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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~

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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。㉚)



最初に戻ってきたのは騎士隊の歩兵を務める者十数名と戦闘経験のないが精肉店の店主ハンマさんだった。ハンマさんは妻子とも戦争で亡くし、戦闘経験がない市井の1人だが今回の計画に名乗りを上げてくれた人だ。




『すまねぇ・・・すまねぇっ!!俺は、お前らに顔を向けられねぇ!!』

『顔を上げて下さい!ハンマさん!貴方方もどうかもう顔を上げて下さいっどうか!』



帰ってきて彼らはその場で土下座をし謝罪する。彼らは、僕達がどんなにお願いしても顔をあげずただひたすら頭を下げ続けた。

確かに彼らは敵へ寝返った。

だがだからと言って彼らが苦痛と恐怖から逃げたことを裏切りと等しいと言って責めるなんてことなどここにいる誰もができるはずもない。僕達は敵に寝返らなかったというだけで、目の前にいる彼らと同じく僕達も抗う事を当の昔に諦め放棄をしていたのだから・・・。



自分が起こしたという許せない怒りで身体の震えが止まらずひたすら謝罪を口にする彼らに、どうにかして落ち着いてもらおうと声を掛けようとした・・・その時だ。


1人の子供がゆっくりと前に歩み出てハンマの肩を優しく叩いた。

少年の姿を確認した者達から驚きでその少年を凝視し、次第に周りは沈黙していった。


少年はこの国の王、ビエネケス国王だった。


彼は元より他の人間より多くの魔力を持っていた故に誰よりも一番瘴気の被害が色濃くまだミミズの様に身体を這いまわり苦痛で歩くことも未だままならない。

あろうというのにその少年は苦痛を見せずに彼らを前にして嬉しそうに微笑んで彼らを迎えた。




『よく・・・帰ってきてくれた。また、生きて、会えたことが嬉しいぞ。』


ただそれだけ酷くしわがれたかすれた声、だが弱弱しいその声で彼は今の精一杯の声でそう彼らに言葉を贈る。





変わり果てた国王の姿に胸を痛みと同時に、自分より苦しい状況で裏切り者の自分達に温情をかけて下さる彼の言葉で彼らは救われようやく生きて戻れた事実に帰って来た者、ここへいる者皆全てが涙した。









暫く泣いていたが落ち着きを取り戻した後、彼らに僕達は彼らを施設の中へ招き一番広い部屋へ通すとさっと彼らを取り囲むように座った。


王はこれ以上無理をさせてはいけないと寝室へとお連れし身体を休めてもらい、今ここにいるのは帰還者と現在拠点に留まった国の重鎮数人に戦闘経験のある者そして戦時中後方の物資担当だったハンマの友人達が数人と集まって話しをすることとなった。


座って早々早速僕達は口を開いた。


魔物の姿となり果てたはずなのにどうしてどうやって彼らは自分達より先に本来の姿を取り戻すことが出来たのか。


他の仲間はどうなったのか、協力者、ネエ様と共に帰ってくるまでどういうやりとりがあったのか。


僕達は少し興奮した面持ちでそう彼らに問いかけました。


彼らは互いに見合わせたりと初め中々口を開かなかっったが、ハンマが最初に口を開いた。


『正直言っちまうと俺達の記憶も曖昧でよく分からない。』


苦痛から逃げたくて敵に寝返った後、瘴気に飲み込まれ魔物の一部にされたそれ以降の記憶からよく分からないのだと、ハンマを含め帰還してきた人は口を揃えてそう言った。



だが、瘴気という得体を知れないモノを通して沢山何かがあそこにあるのだという感覚があり、それらの存在が折り重なるように集まり1個体の魔物を作り出しているようだと語った。


あの瘴気は1つであって1つではないという、不可解なモノ。


話すうちにその時に感じた感覚を思い出してか段々と顔色を悪くさせる彼らに、皆心配したが彼らは口を閉ざすより話した方が気が休まるから続けさせてくれとそう言って誰も休もうとはしなかった。



『もし、それが本当に感じたものならどうやって貴方方は助かったんですか?』


そう、今までも確かにネエ様は多くの魔物を倒していたはずなのに今回は彼らが戻ってきた。

今までと今回と何が違ったのか、僕はその疑問を投げかけました。

彼らが手掛かりを探すようにそれぞれ考え込んでいると1人歩兵の者が手を上げた。



『あの、1つ報告があります。・・・私達が元の身体に戻る前・・・声が聞こえたんです。』

『声?・・・それはなんだ?』

囲んでいたうちの一人が聞くと彼は続きを話し始める。

『私の意識も殆ど虚ろだったので断言は出来ません・・・ですか、あの声は協力者の声だった・・・と思われます。』


その報告にここにいる誰もがざわついた。

周りからは『いや』『まさかそんな』という驚く声も上がる。


協力者、今回はネエ様に当たるわけだがネエ様も今までの協力者も誰1人として彼らの声を聞いたことがなかったからだ。


協力者と意思疎通がはかれたのは頭上にある白濁のガラス板の文字のみだ。


だから、声を聞いたなんてありえないと誰もがそう率直に思った。だが・・・と、歩兵の彼は言葉を続ける。


『あの時、頭上から聞こえたのは【5階層】【ボスキャラ】【戻れた】という言葉でした。他にも何か言っていたと思いますが聞き取れず・・・。』


その言葉に誰もが言葉を詰まらせる。

ボスキャラ?とは分からないが、戻れたというのは一体。


『ネエ様は・・・ダンジョンの階層が解っている?まさか、いやもしかして【鑑定の眼】を持っているということでしょうか!』


思い当たる節はあった。

ネエ様は薬草を集めるときでもランダムに摘み取っているように見えていても、きちんと種類と特性しかも効能が期待できる摘み取る時期を正確に熟知した採取の仕方をしていた。


薬学に関するスキルを持っているけどやはり経験がある者とない者では異なることも多いのだ。

けれど彼女の採取したものは初めから全て適切且つ良質のものが多い。


まるで全てが見えているような行動だと解ると、僕達はある考えが頭を過りゾクッと怖くなった。



生活基準も改善されこうして仲間を助けた彼女は、本当に信頼できる僕達の味方なのか、それとも信頼させて最後魔王と共に絶望に叩きつける悪魔の顔を隠した敵なのか・・・。


もし、後者なら・・・。


思い出さないようにしていたまたあの頃日々の事がぶわりと蘇り、ガタガタと震えだす身体をギュッとまるで耐えるように押し込むようにして自分自身で自分の身体を抱きしめた。



ネエ様、貴女は一体何者なんですか・・・?



今までの協力者とは異なり規格外な能力を持つ彼女という存在に、彼女を信じて良いのか僕達は明確な答えが出せないまま、初めて変革のあった日は次の日付を告げようとしてました。


夏が終わり、次は秋の空へ転じる。


誰もが不安げに何も言わず風景が変わる様を窓の外からただ見つめたのでした。




いつも読んで頂きありがとうございます。

次回投稿予定は日曜日の予定です。ご了承ください。

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