第47話 魔力欠乏〈オーバードレイン〉
〈次こそは一撃を入れてやる!!〉
再戦が始まった。
一度目は、完敗。
だけど――今回は違う。
ミラージュの助言……いや、作戦とも言えるが…再び戦えるようになった。
しかし……
「いつでもいいわよ♪」
この余裕……
〈ミラさんの言う通り……本当に良い勝負ができるのかな?〉
カマーをみていると、半信半疑だ。
〈でも……後には引けない!!〉
「カマーさん、いきます!!」
僕の言葉と同時にカマーも木刀を身構える。
そして……ミラージュと打ち合わせをした通りに……
ザク!!
「???」
僕は、木刀を地面に突き刺し、地面に手を付けた。
〈何をしてるのかしら?〉
流石のカマーも僕の行動が予測できず、顔がキョトンとしてしまった……
だが……次の瞬間……
「行くぞ!!フルドライバー!!」
地面から魔法陣が浮かび上がり
「来い!!スーパーカブ!!」
その魔法陣からバイクが静かに浮かび上がってきた!!
「なっ!!」
流石にカマーも驚いているようだ。
出現したカブに僕は跨りアクセルを吹かし、地面に突き刺した木刀を再び持ち替え……
「行くぞ!!」
ブロロロロロ!!
カマーに特攻をかけた。
「なかなか、面白い事をするのね」
一瞬、不意を突かれた顔をしているが、状況を判断して、すぐに攻撃に備えた。
一方で、
「うおおおおーっ!!」
アクセルを吹かしたカブは凄いスピードでカマーも正面に突撃し、木刀を振りかざす!!
バキィ!!
再び木刀同士がぶつかり合う!!
しかし、先ほどの衝撃の何倍もの重みを感じる。
「なるほど……さっきと全然違うわね」
カマーの表情が少し変わった。
最初の模擬戦は、ニコニコ顔で、まるで子供を相手にしているような感じではあった……
しかし……
一撃を体感してだけで、動きや仕草が変化した。
〈これは……ミラさんの予想通りなのかな?〉
----------------------------------------
■数分前……
「カケルさんの召喚する魔導具を利用するんです!!」
「へっ?」
「私が初めてみたカケルさんの攻撃は、魔獣やひったくりに対しても効果がありました……だから……」
「だから?」
「カマーさんにも有効なはずです!!」
-----------------------------------------
ミラージュの予想は的中した。
これなら……イケる!!
そう確信した。
「カケルさーん!!いっけーーッ!!」
ミラージュも応援してくれている。
とても心強い。
もはや勇気百倍だ!!
しかし……まだ問題もある……
僕は、カマーの周りを旋回して不意を突く作戦だったが……
「確かに……先ほどとは違うわね」
「くっ………」
まだまだ、回避されてしまう。
それは、鉄壁の守り!!
カマーの視覚を遮る箇所を狙って攻撃しているのに、まるで見えているかの反応をするのだ。
「これじゃあ、何処を攻撃してもかわされるか受け止められる……」
確かに、スピードもパワーも上がり、カマーに対しても有効的な戦法にはなった。
だけど……決め手に欠ける。
それに、カマーも僕の攻撃に追いついてきた……いや、このままだと、逆に追い詰められる可能性もある。
「このまま持久戦になったら負けるかも……」
カマーも次第に僕のスーパーカブに慣れてきていたのだ。
「フッ……なかなか面白い……世の中にはこんな変わった奴もいるものなのだな……」
カマーもいつの間にか、口調が変わっていた。
「あらやだ……私ったら……冷静に冷静に……」
カマー自身も……どうやら戦闘に熱が入ったようだ……
もしかしたら……少しは余裕を無くす事は出来たのだろうか?
否!!
