11ページめ
読書を終えて辺りを見回すと、誰も部屋の中にいなかった。まあ、読書を始めたのは僕だししょうがないと思うけど。
うーん。部屋を出るべきか、出ないべきか。そんな事で少し悩む。その時。
『呼ばれなくても私です』
空間に穴が開いてマジックデーモンさんが出てきた。
「え、と。どうしたんですか?マジックデーモンさん」
マジックデーモンさんってなんか呼びづらい。魔法の悪魔だから、法魔さんとかかな?『ホーマ』は祀火とかの意味もあったはず。
『読書が終わったようなので、呼びに来ました』
なんで読み終わったって解ったんだろ。まあいいや。
「えっと。なんで呼びに来たんですか?」
とりあえず、疑問に思った事を聞いてみる。すると、アークが話があるそうです、と言われた。なんだろう、話って。法魔さんに門を開いてもらい、アークの前に出る。
『うおっ。驚かすな………』
なんだか、いつもより元気ない?どうしたんだろう。
「どうしたの?元気ないみたいだけど」
『ああ、なんでもない。』
そう言って、アークは目を伏せた。何かを隠している時に良くする仕草だ。一体、何を隠しているんだろう。
「なんでもない訳ないでしょ。癖が出てるよ?それに、声が―――『なんでもないと言っている!!!』
僕がそう言うと、アークは急にキレた。今までに見たことがない剣幕で。
「―――ッ」
ただ、絶句するしかない。こんな、キレたアークは見たことがない。怖い。何故、こんなにキレたのか解らない。怖い。訳の解らないモノが、怖い。
「……………」
ただ、混乱と恐怖が入り混じった感情が僕の胸を支配して、何も考える事ができない。何をする事も、できない。
『済まない』
その声ではっと我に返る。アークが、悲しそうな、申し訳無さそうな顔をしていた。
『御主人を困らせるとは、万死に値します』
その声にはっと振り向くと、法魔さんが魔法を大量に展開していた。
「ちょっとやめてストップぅ」
慌てて法魔さんを止める。アブナイアブナイ。アークが死ぬところだった。そう、怒りを抑えようとする。けれども、巫山戯るな。そんな気持ちがふつふつと湧いてくる。
「法魔さん!!軽々しく、そういう事をしないで!!馬鹿にされるのも、からかわれるのも、いちいちそういう事をやっていたら、誰も、誰もいなくなっちゃうんだよ!」
そして、抑えきれなくなった怒りが爆発した。自分で、何を言っているのか解らない。言葉がちゃんと意味を成しているか解らない。けれど、なんで怒っているかは解ったらしい。
『申し訳ありませんでした。私が、浅はかでした』
良かった。解ってくれたみたいだ。もう、こんな事は起きないだろう。
「アーク。何も無いなら、帰るよ。いい?」
そう言って、僕は家に帰ろうとする。すると、アークが突然に『3日待ってくれ』と言った。意味が解らず、「う、うん」と答えるしか無い。
『済まない』
そう言って、アークは僕に背中を向けた。なんだか、その背中が、泣いているような気がした。




