まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。㉛)
誤字脱字こっそり教えてくださいました妖精様ありがとうございます。感謝のお礼お伝え忘れてしまってました。すいませんっ!!
10/16:脱字を訂正しました。
彼らを助け出したことを皮切りにネエ様は多くの仲間を助けては拠点へと連れ帰りあれよあれよという間に拠点のいる仲間が増えていった。
敵として寝返った仲間は572人、その内戻ってきた仲間は248人。
相手に寝返った仲間が約半数より少し多めの数にまで減少出来た頃、ネエ様がこの箱庭へやってきて4年目の冬が訪れようとしてました。
以前の寂れた殆ど機能していない状態だった拠点は今では誰もが快適に暮らせるようにまで回復され、未だ漠然とした不安が突然昏い影を落とし過去の悪夢にうなされることもあるけれどこの頃になると皆に少しずつだが笑顔が見え始めていました。
拠点という安全地帯に限られた範囲ではあるが僕達はこの4年心穏やかに過ごせたことも勿論、しかしそれ以上に敵へのみ込まれていった仲間たちが本来の姿で戻ってきたことや自分達の魂の欠片が自分の身体に多く戻ってきたことも大きかった。
僕自身も魂を砕かれ5歳児のような体つきだったのが、魂が戻ってきた数に比例し身体も成長が始まり、今では10歳前後の身体まで成長していました。
ネエ様は相変わらず自分達には拠点内の作業内容の指令を出していました。
戻ってきた仲間には拠点で様々な役割分担をするように命じられました。
僕達のようにまだ不完全な身体を持つ者達にはこれまで通り様々な簡単な雑用を。
ハンマさんの様に専門な職業の経験技量を持っている人には専門な部分の仕事を。
兵士達、魔法師達には拠点の警護の他訓練場の施設を作り、交代制で訓練をするように指示されていました。
毎回、助け出された仲間から当時の話しを聞くがやはり誰もが意識が混濁していて曖昧な記憶しかない様子で、あの兵士の聞いたという声がネエ様の声なのか結局はっきりしないままだ。
だが瘴気の中へ取り込まれ魔物へ転じた際の記憶が最初の助け出された仲間より後から助け出された仲間には少なからず記憶が残るようになっていた。
ダンジョンに居る魔王ではなく魔物は瘴気から作り出される個体で個体にはそれぞれ特性や弱点は異なるのだがそこに【個】としての意思はないという。
あの瘴気自らが特殊な伝達網をつくりそれぞれに指示を出して個体の魔物を操っているんだと最近助け出された魔術師から話しを聞かされた。
魔物が倒されれば霧になり、その霧はまた瘴気へ戻りまた同じ魔物が生まれる。それを繰りかえしているので魔物の数は減らず、けれど増えることもない。
『私が魔術師で特に探知魔法が得意だったから分かったことか、それとも瘴気の奥深い方へ居たからなのかよく分かりませんが、1つ分かったことはあの瘴気は身体はなくとも意思があり生きています。けれど瘴気はその意思以外に周りに何かが幾重にも居るように感じました。それが何なのかまでは判明できませんでしたが。』
魔物が瘴気を力の源にしているのではなく瘴気の手足として魔物が生み出されているという事実。
僕達はようやくここで初めて自分達の間違いに気がついたのです。
冬の時期には珍しい良く晴れたある日、警護に当たっていた兵士から魔王軍がこちらにやって来ているという情報を聞いた僕達は拠点の入り口に集まっていた。
このゲームのルールに拠点に対しての宣言のない奇襲攻撃は出来ないというルールがある。
最初のゲームの宣言以降魔王は姿を見せることはなかったのになぜ今になってやってきたのか。
王を護りながら魔王達を迎えると、魔王はある一定の場所で進軍を辞めその場に留まった。
未だ少年の姿だが2年前より瘴気の症状が落ち着いた王ビエネケスが口を開く。
『魔王よ久しいな。ここへは何をしに来た。』
『なに、そろそろこの状況へ飽いて来たのでな。新たにイベントをここで追加しようと思ってな。』
静かな声で威圧のある声で王は問いかけると、あちらも静かな声で問いかけに答えた。
魔王は続けて言葉を続ける。
『まずは協力者よ、80階層の攻略をおめでとう。我の所まであと20階層となるわけだが、そろそろこちらも反撃に転じようと思う。今まで静観を務めこちらの城を土足で上がって踏み荒らしてきたのだから否は認めない。2か月後春の季節の1日から10日、我らも拠点制圧に乗り出すことにした。』