おそらく、逆効果だろう……
カマーの顔が――
楽しんでいるように見えた。
僕は、一旦カマーの攻撃範囲から離脱した……
「あら?そろそろ降参かしら?」
「降参するように見えますか?」
「言ってみただけよ」
〈見え見えの挑発だな……〉
だけど、追い詰められているのは僕の方だ……
フルドライバーを使ってもこの強さ……戦い慣れた戦闘センス……
正直、戦えば戦うほど不利になる……
そう言いながら、15分くらいが経過していた。
〈マズい……マズい……このままだと……〉
時間が経過する度に焦りが出てくる……
実は……カマーの戦闘センス以外に僕の弱点とも言える事態に陥っていた。
ここで……
EXスキル【フルドライバー】の特性を説明しておきたい。
唯一召喚が可能なマシン【スーパーカブ】。
以前も説明したが……このマシン……燃料は魔力で補っている。
僕の魔力を供給して稼働しているが……
実は……それだけではない!!
本来、スーパーカブは、ガソリンで稼働して動く事とギアチェンジは腕や足でシフトチェンジする。
しかし……異世界フェルミオンワールドでは、それが大きく異なる。
特に大きい部分は、シフトチェンジだ!!
手動で行うギアチェンジを魔力を通して自動で変化させているのだ!!
いわゆる、オートマチック式のスクーターになる。
この機能のおかげで、魔獣や魔物・対人戦では対応に有利となった!!
これは、フルドライバーにとって、メリットと言える部分だ。
しかし……
良い事ばかりでもない。
このフルドライバーにはデメリットも存在する。
それは……
燃費の悪さだ。
僕が、転生後に都市トリーシティに向かう時、カブを使って移動していたが……さほど魔力量の消費は少量だった。
しかし……
ミラージュ遭遇した時の魔獣戦では、驚くほど魔力が削られた!!
魔法も使用していたので、正確な数値は測っていないが、およそ……5倍〜10倍の魔力を使用していた。
幸い短期決戦だった事もあり、事なきを得たが。
今回は……ミュー先輩の時にカブで運転を披露し、現在進行系でカマーと模擬戦をしている。
つまり……今まさに……魔力が枯渇しかけているのだ。
〈どうにか、一撃を入れないと……でも……どうしたら……〉
「カケルちゃん?もしかして……」
「な、なんですか?」
カマーが、急に質問をしてきた。
「魔力欠乏なんじゃない?」
「オ、オーバードレイン……?」
「つまり……魔力切れね……」
ビクッ!!
「やっぱりね……」
カマーの予想通り、魔力を使いすぎてカブの使用時間が限界に近づけてきている事がバレてしまった。
「魔力が切れると命に関わる可能性もあるわ……ここらでお開きするのも……」
カマーが模擬戦の終了を宣告した。
「何言ってるんですか?」
「?」
「ここからが、僕の最終奥義の見せ場なんですよ!!」
「最終奥義?」
「ここで、終了したら勿体ないですね……」
なんて…カマをかけたけど………
本当は最終奥義なんてあるはずもない。
ただの時間稼ぎだ。
「そう……なら……お互い最後の一撃にしない?」
そう言うと、カマーは剣先を再び僕に向けた。
正直、僕の言葉を信じてくれたのか……それとも、ただの気まぐれか。
「そ、そうですね……僕もこの一撃で決着を付けたいと思っていました」
そうだ……魔力も少ない……なら……最後の一撃に賭けるのもありだ!!
〈でも……どうする?カマーさんの周囲はスキはないし、それこそ注意を逸らさないと一撃なんて……せめて死角があれば……〉
最後の一撃と宣言された……それは、ミスが許されないラストチャンス……スーパーカブを見ながら思考をフル回転させる……
〈ここは、カマーさんのテリトリー……模擬戦場の周囲も把握しているはず、身を隠せる死角なんてない……せめて、カマーさんが認知できない視覚を遮る術があれば……〉
「一撃……死角……周囲……カブ……」
この瞬間だった……
「そうだ……あるじゃないか……一つだけ……」
僕は閃き……再びカマーに剣を向けた。
「カマーさん!!」
「!?」
「最後の戦いです!!」
〈この方法なら……もしかしたら……〉
僕は覚悟した。
例え失敗しても後悔のない戦い……思いついた方法でカマーに一撃入れる決意をした。




