1-3 派手な人 ダグラス・ミッチェル
「え?」
「俺、ダグラス・ミッチェルってんだ!!!!!仲良くしてくれよな、ゆ・う・め・い・じ・ん!!!!!!」
なんか聖女とか勇者とか聞こえたけど聞き間違えだよな?うん、きっとそうだ。ぼーっとしてたからだ。
それよりこの人、本当に声大きいな、、、ちょっと怖い。
「あ、あ、うん。僕レイ・カッシード。よ、よろしく」
「おう、よろしくなぁ!!!!!俺のことは気軽にダグラスって呼んでくれよな!!!!!
クラスも一緒だ!!!!!さぁ、いこう!!!!!」
「うわぁ!ちょ、引きずらないでぇぇぇぇぇ」
どんだけ力が強いんだこの人!腕がちぎれそうだ。それにクラスが一緒だって?ここからクラス分けの掲示まで30メートルはあるぞ!視力いくつだ!ブルーベリー何個食べたんだよ!
はぁ。
母さん、父さん。入学早々とんだ野生児に捕まってしまいました。
諦めて身を任せていると、いつの間にか教室の前についていた。
シュー。
さすが貴族学校。教室のドアの滑りが異次元だ。
「ここに座ろう!!!!!」
思っていたより静かな動作で彼は椅子を引き、僕を隣に座らせた。
まだホームルームまで時間がある。でもお互い話しかけることはない。
この人、声大きいのに口数少ないな。うぅ、気まずい沈黙。
「ね、ねぇ。どうして僕に声をかけてくれたの?」
「ダントツで盛り上がってなかったからな!!!!!」
「いやいやそんな、フェス、、、は知らないか、祭りみたいな理由で?」
「ワハハ!!!!!ちょっと何言ってるかわかんねぇ!!!!!!」
うわ、大声で梯子外されたよ。ただでさえ理解されなくて悲しいのに、大声だと倍、胸に来るものがある。
リィン、ゴーン。リィン、ゴーン。
ぐすっ。よかった、ホームルーム始まったぁ。
スー。
スー。
「みなさんごきげんよう」
顔のいい教師が滑りながら教室に入ってきた。
「「「ごきげんよう」」」
誰も何も突っ込まないのか。ちゃんとした貴族学校ともなると、教師が床を滑りながら登場するのも普通のことなのだろうか。わからない。
「このクラスの担任になってしまいました。ピム・リグレです。好きなものは休み、趣味は寝ること、特技起きること。これから1年間よろしくお願いします。あ、あと、本日開催予定の入学式ですが、国王陛下の予定が想定より長引いたため、午後からとなりました。それに伴い、只今より、自習とさせていただきます。教室内で親睦を深めあうもよし、校内を散歩するもよし。
ただし、揉め事を起こさぬように。以上。」
スー。
スー。
母さん、やっぱり貴族学校にも不良はいるのかもしれません。形式なのか脅迫なのかわからない一言を添えて気だるげイケメン先生は滑りながら退場した。靴にローラーでも仕込んでるのかな。異常にいい滑りだ。
「レイ!!!!!散歩をしよう!!!!!」
先生の滑りっぷりに感動していると、左隣から声がかかる。
ここで迷わず誘ってくれるあたり、いい人なんだよな。声でかいけど。




