12ページめ
もうわかっていると思いますが、単語が入っている『』は、この世界に無い言葉です。
家に帰ると、というより、家だったモノの前で、僕はうなだれた。家が、全焼している。家は、まだいい。でも…………
「大切な本がァァァあああァァァあああぁぁぁあああ」
ああ~、最悪だ。もう何もかもがどうでもいい。がんばって集めたお気に入りの本達だったのに。まだまだ読み返したい本ばっかりだったのに。
「ああ~、もう何もかもがどうでもいいや。法魔さん、埋まるから、穴掘って」
あはは〜と笑いながら法魔さんにお願いする。すると、『法魔さんが法魔とはいったい?』ときいてきた。
「あだ名。マジックデーモンさんって呼びづらいから」
そう返しておく。『御主人から名を頂けるなんて』、と法魔さんが喜ぶ。狂喜乱舞してる?まあ、喜んでもらえたなら、嬉しい。早く、穴掘ってくれないかなぁ。はあああああ。
『すいませんでした。御主人の家だと知らず………』
法魔さんが家の前に立ってそんな事を言う。別にいいよ。もう燃えたんだ。早く埋まりたい。
『御主人の大切にしていたこちらも、私が燃やしてしまったんですね………』
こちら=燃えたはずの本の山。
………幻覚?そう思って、近づいて触ってみる。本の手触り。
「燃えて、無い?」
思わず、口に出してしまう。衝撃だった。家ごと燃えてしまったはずなのに、僕の大事な物が、そこにあるのだから。
「なんで………」
『紙だった物すべての時を戻しました。これで、埋まるのはやめて頂けますか?』
嬉しすぎて、言葉が出ない。だから、代わりに法魔さんに抱きついた。精一杯の感謝と、泣き出しそうなのをこらえるために。人生で、一番嬉しかった日かもしれない。
『まっ、まま、ますたー?』
急に抱きついた僕に、法魔さんが驚いた声を出す。それが面白くて、涙が出た。ぐりぐりと法魔さんのお腹に頭を押し付ける。
「法魔さーん。大好きだよお」
ごろにゃーん。という『効果音』が聞こえてくる程に、頬ずりする。すると、法魔さんがあたふたしながら言葉を発した。
『まっ、マスター。本が、本が傷んでしまうので、はっ、離してください。』
あ。ホントだ。
僕は、パッ、と動揺している法魔さんから手を離す。すると、法魔さんは本の山をスッと持ち上げ、消した。え?消えた?よく見ると、手元の空間に穴が空いている。なるほど。異空間に本を収納したらしい。その後、法魔さんが家の残骸に手をかざす。すると、まるで『テレビ』を巻き戻したかのように家が建った。スゴイ。いったい、どれだけの魔力を使うんだろう。
『これぐらいですかね』
法魔さんがそう言う。彼の目の前には、見違えるぐらい綺麗になった(作りが適当な)慣れ親しんだ『マイハウス』があった。
「すごぉ」
そんな言葉しか出てこないほどすごかった。一体、どんなスキルでこんな事をやったのだろう。
「法魔さん。ステータス、見ていい?」
思わず尋ねると、『ご自由に』と返された。遠慮なく、情報輸入で調べる。
マジックデーモン ランク9 Lv.32
HP3257 MP15394 ATC2657 MND14937 STR2896
アクティブスキル
詠唱破棄 魔力覚醒 魔力増加Lv.MAX MP消費軽減Lv.MAX 魔力視 魔力操作Lv.MAX
パッシブスキル
黒魔法Lv.MAX 白魔法Lv.MAX 暗黒魔法Lv.MAX 精霊魔法Lv.MAX 神聖魔法Lv.MAX 死霊魔法Lv.MAX 樹霊魔法Lv.MAX
固有スキル
遠見 時間操作 EXPドレイン 人化 思念伝達
は?固有スキル以外オールレベルMAX?なんだそりゃ。ありえない。しかも、Lv.32で4桁って。やっぱり、生物としての格が違う。
「時間、操作」
そして、僕は、それを見た。完全な、『チートスキル』。思わず、そんな言葉が漏れてしまう。
『そんな便利なものではないですよ。無生物しか時間を戻せないですので』
それでも十分便利だと思った。それから、僕は法魔さんにお礼を言って家に帰った。
「ただいま」
返事は無かったけれど、見慣れた室内に安心した。それから、法魔さんと一緒に本の片付けをしたのは、言うまでもないだろう。