その言葉に誰もがザっと顔を青くさせた。
魔王の軍勢構成はおおよそ3000の魔物そして幹部クラスが150に魔王の側近8人そして魔王。
明らかに人数も戦力もこちらが不利な状況だ。
魔王はおそらく終わらせるつもりでこのイベントをけしかけてきた。
しかも1日じゃない数日掛けてじわりじわりと攻め込んでくるのだろう。
過去の記憶がフラッシュバックし恐怖で吐き気が込み上げてきたのが分かった。
『見事、拠点を護り切ればそなたの勝ちだ。ではその時を楽しみにしているぞ。』
そう言って彼らは引き返し城へと戻っていく。
彼らが完全に姿が見えなくなると誰もが、その場で蹲った。
あと2ヶ月と少しですべてが終わる。
ようやく解放される・・・その事を数年前は望んでいたのに、それなのに。
『死にたくない・・・。』
誰かがぽつりとそう呟いた。呟いたのは男なのか女なのか分からない子供の声が聞こえた。
死にたくない・・・そうだ。自分達は死にたくないのだ。
けれど今更、どうあがいたところで―――。
『・・・・えぇ~。今ここで育成も追加されるのか・・・マジか。』
と、頭上から緊張感のない声が聞こえてきた。僕だけじゃない、他の仲間も聞こえたようで誰もが上にあるガラス板を見つめる。
『え?何?イベント?』
また声が聞こえてきた、今度は違う声だ。
と、最初に聞こえた声がまた聞こえてくる。
『そうそう、あともう少しでラスボスみたいなんだけどね。ここにきて育成システムが追加されてしかも2か月後には拠点守護イベント発生だって~。ちょっと頑張らないと不味いな・・・うん。』
『名前がネエ?変わった名前だね。』
1人は知らないがどうやらこの会話を聞く限り協力者と協力者の知り合いが何処かで自分たちのやり取りを見て話し合っているらしい。
初めて聞いたネエ様の声に、誰もが驚きそして混乱した。
そんなことは知らず変わらず緊張感のない話し方で2人は話し始めた。
『ああ、それ本当は名前じゃないんだよね。』
『違うの?』
『字の変換がなんでか上手くいかなくてそうなったんだけど、本当はそれ姉と書いて姉様なんだよね~。』
『ややこしいな、なんで姉様?』
『え?なんでって―――。』
小さな子供の姿した子が助けてって言ってたから頼ってほしくて姉様にした。
『私も施設育ちだし親がいなかったから分かるんだけど、血は繋がってなくてもお姉ちゃんとかお兄ちゃんの存在って結構ありがたかったからさぁ・・・。なんかその子たちの顔みてたら、あ、私お姉ちゃんになろうって思ったんだよね~。』
彼女達のやり取りを聞き、黙っていると自分の肩に誰かがポンっと肩を叩いた。
後ろを振り返るとそこには幹部クラスの騎士隊長たち、魔導師、司令官達がいた。
『いい加減、俺達もがんばらないか、もう一度。』
『・・・勝てるでしょうか?』
『分からない・・・確率も低いだろう、だけど自分達の姉上が頑張るんだ。俺達もここでやる気を出さないと後悔するだろう?』
『そうですね・・・本当にそうですね。』
僕達はそこには以前以上に力を宿した眼で立ち上がってもう一度ガラス板を見つめる。
『もう一度、僕達は戦います。ですからどうか僕達を助けて下さい・・・姉様。』
決して僕達の声や姿は届かないだろうがそれでも僕達はガラス板の向こうに居る彼女に頭を下げた。
自分達が生きる為、そして何より今まで助けてくれた彼女へ感謝を伝える為に。
『あれ?』
『今度はなに?』
『いや、今言ってた文字のバグが治った。ちゃんと姉様って表示になったよ不思議だね~。』
そんな柔らかい嬉しそうな声が頭上から聞こえたのだった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
裏設定:実は今回の過去ソシャゲ話は番外編で書こうかなぁと思っていた話しです。そのせいかなぜかめっさ長くなってしまいました。もうしばらくお付き合いいただければと思います。(ただ単に文才がないだけともいう・・・げほん。)もう一つ考えていた番外編はアイルのママパパ馴れ初め逃避行の話しなんですが今のところ掲載予定は考えてないです。(きっと長くなるので読んで頂けるかどうか・・・へへへ。)




