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新章すたぁとー。
ダイアドさんと結束の勇者をボコしたのがいい宣伝になったらしい。(王都と有名なダンジョンのセーフポイントに配信したしね)【ぽおしょん屋】はそれなりの賑わいをみせていた。安めでちょっと品質のいいポーションとか、凄く安くてちょっと効くポーションとかがいい感じに売れている。ちょっと効くポーションは、常備薬みたいにして使うそうだ。家族想いだね。
「あ~、すいませんお客さん〜。10本も20本も1人に売る訳にはちょっとぉ」
なるべく多くの人に渡って欲しいので、1人につき5本まで、と張り紙をしてある。しかしレジに積まれたのは――、そう、積まれた、だ。山のようになった売れ筋のポーション。ざっと100本ぐらいある。ウチの畑の5%分だ。法魔さんの不思議パワー(空間魔法)で凄く広い薬草畑をバックヤードに作って貰ったが、それでも1日に大体ポーション2000本ぐらいの収穫量なのだ。100本も持っていかれては堪らない。それでなくとも、4種類に分けているのだ。
「我々のクランで購入したいのだ。なんとかならんか?」
うわぁ、面倒臭い。
「20人で来れば100本買えます。早い者勝ちでどうぞ」
「…………………解った」
早く済んで良かった良かった。ブラウルに残りのポーションを棚に戻させながら会計をしていく。さて、そろそろお昼かなぁ~。
「え〜、もうそろそろ店閉まいです。もうそろそろ店閉まいで〜す」
掛札をクローズにしておく。5人の会計を終えて、今日のお仕事は終わりだ。
「御主人〜。飯食ってきていいか~?」
「いてらー」
最近外食を覚えたブラウルだが、人化して王都まで行っているらしい。王都の店舗を全制覇するぜ!!と言っていた。う~む、『フェルさんや』…………辞めとこう。消される気がする。
「ま、飯だわな」
うーむ、思い出したら腹減ってきた。まず用意しますは、その辺で取れた兎で御座いまーす。ササッと解体して、臭み抜きをしましてー。その間に野菜の下処理をしましょー。雑に香料塩胡椒で味付けして、
「頂きます」
うん。雑な味。
食事を終え、パラリラリと本を捲り、読書という麻薬を味わっていると、腰に衝撃が走った。
「『アクティブぎっくり腰』ぃ!?」
思わず妖怪半裸鳥頭の台詞を!?うむ。やっぱり僕本大好きぃ。
「おいおい、本に戻るな本に戻るな」
「チッ」
「舌打ち!?」
僕の読書の邪魔をするのは何処のどいつだ、あ゛あ゛ん゛。
「あ、駄け――駄狼」
ソブキさんに引っ叩かれた。うん。しょうがない。
閑話休題。
「――という訳で、お前に武器を作って貰いたい訳だ。別に俺の爪みたいな武器を作って欲しい訳じゃなくて、アイツが狂化を使っても折れないような………雑に使っても壊れないような剣が欲しいんだ」
「パーティーメンバーの惚気は辞めtすいませんグーは簡便して下さい」
死んじゃう。
うーん。ただただ頑丈な剣、か。作れなくもない。むしろ、これだけレア素材あれば、作れなくもないどころか簡単に作れそうなんだけど――。
「やっぱり僕の正義に反する、かな」
「はぁーーーーーーっ。だろうなぁ。戦えない程にクソなスキルじゃないもんなぁ。――装備が合ってないだけで、むしろ良いスキルだもんなぁ」
僕はやっぱり、どんな不幸なスキルや肉体的条件があっても、夢を諦めきれない人のサポートのために武器や道具を作りたい。だってそうじゃないと、フェアじゃない。あ、汎用的な道具は例外です。
でもなぁ、友達、いや、知り合いか?まぁいいや。知らない仲でも無いんだ。鍛治師の紹介ぐらいはしよう。
「かわりに、僕の知ってる鍛治師の紹介でもいい?」
ソブキさんは二つ返事でOKした。まぁ、もちろん、ゴブリンの人なんだけど。後から、武器を構えて法魔さんにぶっ飛ばされたと聞いた。ごしゅーしょーさまです。(爆笑)
ソブキさんを見送って、僕は本を手に取った。それをポーチに入れて、外に出る。強いて言うと、なんとなく、だ。読書の気分が削がれてしまった。買い物にでも行くか。【エアボード】を取り出して、足を固定する。今思ったけど、これ黒くして『メタリック』な感じにしたら、『グライダー』っぽくなるな。いや、やらないけど。やったら親友に襲いかかりそうだ。爆弾持って。
さぁ、王都までひとっ飛び〜。
えー、王都前の僕です。ひとっ飛び〜、とか言った数分間の自分を殴り飛ばしたいです。ゴーグル作れや。『ああっ、目が、目ぇがぁー』。水魔法で出した水球に顔を突っ込んで悶えていると、衛兵さんが声をかけてきた。事情を説明し、目も治ったので、いざ王都。さて、まずは冒険者ギルドに薬草納品の依頼受けに行って、その後に商業ギルドに納金かなぁ。
「えー、薬草の納品依頼下さーい」
「納金しにきましたー。え?期日に取りに行く?あー、解りました」
さて、あとは買い物か。少なくとも、この世界は空輸も海上輸送も発展しているから塩胡椒等の香辛料は庶民の手にも届く値段だ。風の魔法を込めた魔石を使った飛行船とか、きっと『転生者』が考えたんだろうな。少なくとも、1人は居るって知ってるし。飛行船を作った人に感謝。そうこうしている間に、輸入品専門店の前だ。いつ見ても凄い賑わいで御座いますな。店も広いし、でっかいし。
「輸入品っていっても、大体調味料とか食べ物だよなぁー」
ふらふらと凄まじい品揃えを物色しながら、調味料と果物を買い物かごに入れていると、ものすごく見覚えこある女性陣がいた。ミライさんに、えーと、ミノ、ミナ、だっけ?何も見てないことにしよう。関わると面倒そうだ。
「まぁ、多分かわいい服とか探してるんだろうけど」
そんな事を考えながら、会計の列に並ぶ。暇なので何か面白そうな本はあるかなぁ、とウィンドウを開いて本の物色をしていく。お、これいいんじゃないか?『■□◇■◆』。ほぉ~ん『ノンフィクション』で、『▼▶▽▲▲』の話し。人生を変えられた、か。泣けそうだぜ。
「次のお客様ー」
あ、僕の番だ。チェック付けといて、
「はーい、お願いしまーす」
ふふふん、いい買い物したぜ。にっこり笑顔で店を出ると、突然太ももに下げた本が暴れだした。トラブルメーカーインテリジェンスブックこと、【スキル辞書】のヤロウだ。
「ちょ、おま――」
僕は辞書に引きずられていった。
トラブルメーカー「スキル辞書」




