
■ 称号:女神の祝福・神々の加護
■ アイテムガレージ
■ ギフト(NEW)
短剣・ナイフ・バスターソード・アックス・レイピア・ポーション×10・賢者のローブ・布・タオル
■ 所持金:
金貨100枚枚・銀貨300枚・銅貨400枚
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パラメータが防御以外300台に増えている!
しかも……攻撃魔法が一気に増えた! 光魔法なんて2つも追加されているじゃないか。
このタイミングでの魔法拡充は本当に助かる。
正直、マシンだけでどこまで通用するのか不安だったからだ。
先の模擬戦のように、もしこれが実戦でスーパーカブが大破したら、次の攻撃が厳しくなる。やはり魔法という手札(保険)を持っておくに越したことはない。
うん、備えはあるに越したことはないのだ!
なのだが……。
「……この『生活系魔法』って何だよ!?」
思わず突っ込みつつ、人差し指でパネルを突く。
ピッ。
すると、新たな詳細項目が現れた。
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■ 生活系魔法
【アクア・ウォッシュ】
対象の不純物を水魔法で浄化し、100%クリーン化できる。
【ウインド・クリア】
水分を乾燥させる風魔法。装備品や衣服を乾かす効果がある。
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「おお! つまり……洗濯魔法か!」
そういえば、異世界に転生してからまともに洗濯なんてしていなかった。
「よし、早速試してみよう!」
手を前にかざし、呪文を唱える。
「アクア・ウォッシュ!」
プシュワーーーッ!!
名前を口にした瞬間、水の塊が現れて僕の周囲をくるくると回り始めた。
次第に着ていた服へと水が染み込んでいき――数分後……
【ウインド・クリア!!】
乾燥魔法を唱えた瞬間、汚れをたっぷり吸収した水分が、パッと外へ弾け飛ぶ。
「き、気持ちいい……!」
服が綺麗になっただけなのに、なぜか身体の隅々まで爽快な気分になっていた。
「……もしかして、体内の不純物まで浄化されたんじゃ?」
その予感は的中していた。
先ほどのカマー戦でついた腕の汚れや、汗の不快な匂いまでもスッキリ消え去っている。
「これって……お風呂に入らなくてもいいレベルでは?」
とんでもなく便利な魔法だ。
しかし――。
「いやダメだ……お風呂は日本人の心、誇るべき文化……! やっぱりお風呂には入りたい!」
便利だからといって妥協はできない。お風呂は別腹なのだと深く痛感する。
「まあ、生活魔法はひとまず良しとして……次は……」
再びステータスパネルをジッと睨みつける。
ここでも、僕は思わず頭を悩ませることになった。
おそらく、今回一番の『謎』な項目。
その名は――。
「……ギフト」
実はこの名称、転生する前に女神セリカ様からレクチャーを受けていたものだった。
「あの時、セリカ様は詳しく教えてくれなかったんだよな……」
そう――この【ギフト】の謎を紐解くには、まず転生前の出来事に記憶を戻す必要があった。




